
イーヘルスクリニック新宿院の天野です。近年、エイジングケアの分野で大きな注目を集めている「NMN」。私自身も、日々の健康維持とパフォーマンス向上のために普段から愛用しているサプリメントの一つです。
これまでNMNの効果は動物実験での報告が中心でしたが、ここ数年で、その有効性や安全性を検証するヒト臨床試験のデータが次々と報告され始めています。今回はその中から、NMNが人間においても動脈硬化を改善させる可能性を示した、非常に興味深い論文を紹介します。動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気の根本原因であり、この分野での進展は、予防医療において極めて重要です。
今回ご紹介するのは、健康な中年成人36名を対象に行われた、12週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験です。これは、科学的信頼性が非常に高い研究手法です。参加者は、1日に250mgのNMNを摂取するグループ(125mgを1日2回)と、偽薬(プラセボ)を摂取するグループに分けられ、その効果が比較されました。
この研究では、動脈硬化の進行度を測る指標として「脈波伝播速度(baPWV)」が用いられました。これは、心臓から押し出された血液の脈動が、血管を伝わる速さのことです。血管が硬くなるほど、この速度は速くなります。つまり、この数値が低いほど、血管がしなやかで若い状態を意味します。
研究全体では、脈波伝播速度(baPWV)はNMNグループで低下傾向にあったものの、統計的に意味のあるほどの差(有意差)はありませんでした。
しかし、研究チームが参加者をさらに詳しく分析したところ、ベースラインのBMI(肥満度)や血糖値が平均よりも高かった人に限定すると、NMNを摂取したグループは偽薬のグループと比較して、動脈硬化の指標が有意に改善していたのです。
この結果は、NMNの補給が、特に肥満傾向や血糖値の乱れといった、生活習慣病のリスクが出始める中年成人において、血管の健康状態を改善する(血管を若返らせる)可能性があることを強く示唆しています。また、この試験ではNMN摂取による有害事象は見られず、12週間にわたる毎日の摂取でも安全に続けられることが確認されました。
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、体内で「NAD+」という、生命活動に不可欠な物質に変換されるビタミンの一種です。
このNAD+は、細胞がエネルギーを作り出す(代謝)際や、傷ついたDNAを修復する際、さらには感染や遺伝子への毒性といった様々なストレスから体を守る際にも働く重要な補酵素ですが、残念ながら加齢とともに体内で減少していきます。40代、50代になると、その量は若い頃の半分程度にまで落ち込むと言われています。このNAD+の減少が、老化による様々な機能低下の根本的な一因と考えられています。
そこで、NMNをサプリメントとして補うことで、減少したNAD+を増やし、細胞レベルからのエイジングケアを目指すというのが、NMN療法の基本的な考え方です。
NMNの摂取によりNAD+レベルが向上すると、血管の健康以外にも、以下のような多岐にわたるエイジングケア効果が期待されています。権威ある学術誌に掲載された総説論文でも、NMNが糖尿病、アルツハイマー病、血管の機能障害、炎症などに対して保護効果を持つ可能性がまとめられています。
これらの働きにより、肌のハリや弾力性の改善(皮膚の若返り)、筋肉機能の維持、記憶力の向上など、具体的なエイジングサインの改善に繋がることが期待されています。
加齢による変化に、科学的アプローチで立ち向かう。NMNで始める新しいエイジングケアを、あなたも体験してみませんか?
サプリメントについて医師に相談したい、より詳しい説明を受けたいという方は、下記より診察をご予約ください。
この記事の監修者
天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)
この記事の運営者:イーヘルスクリニック新宿院