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診療科目
2022.09.30
#対象疾患

AST

ASTとは

ASTは、食べ物を消化したり分解したりするなど体の中で起こる多くの化学反応に必要な“酵素”の一種で、名前を“アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ”といいます。肝臓に多く存在し、栄養素であるアミノ酸の代謝に関わっています。

ASTは、肝臓に何らかの障害が起こった場合、肝細胞が壊れることで血液中に放出されます。そのため、血液中にあるASTの量によって、肝臓の機能がどの程度障害を受けているかを把握することができるのです。

ASTとALTで分かること

前述のように、ASTの値が上がることで、肝臓機能の障害の程度を予測することができますが、ALTを調べることでさらに精度が高まります。

ALTは“アラニンアミノトランスフェラーゼ”といい、はたらきはほとんどASTと同じです。しかし、ASTが肝臓のほか心臓の筋肉や骨格筋にも多く含まれるのに対し、ALTは肝臓に非常に多いという点が異なります。

血液中の両者の違いによって障害された場所がさらに明確になるため、通常の健康診断ではセットで測定されることが一般的です。

2つの値で疑われる病気は以下のとおりです。

  • ASTのみ高値:心筋梗塞(しんきんこうそく)、多発性筋炎、溶血性貧血など
  • 共に高値でAST>ALT:アルコール性肝炎、肝硬変など
  • 共に高値でALT>AST:急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝など

ASTの検査方法

ASTの検査は採血によって行われます。健康診断で行われる血液検査の肝臓機能検査として含まれることが一般的です。

気になる症状がある場合、保険適用でASTの検査ができる場合もあります。

検査前の注意点

検査は採血によって行われるため、注射に伴う痛みを感じることがあります。

食事や嗜好品による検査値への影響を最小限にするため、検査前日は21時までには夕食を済ませるほか、禁酒が指示されることになります。

また、筋肉中にも多く含まれるAST検査の注意点として、前日の激しい運動は控えるようにいわれる可能性があります。これは運動による血液中への放出が検査当日まで継続する可能性があるためです。

ASTの基準値と異常値

基準値

  • 7~38 IU/L

基準値は医療機関によって異なる場合がありますが、7~38 IU/Lの場合は7~38 IU/Lの場合は問題ないと判断します。なお、基準値より低値の場合は特に問題になることはないとされています。

異常値

  • 39~89IU/L(軽度高値)

アルコール性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝などが疑われます。

  • 90~499IU/L(中程度高値)

活動性慢性肝炎、急性ウイルス性肝炎などが疑われます。

  • 500IU/L以上(高度高値)

急性肝炎、うっ血性肝炎などが疑われます。

基準値を超えていた場合は上記のような病気が疑われます。前述のとおり、肝臓の障害はASTとALT を合わせて確認することが大切です。ASTとALTどちらも基準値を超えている場合は、肝炎や肝硬変、脂肪肝などの病気にかかっている可能性が考えられます。また、ALTのほうが高い場合は脂肪肝が、ASTのほうが高い場合は肝硬変やアルコール性肝障害などのほか、心筋梗塞や貧血などの肝臓以外の病気にかかっている可能性も考えられます。

異常が見つかった場合

異常が見つかった場合は医療機関の受診を検討しましょう。肝臓の病気は自覚症状に乏しく、健康診断などで指摘されても特に自覚できない方もいるかもしれません。しかし、肝臓の病気と診断された場合は適切な治療が必要となります。低値の場合は基本的に経過観察で対応できます。

医療機関では、同じく採血で調べるγ-GTPとともに、必要に応じて、腹部に超音波を当てるエコー検査、X線を使って断層画像をみる腹部CTなど、ほかの肝機能検査値と組み合わせてより詳しく調べることもあります。