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診療科目
2022.09.30
#対象疾患

中性脂肪

中性脂肪とは

中性脂肪とは、肉や魚、食用油といった食べ物に含まれる脂質や、体脂肪の多くを占める物質のことです。トリグリセリドや脂肪と呼ばれることもあります。

中性脂肪は重要なエネルギー源であり、必要不可欠な存在ではありますが、摂取し過ぎると体脂肪として体にたまり、肥満や生活習慣病につながることがあるとされています。エネルギー量の過剰摂取(特に甘いものやアルコール、脂っこいもの、糖質の取り過ぎ)によって中性脂肪の数値が高くなることがあります。

中性脂肪値が高い場合、“脂質異常症”と診断されるほか、糖尿病やネフローゼ症候群、膵炎、甲状腺機能低下症などが疑われることがあります。さらに中性脂肪値が高い状態が続くことにより、血管が固くなる“動脈硬化”が引き起こされることで、脳梗塞(のうこうそく)や心筋梗塞につながる恐れもあります。

中性脂肪の検査方法とは?

中性脂肪の数値は血液検査で分かり、脂質異常症などの診断に用います。また、一般的な健康診断の血液検査でも分かるものなので、健康診断を受けることで、早期にリスクを知って病気を予防することにもつながります。

中性脂肪の検査前のポイントとは?

採血時に注射の痛みを伴います。また、空腹状態で採血を受ける必要があります。前日の21時頃から食事制限が必要となることがあるため、事前に確認するとよいでしょう。さらに、できれば早朝に採血するのがよいとされています。

そのほか、採血時に注意が必要な検査結果に影響のある薬もあるため、薬を服用している場合は医師に伝えましょう。

脂質異常症の兆候がみられる場合、保険適用で検査を受けられることもあります。

中性脂肪の基準値と異常値

基準値

基準値は30~149mg/dLです。

異常値

基準値を外れている場合、数値が低すぎても高すぎても異常がある可能性があります。詳細は以下のとおりです。

29mg/dL以下

低βリポタンパク血症、低栄養、肝機能の異常、甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが過剰になる病気)などが疑われます。

中性脂肪は血液の中でリポタンパクとして存在しており、リポタンパクを作る遺伝子に異常があることで脂質の吸収、運搬ができなくなり、さまざまな合併症につながるものが低βリポタンパク血症です。

また、過度な食事制限やアスリート並みの過剰な運動、体質などが中性脂肪低値の原因となることもあります。

150mg/dL以上

血液中の中性脂肪が増えると動脈硬化のリスクが高まります。

動脈硬化とは、血管が弾力性を失って硬くなり、中に血栓が生じるなど血管が詰まりやすくなってしまうことをいいます。動脈硬化は中性脂肪の増加だけでなく、加齢や高血圧などさまざまな危険因子が重なることによって進行しますが、放置すると脳梗塞や心筋梗塞が引き起こされることもあるため、注意が必要です。

また中性脂肪値が高い場合、脂質異常症の高トリグリセライド血症(血液中の中性脂肪の値が高い状態)、閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)(胆管系の閉塞または狭窄(きょうさく)で黄疸が生じるもの)、膵炎、脂肪肝(中性脂肪が肝臓にたまった状態)、糖尿病、甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンの作用が低下した状態)、ネフローゼ症候群(尿にタンパクが出て血液中のタンパクが減り、むくみが生じる病気)、肥満といった状態や病気の可能性があります。

異常が見つかった場合は?

29mg/dL以下の場合

中性脂肪値が低い場合は、内科などの医療機関を受診するとよいでしょう。病気が原因の場合、原因によっては薬物療法や手術などの治療を受ける必要があります。

また、過度な食事制限や運動が原因の場合はそれらを見直し、体質に原因がある場合は意識的に脂質を多く取るなどの心がけが必要とされています。詳細な方法は医師の指示に従いましょう。

150mg/dL以上の場合

中性脂肪値が高い場合も内科などの医療機関を受診するとよいでしょう。原因となる病気がある場合は、薬物療法や、たまった胆汁をドレーンという管を使って排出するドレナージなど、病気ごとに必要な治療を受けることになります。

また、動脈硬化や関連する病気の予防、改善のために生活習慣を見直すとよいでしょう。具体的には、適切なエネルギー量を取る、甘いもの、糖質、アルコール、脂っこいものを控える、青魚を積極的に食べるといったことが挙げられます。青魚にはn-3系多価不飽和脂肪酸が多く含まれ、中性脂肪値を下げる効果があるといわれています。

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