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2023.01.11
#アレルギー科 #対象疾患

リーキーガット症候群と遅延型アレルギーについて

リーキーガット症候群とは

食物の消化や栄養素の吸収を行う器官である腸には、消化吸収できなかった成分や常在細菌、病原菌など、多くの物質が通過したり留まったりしています。そこには、腸内細菌が体内へ入ってくるのを防ぐために、「腸壁バリア」というバリアシステムが存在しています。腸の表面は「上皮細胞」で覆われ、上皮細胞と上皮細胞の隙間には、腸管に存在する常在細菌や病原菌などが体内に入ってくるのを防ぐためにタンパク質で作られている「タイトジャンクション」が固定されています。こういった構造のことを「腸壁バリア」と呼びます。

ところが、何かしらの原因で上皮細胞の隙間を封印しているタイトジャンクションが緩んでしまうと、上皮細胞と上皮細胞の間に隙間ができて、腸壁バリアが破綻してしまいます。その隙間から、本来透過することがない老廃物や微生物成分などが体内に入って血中に漏れ出てしまう状態が、リーキーガット症候群です。

リーキーガット症候群は、慢性炎症を引き起こすことが問題視されています。ケガをしたときに皮膚が赤くなり、痛みを感じたり腫れたりしますが、これは体内で起こっている急激な炎症、つまりケガや病気になった時に突然生じる「急性炎症」です。これに対して、明らかな症状がないにも関わらず、体内で静かに起こっていく炎症を「慢性炎症」といいます。最近の研究によって、これまで慢性炎症との関連がないと思われていた疾患にも、実は慢性炎症が関わっていることがわかってきました。更には老化でさえも、慢性的な炎症性の変化によって症状が進行するのではないかと考えられるようになってきています。

リーキーガット症候群の原因

リーキーガット症候群の原因として挙げられるのが、小麦タンパク質の「グルテン」です。グルテンの代謝過程で発生する物質が、腸管の上皮細胞と細胞の隙間を開けて通過をよくする作用があるため、上皮細胞の隙間を封印しているタイトジャンクションがほどけてしまうのです。

グルテン以外にも、アルコール、カフェイン、食物アレルギー、腸内環境の乱れ、感染症、化学物質などの環境毒素、薬品、精神的なストレスなども、腸壁バリアがダメージを受けやすくなり、リーキーガットを引き起こす要因と言われています。

リーキーガット症候群が引き起こす症状

リーキーガット症候群が原因で引き起こされる症状/疾患は、大まかに以下の3つに分類されます。

① 腸に関連した症状
過敏性腸症候群、お腹の張り、胸やけ、腹痛、消化不良など

② 遅延型アレルギー
メカニズムはまだ十分に分解されていませんが、遅延性アレルギーにもリーキーガット症候群が関係していると言われています。本来透過することがない食べ物の一部などが血中に入ってしまい、免疫が反応することで、食物アレルギーを引き起こすきっかけとなります。
一般的なアレルギーというのは、何かに暴露されて数時間後に症状が現れます(例:食べ物による蕁麻疹)。これに対して遅発型アレルギーというのは約半日、さらには2~3日ぐらいたってから症状が出るアレルギーのことです。その原因となる食べ物を食べてから半日から数日の時間が経っているわけですから、なかなか食事との関係性が分かりにくいという特徴があります。

遅延型アレルギーの検査について詳細はこちら

③ 慢性炎症が引き起こす疾患
食物成分は消化器官以外の体内では異物と認識されるため、免疫の攻撃を受けることによって炎症が引き起こされ、その炎症は慢性的に続きます。

慢性炎症が関係する可能性がある疾患例

  • 動脈硬化関連疾患(高血圧症、狭心症/心筋梗塞、脳卒中、慢性腎臓病など)
  • 糖尿病
  • 様々な癌(悪性疾患)
  • アルツハイマー型認知症
  • 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患
  • 慢性疲労症候群
  • 副腎不全など

リーキーガット症候群の予防と治療

リーキーガットは、グルテンの過剰摂取や偏った食生活、ストレスが原因で起こるため、食生活の改善や生活習慣を見直すことが重要になってきます。
食事のポイントは、糖類や小麦製品を減らし、水溶性の食物繊維、発酵食品を積極的に摂ること。これにより腸内の環境を整え、慢性炎症を減らすことができると考えられます。

著:医師 天野方一(eHealthclinic院長)