
【研究解説】睡眠時間を増やすと自然に痩せる?最新研究が示す驚きのメカニズム
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▼睡眠と体重減少の意外な関係
2022年JAMA Internal Medicine誌に掲載された画期的な研究によると、睡眠時間を延長することで1日あたり約270kcalの摂取カロリーが自然に減少することが明らかになりました。これはチョコレートバー1本分、またはご飯1膳半に相当する量です。
研究対象となったのはBMI25-29.9の過体重成人80名。普段6.5時間未満の短時間睡眠者を対象に、2週間の睡眠延長プログラムを実施した結果、驚くべき変化が観察されました。
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▼研究の核心データ
・睡眠時間増加:1.2時間/日(8.5時間睡眠達成)
・摂取カロリー減少:270kcal/日
・体重減少効果:エネルギー収支の改善
・持続期間:家庭での通常生活を維持しながら達成
「睡眠時間を延ばすだけで、特別なダイエットや運動なしにこれだけの効果が得られるとは驚きです」と研究者はコメント。これは脳の食欲調節機能(レプチンとグレリンのバランス)が正常化するためと考えられています。
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▼医学論文要約(日本語訳)
【重要性】短時間睡眠が肥満リスク要因と認知されているが、睡眠延長がリスク軽減に有効かは未解明だった
【方法】過体重成人80名を対象に無作為化比較試験を実施。2週間のベースライン観察後、睡眠延長群(8.5時間睡眠目標)と対照群に分け、二重標識水法によるエネルギー消費量測定と体重変化を分析
【結果】睡眠延長群では1日270kcalの摂取カロリー減少(P<0.001)、睡眠時間と摂取カロリーに逆相関(r=-0.41)。特別な食事制限なしに体重減少が確認
【結論】習慣的な短時間睡眠者の睡眠改善は、現実環境下でのエネルギー摂取減少と体重管理に有効。肥満予防プログラムへの睡眠改善の組み込みが示唆
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▼専門家推奨「質の高い睡眠10か条」
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▼睡眠科学者が語る成功の秘訣
「重要なのは『完璧な8時間』を目指すのではなく、現状の睡眠時間から徐々に30分ずつ延ばすこと。週末の寝だめは逆効果です。まずは照明調整とデジタルデトックスから始めてみましょう」
睡眠改善がもたらすダイエット効果は、単なるカロリー計算を超えた生体メカニズムに基づいています。今夜から始められる「眠るだけダイエット」、科学的根拠に基づいた健康的な体重管理法として注目されています。
(出典:JAMA Intern Med. 2022;182(4):365-374. doi:10.1001/jamainternmed.2021.8098)