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2022.05.25
#内科 #対象疾患

悪性貧血

悪性貧血とは

貧血は赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度が低下した状態のことです。貧血にはいくつかの種類があり、その中の1つに悪性貧血があります。これは“巨赤芽球性貧血”の1つで、ビタミンB12の吸収障害によって起こる貧血のことです。巨赤芽球性貧血はビタミンB12または葉酸不足で起こる貧血の総称で、中でもビタミンB12の吸収に必要な内因子(糖たんぱく質)や、内因子をつくる胃壁の細胞を自分自身の抗体が攻撃することで、ビタミンB12の吸収障害が起こるものが悪性貧血に分類されています。

ただし、貧血の中でもっとも多いのは体の中で鉄が不足する“鉄欠乏性貧血”です 。一方ビタミンB12が不足する貧血は、人口10万人あたり年間1~2人程度といわれ、鉄欠乏性貧血と比べると頻度は少ないといわれています。

悪性貧血の症状

悪性貧血になってもすぐに症状が現れるわけではありません。なぜなら、体の中にはビタミンB12が貯蔵されているほか、再利用されるものもあるためです。しかし、貯蔵されているものも徐々に消費されていき、5年ほどで使い果たされ、以下のような症状がみられることがあります。

  • 貧血症状(息切れ、動悸、疲労感など)
  • 下痢
  • 舌炎(舌の痛みや味覚障害を伴う炎症)
  • 食欲不振
  • 末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)(手や足のしびれ、歩行が不安定になるなど)
  • 思考力の低下
  • 性格の変化 など

手足のしびれなどが起こる末梢神経障害や、認知症といった神経症状はビタミンB12欠乏の特徴的な症状であり、長期化すると治らない可能性もあるといわれています。

受診の目安

適切な治療を行えば貧血は回復するとされていますが、末梢神経障害や認知症などの神経症状は貧血と比較すると回復が遅く、改善しないこともあるため、早期発見・早期治療が重要といわれています。そのため、気になる症状がある場合、まずはかかりつけ医に相談したり、内科などの受診を検討したりするとよいでしょう。

ただし、先述のとおりビタミンB12の吸収障害が起こっていても重症になるまで症状が出ないことがあります。また、症状が出た時点では重度になっているケースも少なくありません。そのため、定期的に健康診断を受けることが早期発見のために大切です。血液検査によって貧血の有無が分かることがあるため、異常を指摘された場合は放置せず受診を検討するとよいでしょう。特に胃がんなどで胃の摘出を行った方は、ビタミンB12吸収障害が発生することがあるため注意が必要です。

悪性貧血の治療のポイント

ビタミンB12の補充

ビタミンB12を注射または点滴で補充することが一般的です。先天性の要因によって貧血が起こっている場合は、継続して治療を行う必要があります。

悪性貧血になったときに気を付けたいポイント

原因によって異なりますが、悪性貧血を含めた貧血の改善、予防のためには食生活を見直すことがポイントとなります。

規則正しい食生活

一日三食を規則正しく食べるようにし、食事を抜いたり偏食したりしないようにしましょう。過剰なダイエットが貧血の原因になることもあるため、注意が必要です。

栄養バランスのよい食事

インスタント食品を中心とする食生活を改め、主食、主菜(たんぱく質を多く含む魚や肉、卵、大豆など)、副菜(ビタミン、ミネラルを多く含む野菜や海藻類など)を組み合わせた、栄養バランスのよい食事を取ることが大切です。

特にたんぱく質は赤血球やヘモグロビンをつくる元になる栄養素であるため、毎食取り入れるとよいでしょう。また、悪性貧血において不足しているビタミンB12は牛や豚のレバー、魚介類、貝類、卵の黄身、チーズなどに多く含まれているため、積極的な摂取を心がけましょう。

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