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尿酸とは、食品などに含まれるプリン体が体内で分解された際にできる老廃物のことです。中でも血中の尿酸の濃度が異常に高まった状態は高尿酸血症といわれ、関節などに突然痛みが起こる痛風の原因にもなります。この原因は、尿酸の排泄低下と産生過剰、その両者が混在する3パターンに分けられるとされています。
本記事では、尿酸の排泄低下の原因や予防法・対処法などについて詳しく解説します。
高尿酸血症の病型には排泄低下型・尿酸産生過剰型・混合型の3パターンがあり、排泄低下型とは尿酸の排泄が低下した状態のことを指します。
尿酸は通常の場合、体内で産生される量も排泄される量も1日約700mgとされています。そのため、尿酸の排泄量が低下したり、尿酸の産生量が増えたりすると血液中の尿酸の濃度が高くなってしまい、痛風(尿酸が結晶化して関節などにたまり、激痛を引き起こすこと)をはじめとするさまざまな合併症につながることがあります。
また、尿酸は約70%が腎臓から排泄されるとされています。日本人の高尿酸血症では、尿酸の排泄量が低下してしまうタイプが多く、特に男性にみられるといわれています。これは、女性ホルモンに腎臓からの尿酸の排泄を促進する作用があるためだと考えられています。
尿酸の排泄低下の原因としては、腎不全、脱水、尿崩症(遺伝や何らかの病気などによって尿の量が多くなった状態)、ケトーシス(体内のケトン体が増える状態)、薬剤などが挙げられます。
加えて、アルコールは腎臓の機能を低下させるため排泄低下の原因になることが分かっているほか、糖尿病患者さんや肥満の方などのように“インスリン”と呼ばれるホルモンが効きにくい状態の方(インスリン抵抗性のある方)も尿酸を排泄しにくくなり、尿酸値が上がりやすくなるといわれています。特に肥満は尿酸を作りやすく排泄しづらい状態になるため、肥満の方は高尿酸血症においては混合型になることが多いとされています。
腎不全とは、腎臓の機能が正常の30%以下に下がった状態のことです。前述のとおり、尿酸は約70%が腎臓から排泄されるため、腎臓に異常が生じると尿酸の排泄も低下するとされています。
尿中の尿酸濃度を低下させ尿酸の排泄を促進するために、1日2Lの尿量を確保できるよう、十分に水分を取るとよいでしょう。ただし、ビールなどのアルコールや、ジュースといった糖分を含むものではなく、水やお茶がよいとされています。
アルコールは尿酸の排泄低下と生成促進の原因になるとされています。肥満の原因にもなるため控えましょう。
特にビールにはプリン体が多く含まれているため注意が必要です。飲みすぎに注意し、飲むときは日本酒なら1合程度を目安としましょう。また、週に2日は飲まない日を設けることもポイントです。
ストレスが多いと飲酒や過食につながることがあります。これらは尿酸値の上昇の原因となるため注意しましょう。
また、すでに高尿酸血症となっている場合、ストレスによって痛風発作が起こりやすくなるとされています。
肥満は高尿酸血症のリスクを高めるため、食べすぎを控え、適切なカロリー摂取を心がけて減量に努めましょう。
運動は肥満や高尿酸血症の予防・改善のほか、ストレス解消につながります。ただし、過度な運動や無酸素運動は尿酸値を上げてしまうため、ウォーキングなどの軽い有酸素運動がよいとされています。
また、水分が不足すると尿酸の濃度が高くなるため、運動の前後には水分補給を心がけましょう。
高尿酸血症の排泄低下型と診断された場合は、必要に応じて薬による治療を行うことがあり、この場合は尿酸排泄促進剤(尿酸の排出量が増えるように腎臓にはたらきかけ、尿酸値を下げる薬)が選択肢となります。尿酸値が目標値まで下がるには半年程度かかることが一般的であるため、きちんと飲み続けることが必要です。
また、治療中に腎臓に石ができるのを予防するため、尿をアルカリ性に保つ薬を併用することもあります。
肥満や生活習慣の乱れは尿酸値の異常だけでなく、さまざまな生活習慣病の原因となります。そのため、日ごろから生活習慣に注意し、高尿酸血症などの予防に努めましょう。また、健康診断で尿酸値の異常を指摘された場合は早めに受診を検討するとよいでしょう。
高尿酸血症と診断されたら、医師の指導のもと適切な治療やセルフケアを行うことが大事です。