子宮頸がん検診の超音波検診では何が分かるの? ~検査の内容や痛みの有無~
2023.02.27婦人科検診とは、子宮頸がんや乳がんといった婦人科系の病気を見つける検査がセットになった検診のことです。
婦人科検診を受ける年齢に決まりはありません。しかし、婦人科系の病気の中には自覚症状がないまま進行するものもあります。そのため、20歳を超えたら定期的に婦人科検診を受けることが望ましく、乳がんや子宮頸がんといった女性特有のがんの早期発見、早期治療に努めるとよいでしょう。
婦人科系の病気はさまざまにありますが、代表的なものには子宮頸がんと乳がんが挙げられます。
子宮頸がんは主に性行為によってHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することが原因で発症するがんで、20歳代後半~30歳代後半の若い世代の方でもかかりやすいとされています。
また、通常初期には無症状で、ある程度進行してからも、おりものの増加や不正出血などの症状しか出ないことが多いため、自分では気が付かない場合があります。子宮頸がんの検査では、そのような自覚症状のないCIN(がんになる前段階)や早期がんも発見が可能とされています。さらに、早期に治療を受ければ90%以上の人が助かる(診断から5年生存するということ)というデータがあります。
乳がんは日本人女性がかかるがんの中で1番多く、近年ライフスタイルの変化によって罹患率が増加しています。患者数は30歳代後半から増加し始め、40歳代後半・60歳代後半にピークを迎えるとされています。
一方で、早期発見・早期治療すれば、約90%の方が治るといわれているため、乳がんの検査(マンモグラフィ)によってできるだけ早いうちに発見することが重要です。マンモグラフィはごく初期の乳がんや、セルフチェックなどでは分からない異常も発見できるため、乳がんの早期発見に役立ちます。
婦人科検診の内容はクリニックによって異なりますが、子宮頸がんを見つける検査(細胞診・HPV検査)や乳がんを見つける検査がセットになっているのが一般的です。
細胞診とは、子宮頸部(子宮の入口)にできる子宮頸がんを見つけるための検査です。子宮頸部の細胞をブラシなどでこすって採取し、顕微鏡でがん細胞がないかを確認します。
HPV検査は、子宮頸部の細胞を採取してHPVの感染の有無を確認し、子宮頸がんのリスクを調べるための検査です。細胞診と同様、子宮頸部の細胞をブラシなどでこすって採取し、顕微鏡を使ってHPVに感染しているかどうかを確認します。
一般的な子宮がん検診では、細胞診しか実施しません。しかし、細胞診が陰性でもHPV検査では陽性になるケースがあり、HPV検査を併用したほうが子宮頸がんリスクにおける異常発見率が高まると考えられています。より精度が高い婦人科検診を受けるためには、オプションでHPV検査を追加するか、細胞診とHPV検査がセットになった検診を選ぶとよいでしょう。
マンモグラフィとは、乳腺(母乳を作る組織)にできる乳がんを見つけるための検査です。国の乳がん検診としては、40歳以上の方を対象に2年に1回受けることが推奨されています。マンモグラフィでは、2枚の板で乳房をはさんで乳房を平たくしてからX線撮影(レントゲン撮影)を行い、異常がないかを確認します。
マンモグラフィ検査は乳房全体の状態を確認でき、乳房内の小さな石灰化でも確認できることが特徴です。一方で乳腺の発達した若い年代の方の場合、異常が映し出されにくいため、後述するエコー検査が提案される場合もあります。
若い年代の方に対しては、マンモグラフィの代わりにエコー検査を検討することもあります。エコー検査とは乳房の表面に専用のジェルを塗り、その上からプローブを呼ばれる機械を当てることによって乳房の内部の様子を観察する検査です。
エコー検査はマンモグラフィと比較すると、乳腺が発達した乳房であっても異常が見つけやすいという特徴があります。一方で悪性のしこりのみならず、良性のしこりも見つかるため、医師や検査技師は異常の鑑別が必要です。また、マンモグラフィと比較すると細かな石灰化を検出しづらいという特徴があります。
婦人科検診には、「何歳から受けること」というような基準はありません。しかし、前述のとおり婦人科系の病気は症状が出ないケースもあるため、20歳以降は定期的に婦人科検診を受けることが推奨されています。また、日本では子宮頸がんの検査は20歳から2年に1度、乳がんの検査は40歳から2年に1度受けることが推奨されています。しかし、子宮頸がんは性行為によるウイルス感染が原因で発症するため、性行為の経験がある場合は年齢にかかわらず子宮頸がんの検査を受けたほうがよいでしょう。
婦人科検診を受ける主な方法として、以下の3種類があります。
自治体の婦人科検診は、一定の年齢であれば公費による費用の補助が受けられることが多く、自己負担が少なく済みます。自治体によって対象の年齢や自己負担額が異なるため、居住地の自治体に確認してみるとよいでしょう。
職場の健康診断に婦人科検診が含まれている場合も、費用の一部を健康保険組合や企業が負担するため、自己負担が抑えられます。
自分で医療機関を選ぶ場合、費用は全額自己負担になるため、高額な費用がかかる可能性があります。
婦人科検診を受ける際には、着替えやすい服を着て行きましょう。また、検査後に出血する可能性があるため、ナプキンをもっていくと安心です。基礎体温や服用している薬の記録(お薬手帳など)も用意しておくと、検査に役立つことがあります。
子宮頸がん検診は、生理中に受けると検査結果が正しく出ないことがあります。生理中は検診を断られることもあるので、生理中に婦人科検診を受けるのは避けたほうがよいでしょう。
細胞診ではブラシなどで子宮頸部の細胞を採取しますが、痛みはさほど感じないことが一般的です。また、経腟超音波(膣内に小型の超音波装置を入れて子宮や卵巣の状態を確認する)が行われることもありますが、この検査も痛みは一切ないといわれています。
一方、マンモグラフィでは、乳房をプラスチックの板ではさんで撮影するため、痛みを感じることがあります。婦人科検診について不安や疑問がある場合は事前に医師や看護師に相談するようにしましょう。
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