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コラム
2026.01.03

【医師解説】Longevity(長寿)とは「パフォーマンスの最大化」を目指す医療。

【医師解説】Longevityとは「パフォーマンスの最大化」を目指す科学的医療

謹んで新春をお祝い申し上げます。
イーヘルスクリニック新宿院 院長の天野です。

旧年中は多くの患者様にご来院いただき、厚く御礼申し上げます。
2026年の幕開けにあたり、皆様の健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

さて、本年は皆様と一緒に「Longevity(ロンジェビティ)」というテーマについて、より深く考えていきたいと思っております。

Longevityとは何か?「予防」が初めて「科学」になった

近年、世界中で注目されている「Longevity(ロンジェビティ)」。これは単なる長生きや、これまでの健康ブームとは一線を画すものです。

Longevityとは、一言で言えば「予防医療が初めて“科学”になった結果、生まれた概念」です。
老化細胞、ミトコンドリア、炎症といった生物学的なメカニズムが解明されつつある今、老化は「避けられない運命」から、「理解し、管理可能な対象」へと変わり始めています。

なぜシリコンバレーは本気で投資するのか?

今、シリコンバレーの起業家や投資家たちが、こぞってこの分野に巨額の投資を行っています。彼らが目指しているのは、SFのような「不老不死」ではありません。

彼らにとってLongevityは、会社の価値、意思決定の質、そして創業者自身の生存戦略に直結する極めて現実的なテーマです。目指しているゴールは明確です。

40代・50代の知的パフォーマンスを、70代まで延ばすこと

いつまでも脳と体がクリアな状態で、社会的な生産性を維持し続けること。これこそが現代におけるLongevityの真の価値です。

なぜ、シリコンバレーの覇者はこぞって投資するのか?

ジェフ・ベゾスやサム・アルトマンなど、シリコンバレーのトップ層がこの分野に巨額の私財を投じていることはご存知でしょう。彼らは決して、SF映画のような「不老不死」を夢見ているわけではありません。

彼らにとってLongevityは、極めて合理的なビジネス上の要請です。

40代・50代で培った「知見・判断力」を、
70代・80代まで「20代の体力・脳力」で駆動させる。

経営者にとって、経験則が蓄積された脳は最大の資産です。しかし、通常は肉体の衰えがその資産の活用を阻害します。
この「経験と肉体の乖離」を解消し、意思決定の質と期間を最大化すること。これこそが、現代におけるLongevityへの投資価値です。

Longevityを構成する「4つのレイヤー」

では、具体的にどのように「老化」を管理するのか。Longevity医学は、大きく4つの階層(レイヤー)で構成されています。
経営者の皆様であれば、これを「企業の経営管理」と同じように捉えていただくと理解が早いかと思います。

Layer 1. Biology(生物学的メカニズム)

企業の「基礎インフラ・設備」に相当

老化の根本原因にアプローチする領域です。専門的には「Hallmarks of Aging(老化の特徴)」と呼ばれる指標を制御します。

  • 老化細胞(Senescence): 分裂を停止したにも関わらず死滅せずに居座り、周囲に毒素を撒き散らす「ゾンビ細胞」の除去。
  • 慢性炎症(Inflammaging): 自覚症状のない微弱な炎症が、血管や臓器を静かに蝕む現象の抑制。
  • ミトコンドリア機能: 細胞内のエネルギー工場の稼働率維持。

この「細胞レベルの修復」なくして、どれだけ表面的なケアをしてもパフォーマンスは維持できません。

Layer 2. Medical / Pharma(医療介入・製薬)

企業の「設備投資・修繕」に相当

病気になってから治す「対症療法」ではなく、「未病の段階で介入し、機能を最適化する」ための医療アプローチです。

  • 抗老化薬(Geroprotectors): 現在研究が進むNMNやメトホルミン、ラパマイシンなどが注目されています。
  • 再生医療: 幹細胞培養上清液(エクソソーム)などを用い、組織の修復能力をブーストさせる技術。

ここは倫理的な議論も含め、現在進行形で最もイノベーションが起きている「攻め」の領域です。

Layer 3. Tech / Data(テクノロジー・データ)

企業の「会計・KPIモニタリング」に相当

「計測できないものは改善できない」。これは経営も体も同じです。感覚に頼るのではなく、データに基づき健康を管理します。

  • ウェアラブルデバイス: 睡眠の質、自律神経の状態を24時間モニタリング。
  • AI健康予測・デジタルツイン: 個人の生体データを統合し、未来の疾病リスクをシミュレーションする。

自身の体の「決算書」をリアルタイムで把握することで、精度の高い意思決定が可能になります。

Layer 4. Lifestyle / Behavior(生活習慣・行動)

企業の「日々のオペレーション・現場力」に相当

睡眠、運動、食事、ストレス管理。

非常に地味に見えますが、最も強調したいのはここです。
最新のBiology(Layer 1)も、最先端のMedical(Layer 2)も、この「日々のオペレーション(Layer 4)」という土台が崩れていれば、砂上の楼閣に過ぎません。

Longevityの成果の8割は、実はこのレイヤーの執行能力で決まります。

今年から実装する。長寿研究者が実践する「4つの習慣」

では、最も重要な「Layer 4(日々のオペレーション)」において、経営者はどのようなルーティンを取り入れるべきか。
100歳以上の高齢者(センテナリアン)を20年以上研究してきた科学者が、自身の生活にも実装している「投資対効果の高い4つの習慣」をご紹介します。

1. 毎日「5色」の野菜や果物を食べる(食事投資)

多忙な経営者の食事は「茶色」になりがちです。赤、緑、黄、紫、白。カラフルな食材に含まれる多様なフィトケミカル(抗酸化物質)は、体内のサビを取り除きます。サプリメントで一点突破するのではなく、多様な食材で防御壁を築くことが、結果として最強の抗炎症対策となります。

2. 毎日体を動かす(活動資産の運用)

ジムで重いバーベルを上げる必要はありません。長寿者の共通点は「動き続けていること」です。座りっぱなしは「代謝の停止」を意味します。移動、散歩、スタンディングワークなど、低強度でも良いので「循環を止めない」ことが、血管というインフラを維持します。

3. 睡眠を最優先にする(脳のメンテナンス)

睡眠は休息ではなく「脳の洗浄タイム(グリンパティック・システムの稼働)」です。日中に蓄積した老廃物(アミロイドベータ等)はこの時間にしか排出されません。「寝ないで働く」は、ゴミだらけのオフィスで仕事をするようなもの。パフォーマンス維持のための「絶対的な業務時間」として睡眠を確保してください。

4. 常に「新しいこと」を学ぶ(神経回路の拡張)

脳の可塑性(変わる力)は何歳になっても維持できますが、それには「新規性」という刺激が必要です。慣れ親しんだ業務だけでなく、新しい言語、訪れたことのない場所、異分野の趣味。脳に常に「予測不能なエラー」を処理させることが、若々しい神経回路を保ちます。

Longevityに関する「3つの誤解」

最後に、賢明な皆様が陥りやすい罠について整理しておきます。

❌ よくある誤解

  • 「高価なサプリを飲めば解決する」
    → オペレーション(食事・睡眠)なきサプリは無効です。
  • 「一部の超富裕層だけの話だ」
    → 知識と習慣の問題であり、誰でもアクセス可能です。
  • 「不老不死を目指している」
    → ゴール設定が違います。

⭕ Longevityの正解

「健康な状態で、長く働ける」
「クリアな頭脳で、長く思考できる」

このパフォーマンスの期間を拡張することが唯一の目的です。

まとめ

Longevityは医療の話ではない。
人間のパフォーマンスをどう延命するか、という話だ。

2026年、イーヘルスクリニック新宿院は、皆様が人生というビジネスにおいて、最高のパフォーマンスを発揮し続けられるよう、最新の「科学」と「医療」で伴走してまいります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

新年のヘルス・マネジメント

2026年、イーヘルスクリニック新宿院は、皆様が人生のパフォーマンスを最大限に発揮し続けられるよう、医療の力で伴走してまいります。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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この記事の監修者

天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)

参考文献

イーヘルスクリニック 新宿院

この記事の運営者:イーヘルスクリニック新宿院