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ユリス(一般名:ドチヌラド)とは、痛風や高尿酸血症の治療に使われる薬で、尿酸値を下げる効果が期待できます。2020年に処方可能になった比較的新しい機序の薬で、形状は錠剤です。ユリス錠0.5mg、1mg、2mgの3種類があります。
ユリスは、“選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI)”に分類される薬です。具体的には、URAT1という遺伝子だけを選択的に阻害する(活性の低下、あるいは消失させる)ことで一度排出された尿酸の再吸収を抑え、尿中尿酸排泄量を増やすことにより血清尿酸値を低下させる作用があります。
高尿酸血症は痛風発作を誘発するだけでなく、慢性腎臓病や心疾患などのリスクとなります。また、メタボリックシンドロームを併発する可能性のある病気でもあり、その多くは腎臓から排出される尿酸の量が減ってしまう“尿酸排泄低下型”だとされています。
1日1回0.5mgの内服から始め、必要に応じて少しずつ増量することが一般的です。これは薬の使用によって尿酸値が急激に低下すると、痛風発作につながることがあるためです。たとえば、服用開始から2週間経過したら1日1回1mg、6週間経過したら1日1回2mgというように、少しずつ増量します。
また、医師の判断のもと、病態に応じて適宜増減が可能ですが、1日に服用できる上限は4mgとされています。
ピラジナミドは尿酸の再吸収を促進し、サリチル酸製剤は尿酸の排泄を抑えることで、ユリスの尿酸を排泄する効果が弱まる可能性があるとされているため、すでに服用していたり、併用したりする可能性がある場合は医師に相談しましょう。
アルコールによってユリスの作用が強くなりすぎたり、副作用のリスクが高まったりするため、薬とは同時に飲まず、飲酒する場合は十分に時間を空けるようにしましょう。
以下のような症状が現れることがあるため、気になる症状があったり、長く続いたりする場合などは受診を検討するとよいでしょう。
痛風関節炎とは、結晶化した尿酸が関節に沈着して生じる関節炎で、5%以上の頻度で起こることがあるとされています。
前述のように、急激な尿酸値低下が起こると痛風関節炎につながることがあるため、ユリスのような尿酸値を下げる薬は服用量を徐々に増やしていくことが一般的です。
1~5%未満の頻度で関節炎や四肢の不快感が生じることもあります。
1%未満の頻度で以下のような症状が現れることがあるため、気になる症状があったり、長く続いたりする場合などは受診を検討するとよいでしょう。
γ-GTP(ガンマGTP)とは、タンパク質の分解に関わる酵素の1つで、肝機能の指標となるものです。肝機能障害などが起きているとγ-GTPが増加するとされていますが、ユリスの服用によって数値が増加することもあります。
また、ユリスと同じように尿酸値を下げる薬によって、重い肝障害が発生した事例もあるため、服用中は定期的に肝機能検査などが行われることもあります。
服用を始めた頃に、腎臓結石などの尿路結石が生じることがあります。尿路結石とは、腎臓から尿道の間に結石ができる病気で、腎臓にできた場合に腎臓結石と呼びます。突然の激しい痛みや血尿などの症状が現れた場合は結石の可能性があるため注意が必要です。予防のために自分でできることとしては、水分を十分に摂取することが挙げられます。
また、腎臓にカルシウムが沈着する腎石灰沈着症が生じることもありますが、放置しても問題ないことが多いといわれています。
1%未満の頻度で軟便や関節痛が生じることもあります。さらに、頻度は不明ですが、発疹などの症状が現れることもあります。