リベルサス
脂質異常症は、血液中の脂質が基準値を外れるもので、代表的な生活習慣病の1つです。患者さんは220万人を超えると推定されています。LDL-コレステロール140mg/dL以上、HDL-コレステロール40mg/dL未満、中性脂肪150mg/dL以上のいずれかに該当する場合、脂質異常症と診断されます。かつては“高脂血症”と呼ばれていましたが、高値だけではないため、現在の名称になりました。放置することで動脈硬化を進展させ、心臓や脳に重大な合併症を招く恐れがあるため、早期発見が大切です。では、脂質異常症にはどのような症状があるのでしょうか。
脂質異常症は初期の場合、自覚できる症状はほとんどありません。そのため、健康診断や人間ドックで脂質に関する数値の異常を指摘されて発見されることが一般的です。
しかし、放置すると血液の中には脂質が次第に増えていきます。この状態が続くと、血液は“ドロドロ”になって流れにくくなり、血管が脆くなる動脈硬化につながります。すると、血管や心臓に負担がかかってしまい心臓のはたらきが低下したり、血管が破れたりして命に関わる合併症を招くリスクが高くなると考えられています。
前述のとおり、脂質異常症が進行すると合併症に伴う症状がみられることがあります。
心臓の筋肉に血液を送る動脈が狭くなったり、塞がったりすることで、心筋への血液の流れが悪くなり酸素不足になった状態のことです。胸に痛みが出るほか、時に腕や背中が痛み、圧迫感を感じることもあります。
脳の血管が詰まったり、塞がったりすることで、脳の細胞が障害された状態のことです。頭痛やめまいのほか、下半身の血管ではしびれや歩きにくさなどが現れることもあります。
腎不全とは腎臓のはたらきが悪くなって、体内の不要なものを排出できなくなった状態のことです。
腎不全になると、思考力が低下したり、全身にだるさを感じたり、食欲が落ちたりするなどの症状(尿毒症状)がみられることもあります。
このように動脈硬化は、放置すると心筋梗塞や脳梗塞などいった命の関わる病気を招く可能性があるため、脂質異常症を放置することの危険性を理解し、予防に努めましょう。
生活習慣病という名前からも分かるように、脂質異常症は生活習慣を改めることで改善や予防が可能です。まずは、脂質異常症の原因となる食べ過ぎや飲み過ぎを控えたりして食生活の見直しを行うことが大切です。また“たばこ”は、さまざま病気の発生リスクを高めることが明らかになっているため禁煙に努めましょう。このほか、ウォーキングや水泳などの有酸素運動は、脂質の値を下げます。ストレス解消にもなり、十分な睡眠につなげる効果も期待できます。
脂質異常症の初期は自覚症状に乏しいことが特徴です。しかし、この状態を放置すると重大な合併症につながることがあるため、脂質異常症対策に努めるようにしましょう。予防や改善は自分自身でできることが多いですが、もともとはっきりとした自覚症状がないだけに、モチベーションの維持が難しいという側面があります。
そうした場合に有効なのが、自治体や地域の医療機関などが行う健康相談です。LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、中性脂肪といった具体的な数値を確認しながら、専門の医療者からアドバイスを受けることもできます。これにより、自分のやり方が正しい方向を向いているか確認することで、効果を実感できるようになります。
さらに定期的な健康診断を受けることも対策の継続には重要です。また、ほかに気になる病気がある場合は、積極的に医療機関を受診することも検討しましょう。