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麻疹ウイルスに対するIgG抗体の値を調べるものです。IgG抗体とは血液内でもっとも多く存在する抗体(異物を排除する除去する物質)で、細菌や毒素と結びつく力が高いことが特徴です。この検査によって過去の感染の有無や、麻疹ウイルスに免疫を持っているかどうかが分かります。検査方法は採血によって行われ、結果が出るまで5日前後かかることが一般的です。
麻疹は発疹性の感染症で、一般には「はしか」と呼ばれます。感染力は強く、飛沫、空気、接触のいずれによっても、ヒトからヒトに広がります。先進国ではまれな病気になり、わが国も2015年には世界保健機関(WHO)から“排除された”という認定を受けました。しかし最近は、流行地域からの帰国者や入国者を通して広がるというケースもあります。
また日本の場合、一部の成人でも十分な免疫を備えていない人が存在し、その中での集団発生も起こっています。これらを踏まえ、近年は麻疹ウイルス抗体検査の啓発を行う自治体も増えてきました。また医療機関でも、ホームページなどを通して情報提供する例がみられています。
以下に当てはまる人は、検査を受けることがすすめられます。
「十分な免疫がある(基準を満たす)」という判定になります。
検査結果が2.0未満で陰性だった人、陽性でも16.0未満だった人は、“麻疹ウイルスに対して十分な免疫がない”という判定になり、ワクチン接種がすすめられます。
これまで国が進める麻疹対策は、保育園、幼稚園、小学校など子供が中心でした。ですが最近は、20歳代前半の患者が増加している状況から、成人へのワクチン接種の呼びかけも行われるようになってきています。
用いられるのは麻疹と風疹の双方に有効性をもつ混合(MR)ワクチンで、2回接種が推奨されています。1回で約95%、2回で約99%の人に、麻疹および風疹ウイルスに対する免疫が獲得されるとされています。
なお麻疹ワクチンは生ワクチンであるため、妊婦および妊娠している可能性のある女性には接種できません。麻疹ウイルス抗体が陰性、あるいは十分な免疫が獲得されていないことが分かった妊婦は、妊娠中に感染しないような注意が必要になります。具体的には不要不急の外出を控えるといった一般的な予防策ですが、何よりその人の生活環境に合った対策を、主治医や保健師といった身近な医療者とよく相談するとよいでしょう。
食事等の摂取制限は特にありません。ただ、検査日が事前に分かっているのであれば、一般の健康診断と同様、前日の禁酒や20時以降の食事摂取を控えるなどが望ましいとされます。
注射での採血に伴う痛みがあります。