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2022.09.16
#腎臓内科

高血圧の合併症とは?~動脈硬化の進行から、心臓や脳の病気につながることも~

高血圧とは、くり返し測っても血圧が正常より高い状態のことをいいます。病院で測った血圧が140/90mmHg、家庭で測った血圧が135/85mmHgを超えると高血圧と診断されます。放置すると、血管に負荷がかかって動脈硬化を引き起こし、合併症に発展する可能性があるため、生活習慣の改善や、普段から血圧をコントロールすることが大切です。
本記事では、高血圧の合併症について解説します。

「高血圧と動脈硬化」について詳しく見る

 

イーヘルスクリニック新宿院 の高血圧外来の3つのメリット

① 平日20時まで、土日祝も診療
② オンライン診療対応で、すぐに薬が受け取れる
③ 管理栄養士による食事指導も実施

 

高血圧の主な合併症

高血圧の状態が長く続くと血管に負荷がかかり、動脈硬化が進行します。動脈硬化とは、血管がもろく硬くなった状態のことです。動脈硬化が心臓や脳の血管に起こると、時に心臓疾患や脳疾患などの命に関わる合併症を引き起こすリスクがあります。

たとえば、高血圧は脳梗塞(のうこうそく)の発症に対して、大きなリスクであることが知られていますが、日本のある研究では収縮期血圧が160mmHg以上の患者さんは3.46倍、拡張期血圧95mmHg以上の患者さんは3.18倍も脳梗塞の発症リスクがあったという報告がされています。また、日本では脳心血管病による死亡者数が年間10万人ほどといわれており、そのうち高血圧が要因となった死亡数の割合が約50%と、もっとも高いといわれています。

以下では、高血圧の合併症の特徴を解説します。

心臓疾患

高血圧になると、心臓は絶え間なく強い圧力で血液を送り出すことになり、心臓の筋肉が肥大化します。さらに高血圧の状態が続くと徐々に心臓は疲れ果て、その結果、心臓のポンプのはたらきが悪くなり、狭心症や心筋梗塞(しんきんこうそく)、心不全などの心臓疾患を引き起こすことがあります。

狭心症

血管が狭くなり、心臓に十分な血液を送り込めなくなる病気です。胸痛や胸の圧迫感などとともに、冷や汗、吐き気、息苦しさなどを伴うこともあります。

心筋梗塞

心臓の筋肉に酸素や栄養を送っている血管が完全に詰まってしまう病気で、主に強い胸痛が起こります。血管が詰まるときは、動脈硬化を起こした血管内側の一部が傷つき、血の塊ができている場合があります(血栓)。

心不全

心臓から十分な血液を送り出せなくなる病気です。主に息切れやむくみなどの症状がみられます。

脳血管疾患

高血圧の状態が長く続くと、動脈硬化が進行して脳の血管が詰まって脳梗塞を招くことがあります。また、高血圧の程度によっては、脳の血管が破れて脳出血を起こしたり、脳の血管の一部分に(こぶ)(動脈瘤)ができて、破れるとくも膜下出血を起こしたりすることもあります。このような病気を脳血管疾患といいます。

脳出血

脳出血は、脳の血管が裂けて組織内で出血することによって起こる病気です。主に麻痺や感覚障害などの症状がみられることがあります。脳出血の発作は予測ができず、ある日突然起こるため、日ごろからの血圧コントロールが重要です。

脳梗塞

脳梗塞は脳血管の動脈硬化が進み、部分的に血液の巡りが悪くなる病気です。主に麻痺やしびれ、言語障害などの症状がみられるほか、後遺症が残る場合もあります。高血圧は脳梗塞の大きな原因となりますが、糖尿病や高コレステロール血症(脂質異常症)が合併すると、さらに発症する危険度が高くなります。

「高血圧と脳梗塞」について詳しく見る

血管性認知症

血管性認知症は、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害が原因で引き起こされる認知症です。アルツハイマー型認知症(脳の一部が委縮して起こる認知症)の次に多いタイプの認知症といわれており、アルツハイマー型認知症と併発することもあります。

腎臓疾患

高血圧の状態が長く続くと、腎臓の血管にも動脈硬化が生じ、腎硬化症(腎臓の血流が悪くなり腎機能が低下した状態)になることがあります。

そして、腎硬化症が進行すると、腎不全に陥る場合があります。腎不全とは腎臓のはたらきが悪くなり、老廃物を十分に排泄できなくなることです。腎機能の悪化スピードは比較的緩やかですが、高齢になってから透析が必要となることも少なくありません。

「高血圧と腎機能」について詳しく見る

高血圧網膜症

高血圧の状態が続くと網膜(目の奥にある光を感じるための膜)の毛細血管に損傷を与え、それが進行すると視力を大きく損なう場合があります。

血管疾患

閉塞性動脈硬化症

閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)は、動脈硬化によって手足の動脈が狭くなったり詰まったりすることが原因で起こる病気です。手先・足先が冷える、筋肉が痛むなどの症状が出ることがあります。

大動脈瘤

大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)は、高血圧や喫煙などが原因で大動脈(心臓から送り出された血液がはじめに通過する太い血管)の壁が弱くなり、瘤のように膨らんだ状態のことです。自覚症状は現れないのが一般的ですが、瘤が大きくなると胸や背中が痛む、息苦しさを感じるなどの症状が出ることがあります。瘤が大きくなり破裂すると、急激に危険な状態に陥り、手術を受けても助からない状態になる恐れがあります。

高血圧の合併症を防ぐためには

高血圧による合併症の進行を防ぐためには、血圧を正常値にコントロールすることが大切です。そのためには、毎日の食生活や運動の工夫が必要となります。

食事療法

高血圧の治療に欠かせないのは、食塩摂取量の制限です。日本高血圧学会は、高血圧患者における減塩目標を1日6g未満にすることを強く推奨しています。具体的には、以下のような食事の工夫を取り入れてみましょう。

  • 薬味や柑橘類の果汁、香辛料などを利用して、塩分を控える
  • 麺類の汁を飲みきらない
  • 塩辛や漬物など、塩分量の多い食品は少量にする

また、アルコールの飲み過ぎは血圧を上昇させるので注意が必要です。1日のアルコール摂取量の目安は、日本酒1合、ビール中瓶1本、チューハイ(7%)350mL缶1本程度とされています。

このような食事の制限などは、簡単ではないイメージがあるかもしれませんが、工夫次第で無理なく美味しく食べることができるといわれています。このような高血圧の合併症を防いだり、改善したりする食事の知識は管理栄養士のほか医師や看護師などがよく知っているので、不安や疑問があれば相談するとよいでしょう。

「高血圧の塩分制限」について詳しく見る

「高血圧の食事の5つのポイント」について詳しく見る

運動療法

血圧をコントロールするためには、軽めの有酸素運動がおすすめです。具体的には、ややきついと感じる程度の運動を30分以上、できれば毎日、もしくは定期的に行うことがすすめられています。運動をすることで、血圧の低下が期待できます。そのため、普段の生活の中でも可能な、散歩やウォーキング、ストレッチなどを無理のない範囲で行いましょう。

 

高血圧の合併症で気になることがあれば医療機関を受診しよう

高血圧の主な合併症には、心臓疾患や脳血管疾患、腎臓疾患、網膜症などがあります。このような合併症は時に命に関わる可能性もあるため、高血圧と診断されている場合はもちろん、診断されていない方も日頃から高血圧予防に努めることが大切です。具体的には、食事や運動などの生活習慣の改善が重要とされています。高血圧の合併症をはじめ、高血圧についての不安や疑問は医師や管理栄養士などへ相談するようにしましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、個々の患者様に最適な治療プランを検討し、理解しやすい形で治療オプションを説明し、患者様の了承を得た上で、治療方針を共に決定してまいります。当クリニックには、管理栄養士も常駐しており、食事に関する専門的なアドバイスもご利用いただけます。健康な未来への一歩を踏み出すお手伝いを心よりさせていただきます。