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新型コロナウイルス感染症では治療や療養期間が終了した後、感染性は消えても、ほかに明らかな原因がなく、倦怠感、息苦しさ、味覚障害、記憶への影響などの症状(後遺症)が長引くことがあります。3人に1人はこの後遺症を経験しているといわれています。後遺症についてはまだ不明なことが多く、引き続き調査が必要な状況です。本記事では、新型コロナウイルス感染症の後遺症のうち、物忘れや思考力の低下について解説します。
新型コロナウイルス感染症の後遺症では、物忘れや考えがまとまらないなどといった症状(ブレインフォグ)がみられることがあります。ブレインフォグとは認知機能に関連した症状のことで“頭にモヤ(霧)がかかった状態”と表現されます。
新型コロナウイルス感染時の症状が重症だった人は、特に回復後に物忘れなどの認知機能の低下が起こりやすいといわれています。ただし、後遺症として物忘れや決断力の低下などが起こるはっきりとした原因はまだ分かっていません。また、ブレインフォグは単体で発症するというよりも、疲労感や倦怠感(だるさ)、頭痛、不眠などほかの症状を伴う場合もあります。
新型コロナウイルス感染症になって間もない頃(急性期)から持続するケースと、急性期から回復した後に新たに出現するケースがあるといわれています。また、症状の程度は変動し、症状が治まった後に再び出現することもあり、症状が出る時期は人によって異なります。
個人差はありますが、後遺症全般で見ると半数以上が5か月以内に症状の改善を感じるといわれています。しかし、時に1年以上持続する場合もあるといいます。
海外では、新型コロナウイルス感染症後遺症患者の約3分の1に物忘れをはじめとしたブレインフォグが認められたという報告があります。
また、オミクロン株の後遺症では味覚・嗅覚障害が出にくいものの、咳や倦怠感、ブレインフォグなどの認知機能低下、気分の落ち込みを起こしやすいという報告もあります。
以下の場合は早めに医療機関を受診しましょう。そのほか、気になることがあれば医師や住まいの自治体の相談窓口に相談するとよいでしょう。
現段階で物忘れをはじめとする新型コロナウイルス感染症の後遺症に対する確立した治療法はありません。不安や苦痛などに関するカウンセリングなどを行いながら、必要に応じた治療が検討されることが一般的です。
なお、海外の研究では新型コロナウイルスワクチンを2回接種した後に新型コロナウイルスに感染した場合、28日以上続く症状の発現が約半数へ減少することが報告されています。つまり、後遺症の抑制につながる可能性があると考えられているのです。
新型コロナウイルス感染症の後遺症の1つに物忘れなどがあります。基本的には徐々に回復するので、休息を取ったり生活習慣を整えたりして過ごすことが大切です。物忘れをはじめとした気になる症状が4週間以上続く場合は、かかりつけ医や近隣の医療機関に相談することを検討しましょう。
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