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診療科目
2022.10.17
#対象疾患

副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)

副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)とは

副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)とは、さまざまなストレスや偏った食事、運動不足などの生活習慣の乱れによって副腎(後述)の機能低下が続き、ホルモンバランスが乱れて、疲れや不安、食欲不振などのさまざまな症状がみられる状態のことです。病気として正式に定義されているわけではありませんが、アメリカでは30年以上前からその存在が示されており、日本でも人口の1%程度は副腎疲労の状態にある可能性が考えられています。

副腎とは腎臓の上部に存在し、数多くのホルモンの産生・分泌を行っている臓器です。栄養分の代謝や、電解質・循環器系・ストレスの調整など、体にとってとても大切なはたらきをしているため、副腎の機能が低下すると不調につながることがあります。

副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)の症状

副腎疲労の可能性がある症状

副腎の機能が低下すると、以下のような症状がみられることがあります。

  • 疲労感がある、寝ても疲れが取れない
  • 眠れない
  • 朝起きられない、起きるのがつらい
  • だるさを感じる
  • 立ちくらみ、めまいがある
  • やる気が出ない
  • うつ症状がある
  • 記憶力・集中力が下がっている
  • かぜをひきやすい、かぜが治りづらい
  • ストレスに対応できない
  • 月経前症候群(PMS)が悪化する
  • 動悸がする
  • 過呼吸になる
  • 食欲がない、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などがある
  • 顔面蒼白、悪寒、冷や汗が生じることがある
  • アレルギーがある
  • 急に鼻炎、じんましん、皮膚炎、リウマチ、関節炎などが生じた

など

受診の目安

上記のうち、複数の症状に心当たりがある場合は副腎疲労の可能性があります。ただ、日本においては新しい概念であるため、医療機関にかかっていても適切に診断されない場合があることを理解しておきましょう。たとえば、慢性疲労症候群や起立性調節障害、甲状腺機能低下症、うつなどと診断されて治療を受けているものの、治療効果が出ない場合は副腎疲労の可能性も考えられます。

また、副腎疲労を放置すると、症状がどんどん重くなることがあります。最初は寝つきが悪い、疲れやすいといった程度だったのが、感情の起伏が大きくなったり、血圧や血糖値の乱れ、不眠などが生じたりするようになり、やがて衰弱やうつ状態に陥るまでになってしまうこともあります。さらに、糖尿病や高血圧といった生活習慣病につながることもあるとされています。重症化を防ぐためには早めの対処が必要なので、気になる症状があれば早めに受診をするとよいでしょう。ただし、一般の内科では診断できない場合があるため、副腎疲労の検査や治療を行っている医療機関を選ぶとよいでしょう。

副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)になったときに気を付けたいポイント

副腎疲労になった場合は、食生活や運動習慣など、生活習慣の改善を行うことが基本となり、これらは治療の根幹でもあります。

食事・運動・睡眠

食事内容は、必要に応じてグルテンフリー(小麦製品を制限する)、カゼインフリー(乳製品を制限する)、低糖質にすることなどがあります。ストレスによる影響を抑えるために、抗酸化成分を取るのもよいとされています。抗酸化成分の具体例としては、緑黄色野菜に含まれるビタミンA・C・Eやごまに含まれるセサミン、お茶に含まれるカテキンなどのポリフェノールなどが挙げられます。さらに、定期的な運動も行うとよいでしょう。

また、十分な睡眠も大切です。時間があるときは朝ゆっくり起きたり、昼寝したりするのもよいでしょう。

ストレスをためない

副腎疲労の予防、改善のためには、ストレスを軽減する必要があります。まず、自分がストレスに感じる物事を把握しましょう。そして、必要以上に頑張りすぎず、趣味やリラックスの時間などを取ってストレスをためない、そしてたまったストレスを解消するように心がけることが大切です。

副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)の治療のポイント

副腎疲労の治療の基本は、すでに説明した生活習慣の改善が中心となりますが、状況に応じてサプリメントを使ったり、ホルモンを補充する治療を行ったりすることがあります。ただし、ホルモンの補充は症状改善の効果は期待できますが、副腎疲労自体の治療にはならない場合があるため注意が必要です。この場合は、副腎の機能を改善するために、さまざまな栄養素をサプリメントで補充することもあります。また、副腎疲労の背景に病気など原因がある場合は、その治療が必要とされています。