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診療科目
2022.06.08
#泌尿器科 #対象疾患

尿漏れ(尿失禁)

受診の目安になる症状

  • お腹に力を入れると尿が漏れる(腹圧性尿失禁)
  • 急な尿意に襲われ、我慢できずに尿が漏れる(切迫性尿失禁)
  • 尿を出したいのに出せず、少しずつ尿が漏れ出てしまう(溢流性尿失禁)
  • 尿を出し終わって下着をつけた後、尿がたらたらと漏れる(排尿後尿滴下)など

尿漏れ(尿失禁)とは、自分の意思に関係なく尿が漏れることです。男女問わずどの年代でもみられますが、特に女性に多いことが知られています。この理由は、(1)女性は男性よりも尿道が短く直線的であること、(2)膀胱や尿道を支える筋肉(骨盤底筋群)が男性よりも弱いことが挙げられます。

尿漏れ自体は命に関わるような状態ではありませんが、放置すると生活の質が低下することもあります。また、尿漏れの原因が病気である可能性も考えられ、この場合は治療しないでいるとさまざまな合併症や、生活上の支障を引き起こすこともあるため注意が必要です。

尿漏れは状態や原因ごとに適切な治療法があり、治療によって改善が見込めます。そのため、気になる症状がある場合は我慢しないで泌尿器科の受診を検討するとよいでしょう。

尿漏れ(尿失禁)の原因と対処法

加齢や出産など

重いものを持ったり、咳やくしゃみをしたりしたときなど、お腹に力が入ると尿漏れが起きる場合は、骨盤底筋が緩んで弱くなっていることが原因の可能性があります。骨盤底筋は加齢や出産によって緩むことがあるほか、排便時の強いいきみや荷重労働などの習慣も負担になると考えられています。

特に女性の場合、骨盤底筋が緩むことで骨盤内にある臓器(子宮、膀胱、直腸など)が徐々に下がって、腟から体の外に出てしまう“骨盤臓器脱”という病気に悩まされている方も多いといわれています。

症状が軽い場合は、骨盤底筋訓練として骨盤底筋などを強くする体操(後述)をすることで症状の改善が期待できます。また、肥満の方や、最近急激に太ったという方の場合は、減量によって症状が改善することがあります。これらの方法で症状が十分に改善されない場合は手術を行うこともあります。

前立腺肥大症

前立腺肥大症とは、生活習慣や男性ホルモンなどのホルモン環境が変化することによって、男性の生殖器の1つである前立腺が肥大する病気のことです。我慢できないくらい強い尿意が急に起こり、トイレに間に合わずに漏らしてしまったり、排尿が終わったはずなのにたらたらと尿が漏れたりするほか、尿が出にくい、頻尿などの症状がみられることがあります。さらに進行すると、尿路感染や腎機能障害、腎不全などのさまざまな合併症が起きることがあるため、適切な治療を受けることが大切です。

治療はまず薬物治療を行うことが一般的です。ただし、先述したような合併症がある場合は、手術が検討されることがあります。このほか、前立腺肥大症は生活習慣を改善することで症状を抑えることができるといわれているため、水分や刺激物の制限、運動などについて指導されることもあります。

尿漏れ(尿失禁)があるときに気を付けたいポイント

骨盤底筋訓練する

骨盤底筋の緩みが原因の場合は、骨盤底筋体操で尿漏れが改善されることがあります。

以下の体操を何回かに分けて1日に5セット以上行うとよいとされています。

  1. 仰向けになり、足を少し開いて膝を立てましょう。
  2. 肛門(こうもん)、腟、尿道を10秒ほど締めましょう。
  3. その後30秒くらいリラックスしましょう。
  4. 1〜3を10回、さらに速いテンポでもう一度10回繰り返し、慣れてきたら回数を増やしましょう。

膀胱訓練をする

膀胱訓練とは、排尿間隔を少しずつ長くすることで、膀胱の容量を増やす訓練方法です。医師のアドバイスのもと排尿計画を立て、最初は短時間から始め、15~60分単位で少しずつ排尿間隔を延長し、最終的には2~3時間の排尿間隔を目指します。趣味などに集中したりして気分転換をしながら、最初は数分の我慢から始めるとよいでしょう。膀胱訓練を行う場合、詳細は医師に確認しましょう。

尿漏れパッドを使う

治療や日々の工夫でも尿漏れ(尿失禁)が改善されない場合は、尿漏れパッドやオムツを使う方法もあります。最初は抵抗がある方もいますが、使ってみると外出しやすくなるなど生活の質が高まるといわれています。

受診を検討する

尿漏れを放置すると、時に生活の質が低下したり、原因によってはさまざまな合併症や生活上の支障につながったりすることもあるため注意が必要です。気になる症状がある場合は、我慢せずに泌尿器科の受診を検討するとよいでしょう。

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