40代を迎え、原因不明の倦怠感や気分の落ち込み、集中力の低下を感じていませんか?これらの不調は男性ホルモン「テストステロン」の減少に関連して起こる「男性更年期障害(LOH症候群)」の可能性があります。
男性更年期障害の症状は心身に影響を及ぼすだけでなく、うつ病と間違われたり、生活習慣病のリスクを高めたりすることもあります。正しい知識を得て適切な対処をすれば、症状に応じて改善が見込まれる場合があります。本記事では、具体的な症状チェックリストから治療の選択肢までを解説します。
ご自身の状態を正しく理解し、活力ある日々を取り戻すきっかけとなれば幸いです。
目次
男性更年期障害の主な症状について、以下の3つを解説します。
男性更年期障害では、全身にさまざまな身体症状が現れます。テストステロンが減ることで筋肉の量が減ったり、ホルモンバランスが乱れて自律神経の働きが不安定になったりすることが原因と考えられています。身体に現れる症状のチェックリストを以下の表にまとめました。
| 症状 | チェックリスト |
| 全身の症状 | ・寝ても疲れがとれず、いつも身体がだるい(倦怠感) ・筋力が落ちて、重いものを持つのがつらくなった ・肩こりがひどくなった ・関節や筋肉に痛みを感じる ・急に顔が熱くなったり、汗が止まらなくなったりする(ほてり・のぼせ・多汗) ・手足が冷えやすい |
| その他の症状 | ・頭痛、めまい、耳鳴りがする ・夜中に何度もトイレに起きる(頻尿) ・ぐっすり眠れない、夜中に目が覚めるなどの睡眠障害 ・動悸や息切れがすることがある ・お腹周りの脂肪が増えてきた(内臓脂肪型肥満) |
複数の症状が当てはまる場合は注意が必要です。テストステロンの減少は、動脈硬化や心筋梗塞、メタボリックシンドロームなどの病気のリスクを高める可能性も指摘されています。
男性更年期障害は、身体だけでなく心にも影響を与えます。テストステロンは、意欲や気分の維持に関与していると考えられています。テストステロンが減ると、今までにない心の不調を感じることがあります。心に現れる症状のチェックリストを以下の表にまとめました。
| 症状 | チェックリスト |
| 気分の変化 | ・何をするのも億劫で、やる気が出ない(意欲低下) ・ささいなことでカッとしたり、イライラしたりする ・理由もなく不安になったり、気分が落ち込んだりする ・憂うつな気分が続く |
| 思考力の変化 | ・仕事や趣味に集中できない ・物事を記憶したり、判断したりする力が落ちたと感じる ・物忘れが増えた |
気分の落ち込みや意欲の低下などの症状は「うつ病」と間違われやすいのが特徴です。ご自身でも更年期障害が原因だと気づかないケースも少なくありません。心の変化によって仕事の効率が落ちたり、ご家族との関係がうまくいかなくなったりしている場合は、一人で抱え込まずに専門家へ相談することが大切です。
男性ホルモンであるテストステロンは、性機能と深く関わっています。テストステロンが減ると、性機能に関する悩みが出てくることがあります。性機能に関する悩みはデリケートな問題です。男性としての自信を失う原因になったり、パートナーとの関係に影響を与えたりすることもあります。
性機能に現れる症状のチェックリストは、以下のとおりです。
テストステロンは、脳内で興奮作用のあるドーパミンを増やしたり、勃起そのものを促したりする働きを担っています。テストステロンが減ると、性機能の症状が現れやすくなります。膀胱の柔軟性が失われることで頻尿が起こることもあります。性機能に現れる症状は、年齢による自然な変化と思われがちです。
治療によって改善が期待できる場合も多くあるので、気になることがあれば医師に相談してください。
以下の記事では、40代以降の男性に起こりやすい性欲減退の原因やホルモンの関係、日常でできる対策について詳しく解説しています。
>>40代男性の性欲減退の原因と対策|ホルモンバランスの変化による影響と改善法を解説
以前と違う心や身体の不調を感じて生活の質が落ちることは、身体からの大切なサインの可能性があります。受診を考えるべきタイミングのチェックリストは、以下のとおりです。
| 受診を考えるサイン | チェックリスト |
| 身体のサイン | ・しっかり寝ても疲れがとれない、いつも身体が重い ・理由もなく汗が噴き出す、顔がカッと熱くなる ・仕事での集中力が続かず、ミスが増えてしまった ・以前は楽しめていた趣味に、全く興味がわかない |
| 心のサイン | ・ささいなことで家族にイライラをぶつけてしまう ・わけもなく不安な気持ちになり、気分が落ち込む |
| 性機能のサイン | ・性的なことへの関心が明らかに薄れてきた ・朝立ちがめっきり減った、またはなくなった |
以上のサインが見られたら、泌尿器科や男性更年期を専門とする外来へご相談ください。不安感や気分の落ち込みが特に強い場合は、精神科や心療内科と連携して治療を進めることも大切です。
病院で行う男性更年期障害の検査について、以下の2つを解説します。
問診は、医師が患者さんの状態を正しく理解するために重要です。具体的には、以下の内容を詳しく聞き取ります。
客観的に症状の重さを知るために、質問票(アンケート)に記入してもらうことが一般的です。男性更年期障害の診断では「AMSスコア(Aging Male Symptomsスコア)」という質問票がよく用いられます。
AMSスコアに答えて点数化し、症状の重さを判断します。AMSスコアが50点以上の場合、重症と判断され積極的な治療が勧められることがあります。少し話しにくいと感じる内容もあるかもしれません。正確な診断のためには、ありのままの状態を伝えることが大切です。

問診の後は、血液検査を行います。身体の内部で起きていることを、客観的な数字で確認するためです。男性更年期障害の診断で重要なのが、血液中の男性ホルモン「テストステロン」の値です。身体の中で実際に働くことができる形の「遊離テストステロン(フリーテストステロン)」の量を調べることが重要です。
採血時間は、午前中に行うことが推奨されます。テストステロンの値が時間帯によって変動する特徴があるためです。午前11時までに採血を行うことで、より正確な診断につながるとされています。採血では、テストステロン値だけでなく、他の血液項目(肝臓や甲状腺機能など)も調べます。似たような症状を起こす病気が、他にないか確認します。
血液検査の結果は、一般的に以下の基準で判断されます。
数値だけで診断が決まるわけではありません。症状の重さや種類とあわせて医師が総合的に判断します。血液検査は、不調の原因を客観的な数値で明らかにし、適切な治療法を決めるために大切です。
男性更年期障害の主な治療法について、以下の4つを解説します。
テストステロン補充療法は、男性更年期障害の根本的な原因であるテストステロンの減少を、薬で直接補う治療法です。テストステロンを補給することで、気力や体力の回復、性機能の改善などが期待できる場合がありますが、効果には個人差があります。
「ホルモンを補充する」と聞くと、副作用が心配になる方もいらっしゃるかもしれません。最近の研究では、テストステロン補充療法が短期間〜中期間の使用において、心血管疾患や前立腺がんのリスク上昇が認められなかったという報告があります。長期的な安全性については引き続き研究が進められています。
テストステロン補充療法により排尿症状が悪化したという報告は少ないとされています。筋肉注射による補充療法が排尿症状の改善に寄与する可能性が示唆されています。効果には個人差があるため注意が必要です。治療法は、主に「注射」と「塗り薬」の2種類があります。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
| 剤形 | 特徴 |
| 注射剤(筋肉注射) | ・2〜4週間に1回のペースで、腕やおしりの筋肉に注射 ・血液中のテストステロン濃度を安定させやすい方法 |
| 塗り薬(ジェル剤など) | ・毎日自分で、皮膚に塗るタイプのお薬 ・自宅で手軽に治療を続けられるのが特徴 |
使用する製剤によっては、国内未承認のものが含まれる場合があります。国内未承認のものは医師の責任のもとで正規に輸入・管理され、海外(例:米国や欧州など)で承認されている製剤を用いることがありますが、日本国内では有効性および安全性が確立されていません。
使用にあたっては、治療の必要性やリスク、代替治療法について、医師から十分な説明を受け、同意のうえで実施されます。テストステロン補充療法は、前立腺がんの治療を受けている方など、適さない場合もあります。必ず専門の医師による診断のもとで、あなたに合った方法で治療を開始しましょう。
ホルモン補充療法だけでなく、生活習慣や心のケアも含めた総合的な対策については、以下の記事で解説しています。
>>男性更年期の乗り越え方|つらい症状を改善する生活習慣やストレス解消法を解説
テストステロンの値が基準値よりも高い場合や、ホルモン補充療法だけでは改善しきれないさまざまな症状には、漢方薬による治療が一つの選択肢となります。漢方薬は、東洋医学の考え方にもとづき、患者さんの体質や症状に応じて処方されます。効果には個人差があり、症状の改善には一定の期間を要する場合があります。
体質や症状に合わせて、多くの種類の漢方薬の中から適切なものが選ばれます。よく使われる漢方薬の例は、以下のとおりです。
漢方薬は、効果を実感するまでに時間がかかることもありますが、体質から見直すことが期待できます。自己判断で選ぶのではなく、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談し、ご自身の状態に合ったものを選ぶことが重要です。
毎日の食事だけでは不足しがちな栄養素を補うために、サプリメントを活用するのも一つの方法です。サプリメントはあくまでも「食品」であり、医薬品のように特定の病気や症状を治療・改善するものではありません。健康維持や栄養バランスの補助を目的として、上手に取り入れることが大切です。
男性更年期障害の症状緩和をサポートする成分は、以下のとおりです。
紹介したサプリメントの成分はあくまで一般的な栄養補助成分であり、特定の疾患や症状に対する効果を示すものではありません。サプリメントを利用する際は、次の点に注意しましょう。
健康的な生活習慣の一部として無理なく活用することが大切です。
治療の基本は、健康的な生活習慣です。生活習慣の改善は、治療効果を高めるための要素の一つです。日々の少しの心がけが、症状の改善や再発の予防につながります。具体的には、以下の4つのポイントを意識してみましょう。
さまざまな栄養素を摂ることが基本です。筋肉やホルモンの材料となるタンパク質(肉、魚、大豆製品)や、亜鉛(牡蠣、レバー、牛肉など)を意識することがおすすめです。ウォーキングなどの有酸素運動は、気分転換や睡眠の質向上に役立ちます。スクワットなどの筋力トレーニングは、研究においてテストステロン値への影響が示唆されています。無理のない範囲で、身体を動かす習慣をつけましょう。
睡眠不足は、テストステロンの分泌を妨げる大きな原因です。毎日決まった時間に寝起きする、寝る前のスマートフォンの使用を控えるなど、ぐっすり眠れる環境を整えることが大切です。過度なストレスは、ホルモンバランスを乱す原因になります。趣味に打ち込む時間を作る、ゆっくりお風呂に浸かるなど、ご自身に合ったリラックス方法を見つけ、上手に発散させましょう。
症状の程度によっては、生活習慣の改善だけでは不十分な場合もあります。医師の診断にもとづいて、適切な治療を受けることが重要です。
日常の食事からテストステロンをサポートしたい方には、活力を高める食材や栄養素を解説した以下の記事も参考になります。
>>精のつく食べ物ランキング!男性の活力とスタミナを高める食材と栄養素を解説

40代以降に感じる心や身体の不調は、テストステロン(男性ホルモン)の減少が原因で起こる「男性更年期障害(LOH症候群)」の可能性があります。この障害は、ホルモン補充療法や漢方薬、生活習慣の見直しなど、適切なアプローチによって症状の改善が期待できるものです。ただし、治療効果には個人差があるため、専門医による的確な診断が欠かせません。
イーヘルスクリニック新宿院では、血液検査にもとづいた数値的な診断を行い、患者さま一人ひとりの体質やライフスタイルに最適化した治療・指導を提供しています。
【当院の特徴】
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