高尿酸血症の食事で気を付けるポイントとは?具体的な食事の注意点を解説
ファスティングとは、英語のfast(断食する・絶食する・精進する)という動詞を、名詞形にしたものです。つまり、「断食」「絶食」を意味します。
ファスティングは古くから世界各地で、特に宗教的な面で重視されており、頻繁に行なわれてきた行動でもあります。
ユダヤ教では年に6回の断食日(ヨム・キプル、ティシュアー・ベ=アーブ、ゲダリヤの断食、テベトの10日、タンムズの17日、エステル)が設けられています。キリスト教においては、福音書に「イエスは公生活の前に40日間荒野で断食した」との記述があることから、一部の宗派や教会で現在も定期的に断食が行われています。イスラム教でもラマダンの時期に毎日、日の出から日没まで断食を行います。ムスリムにとって断食は、重要な信仰上の行動です。
このように宗教において、断食は精神的に自身を高めるための行動であると考えられてきました。
一方で、医学の父といわれているヒポクラテスも、ファスティングを推奨していたとされています。
ヒポクラテスとは、紀元前5世紀にエーゲ海のコス島に生まれた古代ギリシャの人物で、世界最古の医師の1人です。それまでの聖職者や魔術師による祈祷や呪術的医療とは異なり、健康や病気を自然の現象と考え、科学に基づく医学の基礎を作ったことで「西洋医学の父」と称されています。
ヒポクラテスは
・「満腹が原因の病気は空腹によって治る」
・「月に一度断食をすれば病気にならない」
・「病気は食事療法と運動によって治療できる」
・「食べ物で治せない病気は、医者でも治せない」
などの名言を残していることから、断食を支持していたことが明らかです。
今回は、近年アメリカなどの欧米諸国を中心に研究が進んでいる「間欠的ファスティング」についてご紹介します。
間欠的ファスティングとは、ファスティング(断食)を長い間ずっと行うということではなく、1日置きなど無理のないタイミングで、少しずつ行っていくという方法です。
間欠的ファスティングの例
① ADF(Alternate Day Fasting)
1日おきにファスティングを行うという方法です。
例えば1週間のうち、月曜日・水曜日・金曜日は何も食べずにファスティングを行い、それ以外の火曜日・木曜日・土曜日・日曜日はいつも通りの食生活で過ごします。
② WDF (Whole day Fasting)
1週間の中で数日、何も食べない日をつくるやり方です。その中でも有名なやり方が5:2ファスティングや、36時間ファスティングです。5:2ファスティングは1週間の内、2日間をファスティングの日とし、残りの5日間は普段通りの食生活で過ごすという方法です。36時間ファスティングとはその名の通りに、3日間連続して何も食べない方法です。一時期日本でも大きな話題になりましたので、もしかすると一番有名な方法かもしれません。しかし、例えばバリバリ働いているサラリーマンが平日の間に3日間連続で何も食べないというのは、つらいものがあります。
この後、3日間連続以外のファスティング方法も紹介していきますので、是非自分自身が行うことのできる方法を実践していただきたいと思います。
③ TRF (Time Restricted Fasting)
1日の内で、ファスティング時間を決めて行う断食方法です。毎日行うこともできますし、週に数回、あるいは週に1日だけ行うこともできます。自身の生活スタイルに合った頻度で実践できるのが、メリットです。
・12時間ファスティング
・16時間ファスティング
・24時間ファスティング
などの方法があります。
多くの研究でも「ファスティング」には、血糖値を減少させる効果が認められています。
例えば、「ファスティング」を行った人は血糖値が最大で6%も下がったことが認められています。このとき、インスリン値も31%の減少という結果がみられました。血糖値が高くならないため、身体はインスリンを分泌する必要がないということです。ファスティングの方法はさまざまですが、どういった方法のファスティングでも、同様の効果があると言われています。
では、日常生活のなかではどのようにファスティングをすることができるでしょうか。例えば、以下のような方法が考えられます。
①仕事で忙しい人が簡単にできる方法は16時間ファスティング
※昼食を早めに食べて、夕食を抜かせば達成できます
②週末にまとまった時間がとれる方は36時間ファスティング
③在宅勤務で自分の時間をコントロールできる方は、1日おきのファスティング
など
食事をしなければ栄養不足になり、逆に不健康になるのではないか……と思われるかもしれません。
しかし食糧難の時代とは異なり、現代人は過食、食べ過ぎのせいで病気になったり、健康を損ねたりすることが多くなっています。
普段から食べ過ぎている人や肥満の人、生活習慣が良くない人にとって、一時的に食事を抜くことは、逆に健康上のメリットを多く得られる可能性があるのです。
自分のライフスタイルに合わせて、できる形からファスティングを始めていくのがおすすめです。
著:医師 天野方一(eHealthclinic院長)