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性病予防・治療の最新情報
2025.04.25

梅毒感染経路に心当たりがない場合の可能性と検査の必要性

梅毒は、トレポネーマ・パリダムという細菌による感染症です。近年、性感染症の中でも感染者数が急増しています。感染経路としては、性的接触や妊娠中の母子感染などがあります。特に、男性間の性的接触者(MSM)において、発生率が増えており注意が必要です。以下のグラフを見ても、梅毒報告者が増えていることがわかります。

2023年は第1週から第52週に診断された報告数(2024年1月5日時点) 資料:厚生労働省「梅毒の発生状況について」及び国立感染症研究所「日本の梅毒症例の動向について」より政府広報室作成

梅毒は早期に発見し、早期に治療を行うことで、病状の改善が期待できます。しかし、初期症状で気づきにくい場合が多く、無症状のまま感染を広げてしまう可能性があります。本記事では、梅毒の感染経路や検査の必要性について解説します。早期発見と適切な治療で、自分自身と大切な人の健康を守りましょう。

梅毒への感染が少しでも疑われる場合は、新宿区保健所や東京都新宿東口検査・相談室など、信頼できる検査機関で早期に検査を受けることが大切です。当院では、土日や祝日も診療しています。梅毒に感染した可能性がある場合は、お気軽にお問い合わせください。
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梅毒の感染経路3つ

梅毒の感染経路について、以下の3つを解説します。

  • 性行為による感染(性器・口腔・肛門)
  • 母子感染(妊娠中の母親から胎児へ)
  • 血液を介した感染(まれなケース)

性行為による感染(性器・口腔・肛門)

梅毒は、主に性行為によって感染します。一般的には、性器同士の接触ですが、オーラルセックスやディープキスなどの口腔接触、アナルセックスによる肛門接触でも感染する可能性があります。コンドームは感染リスクを減らすことができますが、梅毒の場合は粘膜接触部分すべてをカバーできないため、正しく使用しても完全な予防は難しい場合があります。

感染リスクを高める行動として、複数のパートナーとの性行為やコンドーム不使用の性行為、他の性感染症の既往歴などが挙げられます。性感染症は重複感染のリスクも高いため、過去に性感染症にかかったことがある方は、注意が必要です。性行為の頻度や相手の数に関わらず、コンドームを正しく使用することは大切です。

母子感染(妊娠中の母親から胎児へ)

妊娠中に母親が梅毒に感染している場合、胎盤を通して胎児に感染する可能性があります。流産や死産、先天性梅毒などの深刻な合併症を引き起こす場合があり、注意が必要です。先天性梅毒は、胎児の発育に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、皮膚や骨の異常、神経系の障害、発達遅延などが挙げられます。

妊娠中は、定期的に梅毒の検査を受けることが重要です。母親の梅毒感染時期によって、胎児への影響は異なる場合があります。妊娠初期に感染すると流産や死産の確率が高く、妊娠中期以降に感染すると、先天性梅毒のリスクが高くなる可能性があります。早期に発見し治療することで、胎児への感染リスクを減らせる場合があるため、定期的に検査を受けることをおすすめします。

血液を介した感染(まれなケース)

輸血によって梅毒に感染する場合もあります。過去の輸血による梅毒感染の事例を踏まえ、献血された血液は、梅毒を含むさまざまな感染症の検査が行われています。そのため、現代ではまれなケースとなっています。

道端に落ちているような注射器には触れないようにしましょう。タトゥーやピアスの施術時にも注意が必要です。衛生管理が徹底された施設を選びましょう。他人の血液に直接触れないことも大切です。自分がけがをしていると、傷口から感染する可能性もあります。

梅毒に感染しても「心当たりがない」と感じる理由

梅毒に感染しても「心当たりがない」と感じる理由は、主に以下の2つです。

  • 無症状で進行することが多いため気づきにくい
  • 感染から症状が出るまでに時間がかかる場合がある

無症状で進行することが多いため気づきにくい

梅毒は感染しても、すぐに目立つ症状が出ない場合が多い病気です。感染初期(第1期)では、性器や口の中、肛門まわりに、しこりや小さな潰瘍(ただれ)ができることがあります。痛みがないため気づかれにくく、数週間で自然に消えてしまうことがあります。

性行為の数週間後に一度できた症状が自然と治ったため、感染に気づかず生活を続けていた場合も少なくありません。心当たりがないのに梅毒と診断されたと戸惑う人も多いです。梅毒は症状がなくても体の中で進行していくため、気づかないうちに他人にうつしてしまうリスクもあります。無症状でも検査を受けることが大切です。

感染から症状が出るまでに時間がかかる場合がある

梅毒は、感染してから症状が現れるまでに時間がかかる場合があります。感染から約2〜6週間で初期症状が出るとされていますが、個人差があります。

2か月前に一度あった性行為のことを忘れていて、ある日突然、梅毒と診断されて驚いたというケースもあります。潜伏期間中に他の人と関係を持っていた場合、誰から感染したのかや自分がうつしたのかなどの混乱につながります。症状が出るタイミングと感染時期がずれることがあるため、思い当たることがないように感じてしまう場合があります。

梅毒の検査の概要|早期発見が重要

早期発見が重要な梅毒の検査概要について、以下の5つを解説します。

  • 検査方法(血液検査など)
  • 検査費用と医療機関の探し方
  • 検査を受けるタイミング
  • パートナーへの感染リスクと検査の必要性
  • 無症状の場合もあるため、早期検査が大切

検査方法(血液検査など)

梅毒の検査は、主に血液検査で行います。血液検査では、梅毒トレポネーマという梅毒の原因となる細菌に対する抗体の有無を調べます。抗体とは、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの異物から体を守るために、免疫システムが作り出すタンパク質のことです。

梅毒の血液検査には、STS法とTP法という2種類の方法があります。STS法は、感染の活動性を調べる検査で、現在感染しているかどうかを判断するのに役立ちます。TP法は、過去に梅毒に感染したことがあるかどうかを調べる検査です。検査を組み合わせることで、より正確な診断が可能な場合があります。

血液検査以外にも、感染部位から分泌液を採取して顕微鏡で梅毒トレポネーマを直接確認する方法もあります。初期の潰瘍があるときにのみ有効な場合があり、症状が消えてしまうと検出が難しい可能性があります。

検査費用と医療機関の探し方

梅毒の検査費用は、医療機関や検査方法によって異なりますが、保険適用で3,000〜5,000円が目安です。検査を受けられる医療機関は、性感染症を専門とするクリニックや皮膚科、泌尿器科、婦人科などがあります。

インターネットで検索したり、保健所などに問い合わせたりすることで、お近くの医療機関を探すことができます。匿名で検査を受けられる機関もあるので、プライバシーが気になる方は、検討してみましょう。

検査を受けるタイミング

梅毒の検査は、感染の可能性がある行為(性行為など)から、3週間以上経過後に受けることが推奨されます。感染直後では体内に抗体が十分に作られていないため、正確な結果が出ない可能性があるためです。

感染が疑われるような症状が出ている場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。症状がなくても、定期的に検査を受けることで早期発見・早期治療につながります。複数のパートナーと性行為をしている方や妊娠を希望している方は、定期的な検査を受けることをおすすめします。妊娠中の梅毒感染は、胎児に深刻な影響を与える可能性があるため、妊娠を希望する女性は事前に検査を受けることが重要です。

パートナーへの感染リスクと検査の必要性

梅毒は性行為によって感染する場合が多いため、パートナーへの感染リスクがあります。梅毒と診断された場合は、パートナーにも検査を受けてもらい、必要であれば治療を受けることが重要です。お互いの健康を守り、感染拡大を予防するためには、正直に話すことが大切です。

治療中は性行為を控え、感染を広げないよう注意する必要があります。梅毒は早期発見し、治療を開始することで、重症化を防ぎ、病状の改善を目指せる可能性が高まります。完治のために、パートナーと協力して治療に取り組みましょう。

無症状の場合もあるため、早期検査が大切

梅毒は感染しても初期には症状が出ないことが多く、無症状のまま数年経過する場合があります。症状が出てからの検査では、病気が進行して治療が難しくなる可能性があります。症状がなくても、感染の可能性があれば早期に検査を受けることが重要です。

心当たりがない場合でも、感染している可能性はゼロではありません。梅毒は早期発見と早期治療によって、病状の改善が期待できる疾患です。早期に発見し治療を開始することで、重症化を防ぎ、完治を目指せます。早期治療はパートナーへの感染リスクを減らすことにもつながりますので、積極的に検査を受けるようにしましょう。

梅毒の治療方法(ペニシリン系抗菌薬)

梅毒の治療には、主にペニシリンGベンザチンの薬剤が用いられます。筋肉注射で投与され、体内でゆっくりと放出されることで、長期間にわたって効果を発揮します。初期梅毒の場合は1回、後期梅毒の場合は週1回、計3回の注射を必要とする治療方法です。ペニシリンアレルギーがある場合は、ドキシサイクリンやテトラサイクリンなどの抗菌薬が使用されることもあります。

治療開始後、数時間以内に発熱や悪寒、頭痛、筋肉痛などの症状が現れることがあります。ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応と呼ばれる一時的な反応です。原因菌が死滅する際に、放出される物質によって引き起こされると考えられており、通常は24時間以内に治まります。解熱鎮痛剤などで対処できますが、症状が重い場合は医師に相談しましょう。

当院では、梅毒の初期段階における診断・治療に対応しています。専門医療機関と連携し、より進行したケースが疑われる場合にも、適切な診療体制を整えていますので、安心してご相談いただけます。

梅毒の治療期間|完治までにかかる時間と注意点

梅毒の治療期間は、病期によって異なります。初期梅毒(感染後1年以内)の場合は、1回の注射で治療が完了します。感染後1年以上経過した後期梅毒の場合は、週1回の注射を3週間続ける必要があります。

神経梅毒のように重症化した場合は、入院して2週間ほど集中的な治療を受ける必要があります。治療期間はあくまで目安であり、個々の病状や治療への反応によって異なります。治療後も定期的な検査を受け、医師の指示に従うことが重要です。

梅毒は、放置すると心臓や血管、脳などさまざまな臓器に深刻なダメージを与える可能性があります。早期発見と適切な治療によって完治が期待できる病気ですので、気になる症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。

当院では、性感染症のオンライン診療を行っています。検査や治療に関するご相談など、お気軽にお問い合わせ下さい。
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まとめ

梅毒は早期発見・早期治療により、病状の改善が期待できる疾患です。感染経路は主に性行為ですが、心当たりがない場合でも、初期症状の気づかなさや無症状感染者との接触など、さまざまな可能性があります。

少しでも不安があれば、検査を受けることが大切です。行われる血液検査の費用は、保険適用で3,000〜5,000円程度です。治療はペニシリン系抗菌薬が用いられ、病期によって期間が異なります。パートナーへの感染を予防するためにも、早期検査と適切な治療を心がけましょう。

当院では、性感染症の検査を行っています。検査方法や費用について、詳しくは以下のページををご覧ください。
>>性感染症の検査・治療について

参考文献

Arando Lasagabaster M, Otero Guerra L. Syphilis. Enfermedades infecciosas y microbiologia clinica (English ed.) 37, no. 6 (2019): 398-404.

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