希望するご予約を
お選びください

×閉じる
診療科目
2022.09.28

アトピー性皮膚炎と食べ物の関係とは?~食事制限よりもバランスよく栄養摂取を~

アトピー性皮膚炎の症状を改善するために、薬物療法と並行して食べ物など食事内容や生活習慣に気を付けるのは大切なことです。つらいかゆみや炎症などの症状が現れないように避けたい食べ物、一方で積極的に食べたほうがよい食べ物はあるのでしょうか。

本稿では、アトピー性皮膚炎と食との関係について解説します。

アトピー性皮膚炎と食べ物の関係

食べ物を制限する必要があるの?

実は、アトピー性皮膚炎になっても特別な食事制限はあまり意味がないとされています。食物アレルギーの原因になりやすいといわれる小麦、牛乳、卵などの食べ物(アレルゲン)を制限しないといけない、と考える人が多いようですが、検査で特定の食物のアレルギーが原因であると特定されない限り、食事制限をしても効果はあまり期待できません。

そもそも、アトピー性皮膚炎はさまざまな要因が複合的にかかわることで、免疫が自分を攻撃するようになってしまう免疫疾患の1つです。食事制限だけで完治する可能性は低いといえます。逆に、厳しい食事制限を続けても症状が改善しないと、ストレスを感じて症状が悪化することもあります。

また、“妊婦や授乳婦がアレルゲンを除去した食事をすれば、子どもがアトピー性皮膚炎を発症しなくなる”という通説も、むしろ有害であるという研究報告があります。

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを混同に注意

乳幼児や小児などで、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーを合併しているケースがみられるため、両者は同じものと混同されることがあります。しかし、食物アレルギーは特定の食物に対して体が過剰な反応をしてしまい、蕁麻疹(じんましん)やかゆみ、下痢、嘔吐などが起こる状態です。

これに対し、アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下し、肌に炎症や皮疹が現れ、強いかゆみに悩まされる病気です。体が過剰な反応を起こすのは、主に肌に触れる花粉やホコリ、ダ二、ペットの毛などに対してです。

アトピー性皮膚炎の症状に影響するといわれる食べ物

基本的にアトピー性皮膚炎でも食べ物を制限するは必要ありませんが、香辛料の入った料理やカフェインの多い飲料などの刺激物など、注意して口にしたい食べ物もあります。

お酒は血流をよくしてかゆみを強める

アルコールは、少量であれば問題ない場合が多いようですが、血管が広がって血流がよくなるため、炎症やかゆみが強く出たりすることが考えられます。飲みすぎには注意しましょう。

かゆみが出やすいヒスタミンを多く含む食べ物

かゆみに関連した化学物質であるヒスタミンを多く含む食べ物を食べると、人によってはかゆみが強くなるケースがあるようです。イチゴ、トマト、ナス、マグロ、イカなどが該当します。

肌の健康を保つのはバランスのよい食事とこまめな保湿

肌を健康に保つために必要なのは、バランスの取れた食事と肌の保湿管理です。

毎日の食事から、肌の新陳代謝を促すビタミンEや皮膚や粘膜の機能を維持するビタミンA、肌の乾燥や老化を防ぐビタミンCなどの栄養素を積極的に体に取り入れることがもっとも大切です。そうした点からも、“○○だけ”といった偏った食事や極端な糖質制限などは、おすすめできません。

体の内側から肌の再生や新陳代謝を助け、外側は保湿剤や治療薬をしっかりと塗ることを基本にします。そうすれば保湿剤が皮膚バリアとなり肌の乾燥や刺激を防いでくれるため、症状の改善が期待できます。

自己流の対策を試すよりもまずは医師に相談

アトピー性皮膚炎の治癒に効果があると宣伝している民間療法や、不確かな情報がネットなどに流布していますが、そうしたものを試す前にまず医師に相談するようにしましょう。

食物アレルギーが疑われ食事制限をしたいならば、まず医療機関で皮膚テストや血液検査などを行いましょう。原因食物を特定できたら、医師の指導の下で慎重に行うのが安心です。