パートナーの健康や将来の子どもへの影響を考えることは、性感染症対策において重要です。性感染症(STD: Sexually Transmitted Diseases)は、自覚症状がないまま進行する場合があり、適切に対応しなければ健康上の問題を引き起こす可能性があります。若い世代で感染が広がっていることが懸念されており、性感染症の検査を受ける人は増加しています。
この記事では、性病検査の種類や選び方、精度と受ける際の確認ポイントについて詳しく解説します。自分自身の健康を守るだけでなく、大切な人の未来を守るためにも、性感染症について正しい知識を持つことが大切です。
当院では、性感染症のオンライン診療を行っています。検査や治療に関するご相談など、お気軽にお問い合わせ下さい。
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目次
性病検査の種類と検査でわかる性感染症について、以下の4点を解説します。
血液検査では、主にHIVやB型肝炎、C型肝炎などのウイルス性性感染症を調べます。梅毒は細菌性性感染症であり、特定の血清反応検査によって検出されます。血液は全身を巡るため、検査によって体内に潜むウイルスや細菌を検出できます。
HIVは、免疫システムを破壊するウイルスで、感染初期には風邪の症状が現れることがあります。多くの場合、無症状のまま進行している可能性があります。梅毒は、性行為で感染する細菌感染症です。初期には性器に潰瘍(かいよう)が生じます。治療せず放置すると、深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
B型肝炎やC型肝炎は、肝炎ウイルスによって引き起こされる感染症です。慢性化すると、肝硬変(かんこうへん)や肝がんのリスクが高まる可能性があります。ウイルス性感染症は、血液検査によって早期発見し、適切な治療を開始することが重症化を防ぐうえで重要です。
検査結果が判明するまでの日数は、検査項目によって異なります。多くの場合、1週間以内に結果が出ます。梅毒は2〜3日かかる場合があります。検査を受ける際には、医師に検査結果が判明するまでの日数を確認しておきましょう。
尿検査では、クラミジアや淋病(りんびょう)、尿道炎などの細菌性の性感染症を調べます。ご自身で尿を採取するため、手軽に受けられる検査です。クラミジアと淋病は、性行為で感染する細菌感染症です。女性では子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)や卵管炎(らんかんえん)、男性では尿道炎などを引き起こす可能性があります。
細菌性の性感染症は早期発見・早期治療が重要です。クラミジアと淋病は、同時に検査できる場合があり、一度の検査で複数の感染症を調べられます。検査結果は、2〜4日程度で判明します。
スワブ検査は、綿棒状の器具で性器などの粘膜から分泌物を採取する検査です。 当院では、咽頭(いんとう)クラミジアや咽頭淋病(いんとうりんびょう)などの咽頭感染症については、うがい液による検査を行っています。
性感染症は、オーラルセックスで感染する可能性があります。自覚症状がない場合が多く、放置すると重症化することがあるため、検査を受けることが重要です。検査結果は、2〜4日程度で判明します。
PCR検査は、ウイルスや細菌の遺伝子を増幅して検出する検査方法です。PCR検査は、感度が高いとされていますが、検査のタイミングや検体の採取方法によって、結果が変わる場合があります。
抗原検査は、ウイルスや細菌が持つ特定のタンパク質である抗原を検出する方法です。PCR検査と比べると精度は低いですが、迅速に結果が判明するため、緊急時に利用されます。
迅速検査キットは、短時間で結果が判明する利点があります。PCR検査と比較すると、精度がやや劣る可能性があります。検査を受ける際には、検査方法のメリットとデメリットを理解し、ご自身の状況や希望に合った方法を選ぶことが重要です。
なお、当院では現在、迅速検査は行っておりません。検査方法や所要時間については、事前にご確認ください。
いずれの検査も、症状がない場合でも感染を検出できる可能性があり、感染への不安を軽減する効果が期待できます。多くの場合、自由診療になるため、費用が高額になることがあります。検査費用については、事前にクリニックで確認してください。
性病検査を受ける際、以下の5つのポイントを確認しましょう。
即日検査に対応しているクリニックは多く、検査項目によっては、最短1時間程度で結果がわかる場合があります。HIVや梅毒などの血液検査、クラミジアや淋病といった尿検査は即日検査に対応している場合があります。
すべてのクリニックが、即日検査に対応しているわけではありません。検査結果が出るまでの時間は、検査項目やクリニックによって異なり、数日〜数週間かかる場合があります。検査前に確認すべき点は、以下のとおりです。
検査結果を迅速に知りたい方は、即日検査に対応しているクリニックを選び、事前に確認しておくとスムーズです。当院は、性感染症の即日検査に対応しています。詳しくは以下のページをご覧ください。
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性病検査の費用は、検査項目やクリニック、保険適用の有無によって変動します。症状がある場合は保険適用となります。自己負担額は3割で、数百円〜数千円程度です。
症状がなく、健康診断や不安解消の目的で検査を受ける場合は自由診療(自費診療)となり、全額自己負担です。検査項目によっては、数千円〜1万円以上かかる場合があります。費用を抑えるためには、以下の2つの方法があります。
支払い方法は、現金やクレジットカード、電子マネーなど、クリニックによって異なります。受診前に確認しておきましょう。
性病検査には、匿名で受けられるケースと、匿名では受けられないケースがあります。特に保険診療を利用する場合は、健康保険証の提示が必要となるため、匿名での検査はできません。
一部の自費診療を行っている検査機関や民間の検査サービスでは、匿名での検査が可能な場合もあります。ただし、すべてのクリニックが対応しているわけではないため、希望する検査方法やプライバシーへの配慮については、事前に確認しておくと安心です。
当院では、匿名での検査は実施しておりません。個人情報の管理を徹底し、プライバシー保護を最優先にした体制を整えておりますので、お悩みの方はご相談ください。
性病検査の予約方法は、クリニックによって異なります。当院での検査までの流れは以下のとおりです。
検査方法の手順は、血液検査や尿検査、スワブ検査など、検査項目によって異なります。郵送検査を提供しているクリニックもあります。自宅で検体を採取して返送すると、郵送で検査結果を受け取ることができ、クリニックに行く時間がない方やプライバシーを重視したい方におすすめです。
性病検査の精度は、いくつかの要因によって影響を受けます。クラミジアや淋病の尿検査では、排尿後1時間以上経過してから尿を採取することが推奨されています。排尿直後は尿中の細菌濃度が低いため、正確な結果が得られない可能性があるからです。
特定の薬剤が、検査結果に影響を及ぼす場合があります。服用中の薬がある場合は、必ず医師に相談してください。飲酒や食事は、性病検査に影響を与える可能性は低いですが、特定の検査では影響を及ぼす可能性があります。クリニックの指示に従って検査を行うことが重要です。
性病検査後の流れと注意点について、以下の3点を解説します。
検査結果の受取方法は、クリニックによって異なります。以下の3つの受取方法があります。
検査結果の受取方法によるメリット・デメリットを考慮し、ご自身のライフスタイルや希望に合わせて選びましょう。
検査結果が陽性の場合は、検査を受けたクリニックの医師に相談し、適切な治療を受けましょう。早期に適切な治療を受けることで症状が改善する可能性が高まります。性感染症の種類によって、治療法は異なります。
クラミジアや淋病などの細菌感染症では、抗生物質の内服薬や注射薬が用いられます。梅毒も抗生物質で治療可能ですが、進行度合いによって、治療期間や投与方法が変わる可能性があります。
ウイルス感染症であるHIVやヘルペスは、完全な排除が難しいのが現状です。抗ウイルス薬による治療で、症状のコントロールが可能な場合があります。治療期間も性感染症の種類によって異なり、数日〜数週間かかる場合があります。
パートナーへの感染を防ぐため、パートナーにも検査と治療を受けるよう伝えることが重要です。パートナーへの告知が難しく感じる場合は、医師や相談窓口に相談しサポートを受けましょう。
相談窓口には、保健所や性感染症に詳しい医療機関があります。治療に関することだけでなく、パートナーへの告知方法や予防策など、さまざまな相談に対応しています。一人で抱え込まずに、専門家のサポートを受けましょう。
検査結果が陰性だった場合でも、感染の可能性を完全に否定はできません。以下の点に注意が必要です。
陰性結果後も、性感染症の予防を心がけることが大切です。コンドームの正しい使用と定期的な検査が有効な予防策となります。適切な知識と予防策により、性感染症予防の効果が期待できます。
性病検査を受ける際は、自身の状況や希望に合った検査方法を選びましょう。信頼できる医療機関で、医師と相談することが重要です。性病検査には、さまざまな種類があり、検出できる性感染症が異なります。
検査の精度や即日結果の有無、費用、プライバシー保護などは、クリニックによって異なるため、事前に確認が必要です。検査後の結果の受け取り方や、陽性・陰性だった場合の対応を理解しておくことも大切です。
性病は早期発見・早期治療が重要です。適切な性病検査を受けることで、自身の体を守り、健康的な生活を送ることができる可能性があります。
HIVへの感染が少しでも疑われる場合は、新宿区保健所や東京都新宿東口検査・相談室など、信頼できる検査機関で早期に検査を受けることが大切です。当院では、土日や祝日も診療しています。性病の初期症状に不安がある場合は、お気軽にお問い合わせください。
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Chelsea L Shannon, Jeffrey D Klausner. The growing epidemic of sexually transmitted infections in adolescents: a neglected population. Curr Opin Pediatr, 2018, 30(1), p.137-143.