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コラム
2026.01.24

【医師解説】「空腹」は最強のビジネススキルだ。脳を覚醒させ、疲労を消す科学的メソッド

【医師解説】最新科学が証明した「断続的断食」の真価。
脳の覚醒と代謝改善をもたらす、最強のタイムマネジメント

イーヘルスクリニック新宿院 院長の天野です。

「日中の集中力が続かない」「判断のキレが鈍っている気がする」「健康診断の数値が気になり始めた」
もしあなたが経営者やリーダーとしてこのような課題を感じているなら、解決策は「何を食べるか」ではなく、「いつ食べないか」にあるかもしれません。

今回は、近年医学界で最もホットなトピックの一つである「断続的断食(Intermittent Fasting:以下IF)」について解説します。
2025年に発表された最新のシステマティックレビューを含む科学的エビデンスに基づき、これが単なるダイエット法ではなく、「脳とメンタルを最適化するバイオハック」であることを紐解いていきましょう。

2025年最新メタ分析:投資対効果としての「数字」

経営において数字が嘘をつかないように、医学においてもエビデンス(数字)が全てです。
2025年7月に発表された最新の研究(Nutr J. 2025)では、過体重および肥満の成人におけるIFの効果について、以下のような堅実なデータが示されました。

📊 臨床試験が示した「確実なリターン」

  • 📉
    体重・BMIの有意な減少
    IFを実践することで、平均して約3〜4kgの体重減少、およびBMIにして約1.0ポイントの低下が確認されました。特別な運動プログラムなしで、食事時間の変更だけで得られる結果としては極めて効率的です。
  • 🩸
    脂質プロファイルの改善
    総コレステロールおよびLDL(悪玉)コレステロールの明確な低下が認められました。これは、血管というインフラを守り、将来の心血管リスク(心筋梗塞や脳卒中)という「経営リスク」を低減させることを意味します。

戦略的なプロトコル:狙うべきは「Early TRE(早朝型)」

「断食」といっても、無闇に食べなければ良いわけではありません。ビジネススタイルに合わせて、最も効果の高いプロトコルを選択する必要があります。

  • TRE(時間制限食): 1日のうち8時間〜10時間以内に食事を済ませる(例:16時間断食)。
  • ADF(隔日断食): 1日おきに断食する。

最新のメタ分析では、体重減少の絶対量はADF(隔日断食)がやや勝るものの、継続のしやすさと代謝への好影響を考慮すると、ビジネスパーソンにはTRE(時間制限食)が現実的かつ有効です。

⏰ 重要なのは「いつ食べるか」

正解は、「Early TRE(早朝型)」です。

同じ8時間の食事時間でも、「昼12時〜夜20時」より「朝7時〜午後15時」のように、早い時間帯にカロリーを摂取する方が、圧倒的に代謝上のメリットが大きいことが分かっています。

なぜか?(サーカディアンリズムとの同期)
人間のインスリン感受性(血糖値を処理する能力)は朝に最も高く、夜にかけて低下します。夜遅い食事は、代謝されずに脂肪として蓄積されやすく、体内時計を乱す原因となります。「工場が稼働している日中に材料を入れ、夜はメンテナンスに充てる」のが、人体の理にかなった運用なのです。

なぜ、空腹になると「頭が冴える」のか?(脳科学的視点)

多くの経営者がIFを実践する真の理由は、減量ではなく「圧倒的な集中力」にあります。
「空腹だと頭が回らない」というのは、実は糖質依存状態における思い込みに過ぎません。2025年の最新研究(Front Nutr. 2025)などが解き明かす、脳の覚醒メカニズムをご紹介します。

⚡ 脳の燃料革命(ケトン体)

断食時間が12時間を超えると、肝臓のグリコーゲンが枯渇し、体は脂肪を分解して「ケトン体(β-ヒドロキシ酪酸)」を作り始めます。
ケトン体は、ブドウ糖よりも燃焼効率の良い「スーパー燃料」として脳に供給されます。これが、断食中に訪れる「霧が晴れたようなクリアな思考(Mental Clarity)」の正体です。

🧠 脳の肥料(BDNF)の増加

空腹という適度なストレスは、脳内で「脳由来神経栄養因子(BDNF)」の分泌を促します。これは脳細胞の成長を助け、新しい神経回路を作る「脳の肥料」のようなものです。
つまり、IFは学習能力を高め、記憶を定着させ、老化による認知機能低下を防ぐためのトレーニングと言えます。

🛡️ 脳腸相関による抗炎症

「腸は第二の脳」と言われます。絶食時間を設けることで腸内環境が休まり、全身の慢性炎症や酸化ストレスが軽減します。
この抗炎症効果が迷走神経を通じて脳に伝わり、不安感やうつ気分の軽減、メンタルの安定に寄与するという「脳腸相関」のメカニズムが提唱されています。

メンタル・モチベーションへの影響:疲労感が消える?

「断食なんてしたら、イライラして仕事にならないのでは?」
そう懸念される方も多いでしょう。しかし、科学的なデータは逆の結果を示しています。

肥満傾向の成人90名を対象としたランダム化比較試験(JAMA Intern Med. 2022)では、早朝型の時間制限食(朝7時〜午後3時のみ摂食)を14週間続けたグループにおいて、以下の変化が報告されました。

  • ✅ 疲労感が有意に軽減した
    (体が軽くなり、日中のエネルギーレベルが向上)
  • ✅ 抑うつ症状が改善した
    (気分の落ち込みが減り、前向きな状態へ)
  • ✅ 緊張感や苛立ちが軽減した
    (精神的な余裕が生まれ、集中力が高まる)

消化という「重労働」から内臓を解放することで、余ったエネルギーを思考や活動に回すことができる。その結果、主観的な活力(バイタリティ)が向上し、仕事へのモチベーション維持にもつながるのです。

エグゼクティブのための実践ガイドと注意点

とはいえ、会食の多い経営者が「毎日15時以降は食べない」というのは現実的ではないかもしれません。
まずは以下のステップから始めてみることをお勧めします。

🚀 段階的導入ステップ

  1. Level 1: 「12時間の空腹」を確保する
    夜20時に食べたら、翌朝8時までは水とお茶以外口にしない。これだけでも体内時計は整います。
  2. Level 2: 会食のない日は「夕食を抜く」
    週に1~2回、ランチをしっかり食べ、夜はスープやプロテインのみ、あるいは絶食にする。翌朝の目覚めの違いに驚くはずです。
  3. Level 3: 本格的な「16:8」への挑戦
    食事を10:00~18:00の間に収める。オートファジー(細胞の自浄作用)が活性化し、アンチエイジング効果も期待できます。

⚠️ 注意点:IFは万能ではありません

個人差が大きく、体質によってはストレスホルモン(コルチゾール)が上昇し、かえって不調を招く場合もあります。特に以下の方は注意が必要です。

  • 摂食障害の既往がある方
  • 極端な低体重や栄養不足の方
  • 糖尿病治療薬を服用中の方(低血糖のリスク)

まとめ

断続的断食(IF)は、単なる減量テクニックではありません。
それは、飽食の時代において鈍ってしまった人体の機能を呼び覚まし、脳のパフォーマンスを最大化するための「戦略的欠乏」です。

2025年の最新エビデンスは、その有効性を強く支持しています。
「空腹」を恐れる必要はありません。むしろ、空腹こそが、あなたの脳と体をアップグレードしている時間なのです。
まずは週に一度から、内臓を休ませ、脳を研ぎ澄ます時間を作ってみてはいかがでしょうか。

【経営者・リーダーの方へ】

イーヘルスクリニック新宿院では、医学的根拠に基づいた「栄養療法」や「体重管理」の相談を受け付けています。
「自分の代謝タイプを知りたい」「科学的に無理なく痩せたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

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参考文献

この記事の監修者

天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)

イーヘルスクリニック 新宿院

この記事の運営者:イーヘルスクリニック新宿院