イーヘルスクリニック新宿院 院長の天野です。
前回のコラムでは、Longevity(長寿)とは単なる長生きではなく「パフォーマンスの最大化」であるとお伝えしました。
今回は、そのための具体的なメソドロジー(手法)について解説します。
最新の臨床研究により、「特定の食事法をわずか8週間続けるだけで、生物学的年齢が平均3歳以上も若返る可能性がある」ことが実証されました。これは遺伝子レベルでの変化を伴う、極めて科学的なアプローチです。
私たちには2つの異なる年齢が存在します。
1. 暦年齢(Chronological Age)
誕生日から数えた年月。運転免許証に記載されている数字であり、不可逆なものです。
2. 生物学的年齢(Biological Age)
細胞、組織、臓器が実際にどれくらい老化しているかを示す医学的な指標。DNAの損傷具合やメチル化の状態によって測定されます。
同い年であっても、若々しくエネルギッシュな方と、そうでない方がいらっしゃるのは、この「生物学的年齢」に差があるためです。
重要なのは、暦年齢は変えられませんが、生物学的年齢は生活習慣への介入によって「巻き戻す(逆転させる)」ことが可能であるという点です。
科学雑誌『Aging』に掲載された画期的な臨床試験の結果をご紹介します。
50歳から72歳の男性を対象に、後述する特定の食事プログラムを8週間実施しました。

➡ 両グループの差は最終的に「3.23年」となりました。
たった2ヶ月という短期間で、細胞レベルで3年分のアドバンテージが生まれたのです。これは、老化が一方通行のプロセスではないことを強力に示唆しています。
なぜ食事を変えるだけで、これほどの変化が起きるのでしょうか。
その中心的なメカニズムが「DNAメチル化(Methylation)」です。
これをわかりやすく言えば、「遺伝子のスイッチ」です。
今回の研究で用いられた食事法は、必要な栄養素(メチル基ドナー)を供給することで、この乱れたスイッチを正常な状態に「修理」する働きがあります。
研究において、DNAのメチル化を調整し、老化プロセスを抑制する効果が高いと特定された食品群を「メチル・アダプトゲン」と呼びます。
特に以下の6つは、科学的な裏付けがあり、日常的に取り入れるべき食材です。
1. ウコン(ターメリック)
活性成分クルクミンが強力な抗酸化・抗炎症作用を発揮します。特に肝臓の解毒機能をサポートし、DNA損傷を防ぐ役割が期待できます。
2. ローズマリー
ロスマリン酸を含み、神経の緊張を緩和します。記憶力や気分の向上にも寄与するため、脳のコンディション維持に役立ちます。
3. ベリー類
ブルーベリーなどに含まれるアントシアニンとビタミンCが、卓越した抗酸化力を提供。血管内皮細胞を守り、目や循環器系の健康を維持します。
4. 緑茶
カテキン(EGCG)は、エピジェネティックな調整作用を持つ代表的な成分です。DNAのメチル化異常を修正し、強力な抗炎症効果をもたらします。
5. ウーロン茶
緑茶と同様のポリフェノールを含み、体内の活性酸素を除去するサポートをします。解毒作用を助け、細胞のストレスを軽減します。
6. ニンニク
アリシンが免疫系を活性化し、抗菌・抗ウイルス作用を発揮します。全身の防御機能を底上げするために重要な食材です。
この研究では、上記の食材に加え、包括的な栄養戦略がとられました。専門家はこれを「スーパー処方箋(Super Prescriptions)」と位置づけています。
老化は、時間の経過とともにただ受け入れるしかない「受動的な現象」ではありません。日々の食事という介入によって、そのスピードを緩め、時には逆転させることができる「能動的なプロセス」です。
経営者の皆様に向けて、最後に一つだけビジネスの視点で申し上げます。
自社の設備にはメンテナンスコストをかけるように、
ご自身の「DNA(ハードウェア)」にも適切な投資を行ってください。
スイッチの反応が悪くなった設備をそのまま放置する経営者はいません。生物学的年齢を若く保つことは、経営判断の質を維持し、長期的な企業価値を高めるための、最も確実なリスクマネジメントです。
イーヘルスクリニック新宿院では、医学的根拠に基づいた「生物学的年齢の測定」や「栄養療法」の相談を受け付けています。
ご自身のパフォーマンスを最大化するためのパートナーとして、ぜひ当院をご活用ください。
この記事の監修者
天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)
この記事の運営者:イーヘルスクリニック新宿院