
百日咳ワクチンとは、百日咳を予防するワクチンのことです。百日咳にかかるリスクを80~85%程度減らすことが可能とされています。また、百日咳ワクチンを接種する場合、4種混合ワクチン(DPT-IPV)または3種混合ワクチン(DPT)の接種を受けることが一般的です。
4種混合ワクチンの場合、百日咳(P)以外にも、ジフテリア(D)、破傷風(T)、ポリオ(IPV)の予防効果も期待できます。
百日咳とは、百日咳菌が原因で発症します。百日咳は子どもがかかる病気だと思われがちですが、近年では子どもの頃に接種したワクチンの効果が弱まった大人が発症するケースが問題になっています。名前のとおり激しい咳が出るため、乳幼児の場合は咳で呼吸ができなくなり、チアノーゼ(全身が青紫色になってしまう)や、けいれんが起きてしまうこともあります。また窒息や肺炎、脳炎などの合併症を起こすことがあり、命に関わることもあります。
このため、乳幼児がいたり出産を希望していたりする場合は、自身や乳幼児の感染を防ぐため予防接種をはじめとした感染予防対策がより大切です。
予防接種には、定期接種と任意接種の2種類があり、前者は法律に基づき市区町村が主体となって行うもの、後者は希望者が各自で受けるものです。現在、百日咳の予防のために定期接種として定められているものは、4種混合ワクチンのみで、3種混合ワクチンは任意接種です。
いずれも生後3か月から接種可能です。定期接種(4種混合ワクチン)の対象は、生後3か月から7歳6か月になる前までの方です。
4回の接種が完了しても、その後免疫が低下してしまうため、5~15歳の患者さんが多いとされています。家庭内に赤ちゃんがいる場合、兄や姉の百日咳が赤ちゃんにうつり、赤ちゃんの命に関わる可能性があります。そのため日本小児科学会では、任意で3種混合の追加接種を推奨しています。
追加接種を行う場合、5歳以上7歳未満の就学前に1回の接種が推奨されています。また、11~12歳で接種する2種混合ワクチン(定期接種)の代わりに、3種混合ワクチンを接種してもよいとされています。
子どもの頃に予防接種を受けていても、大人になると免疫が弱くなってくると分かっているため、大人も予防接種を受け、免疫を強くしておくのも選択肢の1つです。特に、家庭内に乳児がいる場合や、家族が出産予定の場合などは接種を検討するとよいでしょう。
4種混合ワクチン、3種混合ワクチンのいずれも3~8週間の間隔を空けて合計3回接種します。さらに、3回目の接種の約1年後(半年経てば接種可能)に4回目の接種を行います。
大人の場合は基本的にいつ接種しても問題ないとされ、1回の追加接種後、定期的に接種をするべきかの推奨は明らかではありません。詳しくは医師に相談しましょう。
乳児期前半は接種するワクチンが多いため、同時に複数のワクチンを受けるか、複数回受診する必要があります。赤ちゃんは母親の免疫をある程度受け継いでいますが、百日咳の抗体は生まれてから早い時期に失われてしまうとされています。そのため、接種が可能となる生後3か月になったら、なるべく早めに接種を受けるとよいでしょう。
ただし予防接種のスケジュールは、流行している感染症、接種を受ける人の生活環境(集団生活や兄弟姉妹、海外渡航の有無など)や基礎疾患の有無などを総合的に考え、適切な日程をかかりつけ医とともに相談して決めるのがよいとされています。地域よっては集団接種を行っていることもあるため、事前に調べておくとよいでしょう。
4種混合ワクチンは定期接種となっているため、基本的に無料(公費負担)ですが、一部自己負担が発生する可能性があります。一方、任意接種の場合は全額自己負担となることが一般的です。ただし、自治体によっては就学前と11~12歳の接種に対して助成を行っているところもあるため、確認するとよいでしょう。
eHealth clinicでは各種ワクチンの接種を実施しています。詳細についてはスタッフまでお問い合わせください。
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接種した箇所の腫れ、痛みなどはよくあるとされています。発熱することもありますが、その頻度は多くても2~8%といわれています。また、極めてまれ(100万回に1人未満)ですが、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)が出ることがあります。気になる症状があれば医師に相談するとよいでしょう。
アナフィラキシーなどの注意が必要な症状は、接種してから30分以内に生じることが多いとされています。そのため、接種してから30分間は、クリニック内で待機するように指示されることが一般的です。万一アナフィラキシーなどが起こっても医療機関ではすぐ対応できるよう万全の準備が整えられています。
明らかに発熱している場合や、重篤な基礎疾患がある場合、ワクチンの成分でアナフィラキシーが生じたことがある場合などは、基本的に接種ができません。
また、心臓や血管、腎臓、肝臓、血液の持病がある場合、発育に障害がある場合、これまでの予防接種で、接種から2日以内に発熱、全身性の発疹といったアレルギーを疑う症状があった場合、けいれんしたことがある場合、免疫不全と診断されている場合、家族などに先天性免疫不全症患者さんがいる場合、ワクチンによるアレルギーの可能性がある場合などは接種に注意が必要とされているため、医師に相談しましょう。
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