
イーヘルスクリニック新宿院の天野です。近年、エイジングケアの分野で大きな注目を集めている「NMN」。私自身も、日々の健康維持とパフォーマンス向上のために普段から愛用しているサプリメントの一つです。
これまでNMNは、細胞レベルでの若返り効果が主に期待されてきましたが、最近では運動時のパフォーマンス向上に関する非常に興味深い研究も報告されています。今回は、2021年に中国の研究チームが発表したアマチュアランナーを対象とした研究を基に、NMNが私たちの運動能力にどのような影響を与えるのか、その科学的根拠を詳しく解説します。
2021年7月に発表されたこの研究は、科学的信頼性の高い「ランダム化二重盲検プラセボ対照試験」という手法で、48名の若年・中年アマチュアランナーを対象に行われました。参加者は、偽薬(プラセボ)を飲むグループと、NMNを1日300mg(低用量)、600mg(中用量)、1200mg(高用量)摂取する3つのグループに分けられ、週5〜6回のトレーニングを続けながら6週間過ごしました。
その結果、非常に興味深い事実が明らかになりました。
6週間の摂取後、NMNを1日600mgおよび1200mg摂取したグループでは、偽薬のグループと比較して、以下の点で有意な改善が見られました。
(6 週間の投与によるベースラインからの変化量の共分散分析による)
専門用語で少し難しいですが、これは体がより効率的に酸素を利用できるようになったことを意味します。つまり、特に長時間の運動を続ける「持久力」や「スタミナ」が向上した可能性を示唆しています。
一方で、6週間投与後のVO2max、O2-pulse、仕事率に関係するVO2、ピークパワーには、いずれの群もベースラインからの差は見られませんでした。
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、体内で「NAD+」という、生命活動に不可欠な物質に変換されるビタミンの一種です。
このNAD+は、細胞がエネルギーを作り出す(代謝)際や、傷ついたDNAを修復する際、さらには感染や遺伝子への毒性といった様々なストレスから体を守る際にも働く重要な補酵素ですが、残念ながら加齢とともに体内で減少していきます。このNAD+の減少が、老化による様々な機能低下の根本的な一因と考えられています。
運動時、特に持久力が求められる場面では、筋肉は大量のエネルギーを継続的に作り出す必要があります。NMNを摂取してNAD+のレベルを高めることは、このエネルギー産生工場(ミトコンドリア)の働きをより効率的にし、持久力の向上に繋がると考えられるのです。
NMNの摂取によりNAD+レベルが向上すると、運動能力以外にも、以下のような多岐にわたるエイジングケア効果が期待されています。権威ある学術誌に掲載された総説論文でも、NMNが糖尿病、アルツハイマー病、血管の機能障害、炎症などに対して保護効果を持つ可能性がまとめられています。
これらの働きにより、肌のハリや弾力性の改善(皮膚の若返り)、筋肉機能の維持、記憶力の向上など、具体的なエイジングサインの改善に繋がることが期待されています。
日々のパフォーマンス向上と、未来の健康のために。NMNで始める新しいエイジングケアを、あなたも体験してみませんか?
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この記事の監修者
天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)
この記事の運営者:イーヘルスクリニック新宿院