リベルサス
かぜなどの感染症にかかると、発熱とともに関節痛が起こることがあります。これは、プロスタグランジンという物質が関係しています。プロスタグランジンには体を発熱させてウイルスが増えないようにする役割に加えて、痛みを増強させるはたらきがあるため、関節痛のほかにも筋肉痛などを引き起こすこともあります。
このような症状は感染症のほかにも、関節リウマチなどの膠原病でも生じることがあり、治療が必要になることもあるため放置せず受診することが大切です。この記事では、発熱と関節痛が生じる病気の概要や治療法などを解説します。
発熱は、一般的に体温が37.5℃以上になった状態のことをいいます。しかし、人によって平熱などは異なるほか、体温は1日の間で変動することがあるため、全体的にみて判断することが大切です。
また、関節痛は、原因によって痛む場所や期間が異なります。発熱と関節痛の原因として考えられる病気と治療法は以下のとおりです。
ウイルスや細菌に感染し、鼻から喉までの気道に炎症が起こる病気のことです。かぜにかかると、発熱や関節痛ほか、鼻水や鼻づまり、喉の痛み、頭痛などの症状が現れることがあります。
ウイルス感染によるかぜの場合、安静にしつつ水分と栄養を補給すれば自然治癒するのが一般的ですが、必要に応じて鼻水や熱を抑える薬が処方されることもあります。また、細菌感染が考えられる場合は、抗菌薬が投与されることがあります。
インフルエンザウイルスに感染することで発症する病気です。突然の高熱(38℃以上)、筋肉痛や関節痛、頭痛、喉の痛みや咳などの症状が出ることがあります。通常のかぜよりも症状が重く、肺炎などの合併症が起こるリスクもあります。
治療の基本はかぜと同じく安静と水分・栄養補給です。自分で水分や栄養を摂取できない場合は、点滴を行うこともあります。医療機関では、抗インフルエンザ薬が処方されることもあります。
新型コロナウイルスに感染することで発症する病気です。感染すると、1~14日(平均5日)の潜伏期間を経た後に、発熱や関節痛、筋肉痛、鼻水、喉の痛み、咳、嗅覚障害や味覚障害などの症状が現れることがあります。人によっては時に肺炎を起こしたり、人工呼吸管理が必要になったりと重症化するケースもあります。
確立された治療法がないので、重症度に応じて抗ウイルス薬や抗炎症薬などが使用されることがあります。ただし、熱があるなど新型コロナウイルスの感染が疑われる場合は、いきなり医療機関を受診するのは避け、まずはかかりつけ医や受診・相談センターなどに電話相談をして案内に従うことが大切です。治療完了後に関節痛などの症状が続く場合も、かかりつけ医などに相談しましょう。
関節内に細菌が侵入し、膿んでしまった状態のことです。発熱、関節痛、関節の腫れなどの症状が現れることがあります。
治療は、手術によって関節の中を洗浄し、抗生物質を全身投与することが一般的です。治療後も痛みが残っていたり、関節が不安定になったりした場合は、関節固定術を施すこともあります。
関節の軟骨などに“ピロリン酸カルシウム二水和物(CPPD)”と呼ばれる物質が沈着することによって、発熱や関節の腫れ、赤み、動かした際の強い痛みが現れる関節炎です。特に膝の関節に起こりやすいといわれています。症状は痛風とよく似ていますが、痛風のように血液中の尿酸値が高くなることはありません。CPPDが沈着してしまう原因についてはまだよく分かっていませんが、加齢による関節の変形が関与していると考えられます。
症状があるうちの治療は、痛みや発熱を和らげる非ステロイド性消炎鎮痛剤による薬物療法や患部の冷却が一般的です。場合によっては針を刺して関節液を排出したり、コルチコステロイドを関節に注射したりすることも検討します。急激な発熱や痛みは1~3日程度で落ち着くことが一般的です。
免疫機能に異常が出て、関節に慢性的な炎症が生じる病気です。微熱や関節痛のほか、手足の指の変形や腫れ、貧血、だるさなどの症状が出ることがあります。進行すると関節が破壊されて、機能障害を起こすこともあります。
治療は、抗リウマチ剤、非ステロイド性消炎剤などを用いた薬物療法が基本です。また、関節へのヒアルロン酸製剤の注射や、リハビリテーション、手術などを行うこともあります。
免疫機能に異常が出て、全身の臓器に炎症・障害が起こる病気です。特に関節や皮膚、腎臓や神経に症状が出やすい傾向にあります。発熱、関節痛のほか、全身のだるさ、脱毛、蝶形紅斑(両頬と鼻に広がる皮疹)などの症状が出ることがあり、重症化すると腎臓の障害や神経精神症状が出ることもあります。
関節や皮膚に症状が出た場合は消炎鎮痛薬やステロイド剤、重症化した場合は大量ステロイド療法や免疫抑制剤を用いた治療を行うなど、症状が出た場所や重症度などで治療法が変わります。
発熱と関節痛の症状が出ている場合、感染症や関節炎、膠原病などになっている可能性があります。かぜが原因の発熱や関節痛は、安静にしていれば治るでしょう。
しかし、関節の痛みが強い、痛みが1~2週間以上続くなどの場合は何らかの病気の可能性もあるため、早めに医療機関の受診を検討するようにしましょう。
当院では、発熱・咳・痰・咽頭痛・風邪症状・倦怠感などのある患者様は発熱外来専用ブースで診療を行っています。
発熱を伴う症状の方は必要に応じて、新型コロナウイルスのPCR検査、インフルエンザ検査などを実施しています。