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コラム
2025.04.16

睡眠不足が不安を招く? 最新研究が示す「眠り」と「心」の深い関係

睡眠不足が不安を招く? 最新研究が示す「眠り」と「心」の深い関係

「なんだか理由もなく不安になる」「心配事が頭から離れない」——現代社会において、多くの人が不安感と隣り合わせの日々を送っています。ストレスや環境が原因と思われがちですが、実は「睡眠の質」が私たちの心の状態に深く影響していることが、最新の研究で明らかになってきました。

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睡眠不足が脳に与える影響とは?

権威ある学術誌『Nature Human Behaviour』に掲載された研究によると、睡眠不足は私たちの脳機能に直接的な影響を与えることが示唆されています。

具体的には、睡眠が足りていない状態だと、脳の「前頭前野」と「大脳辺縁系」の間の機能的な連携がうまくいかなくなるとのこと。

  • 前頭前野: 理性的な思考、判断、感情のコントロールなどを司る、いわば脳の司令塔です。
  • 大脳辺縁系: 食欲や性欲といった本能的な活動や、快・不快、怒り、不安などの感情を生み出す部分です。

睡眠不足によってこれらの連携が乱れると、感情を司る大脳辺縁系の活動が過剰になりやすく、それを前頭前野がうまくコントロールできなくなります。その結果、たとえわずかな睡眠不足であっても、翌日に不安を感じやすくなる可能性があるのです。

「深い睡眠」が不安を和らげる鍵

一方で、この研究は希望の光も示しています。それは、十分な「深い睡眠」(ノンレム睡眠の中でも特に重要な段階)をとることです。

深い睡眠は、日中に酷使された脳を休息させ、記憶を整理し、脳の機能を回復させる重要な役割を担っています。研究によれば、この深い睡眠が、睡眠不足によって乱れた前頭前野と大脳辺縁系の連携を修復し、不安感を軽減する効果が期待できるとされています。

つまり、「不安なときこそ、ぐっすり眠る」ことは、科学的にも理にかなった対処法と言えるのです。

質の高い睡眠をとるためのヒント

では、どうすれば不安を和らげる「質の高い睡眠」を得られるのでしょうか? 日常生活で取り入れやすい方法をいくつかご紹介します。

  1. 就寝1時間前はデジタルデトックス: スマートフォンやパソコン、タブレットの画面から発せられるブルーライトは、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌を抑制し、寝つきを悪くすることが知られています。就寝前は、読書や穏やかな音楽を聴くなど、リラックスできる時間に切り替えましょう。

  2. ぬるめのお風呂でリラックス: 熱すぎるお湯は交感神経を刺激し、かえって目が覚めてしまうことがあります。就寝の1〜2時間前に、38〜40度程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かるのがおすすめです。入浴によって一時的に上がった深部体温が、就寝時にかけて自然に下がっていく過程で、スムーズな入眠が促されます。

  3. それでも眠れないときは専門家へ相談: セルフケアを試しても寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝起きても疲れが取れていないといった状態が続く場合は、一人で抱え込まずに医師や専門家に相談しましょう。 不眠の原因は様々であり、適切な診断とアドバイスが必要です。場合によっては、医師の判断のもと、依存性のリスクが低いとされる新しいタイプの睡眠薬(例:オレキシン受容体拮抗薬 (デエビゴなど))などが処方されることもありますが、自己判断での使用は絶対に避け、必ず指示に従ってください。

まとめ: 心の健康のために、今夜から「睡眠」を見直そう

忙しい毎日の中で、睡眠時間を削ってしまいがちな人もいるかもしれません。しかし、睡眠は単なる休息ではなく、脳機能を回復させ、心のバランスを保つために不可欠な時間です。

もしあなたが日々の不安感に悩まされているなら、まずは「質の高い睡眠」を意識することから始めてみてはいかがでしょうか。ぐっすり眠ることが、穏やかで前向きな明日への第一歩となるかもしれません。


参考文献: Ben Simon, E., Rossi, A., Harvey, A.G. et al. Overanxious and underslept. Nat Hum Behav 3, 100–110 (2019).

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