医師が解説するNMNの効果：歩行速度と睡眠の質の改善

【医師が解説】NMNはエイジングケアの救世主？歩行速度と睡眠の質を改善する最新研究

今回は、話題のエイジングケア成分NMNが、高齢者の身体機能と睡眠の質をどのように改善するのか、最新の研究報告¹ を基に詳しく解説します。

参考記事

まず、NMNとは何かを簡単にご説明します。

NMN（ニコチンアミドモノヌクレオチド）： ビタミンB3群の中に含まれる物質の一つです。私たちの体内でも自然に作られています。
NAD+（ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド）： NMNは体内で「NAD+」という物質に変換されます。このNAD+こそが、私たちの生命活動に不可欠な役割を担う重要な補酵素です。
NAD+の働き： NAD+は、細胞がエネルギーを作り出す過程や、傷ついたDNAの修復、さらには代謝や老化のコントロールなど、非常に多くの重要な働きに関わっています。
加齢との関係： 残念ながら、体内のNAD+の量は加齢とともに減少していくことがわかっています。このNAD+の減少が、身体機能の低下や老化の一因と考えられています。

そこで、NMNを外部から補うことで、減少したNAD+を増やし、健康的な体を維持しようというのが、NMNによるエイジングケアの基本的な考え方です。

12週間後、NMNを摂取したグループでは、偽薬のグループと比較して以下の３つの点で有意な改善が見られました。

歩行能力の改善（歩くスピードが速くなった！）
4メートルの距離を歩く時間を測定したところ、NMNを摂取したグループでは歩行時間が有意に短縮しました。歩行速度の維持・向上は、日常生活の活動性を保ち、転倒を予防する上で非常に重要です。
睡眠の質の向上
世界的に用いられている「ピッツバーグ睡眠質問票（PSQI）」で睡眠の質を評価したところ、NMNを摂取したグループでは総合スコアが改善。特に「日中の機能障害（日中の眠気やだるさなど）」のスコアが大きく低下しました。これは、NMNが深い眠りをサポートし、日中の活動的な生活に繋がる可能性を示しています。
体内のNAD+レベルが実際に増加
血液検査の結果、NMNを摂取したグループでは、血中のNAD+とその関連物質の濃度が有意に増加していることが確認されました。これは、摂取したNMNが体内でしっかりと吸収・活用されていることを示す重要な裏付けとなります。

また、この研究期間中、NMN摂取による重篤な副作用は報告されず、安全性の高さも確認されています。