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2023.01.31

高尿酸血症の合併症とは?~痛風のほか慢性腎臓病や高血圧などさまざまな病気を招くリスクがある~

高尿酸血症は、血液中の尿酸値が通常よりも高くなり、7.0mg/dLを超えた状態のことです。高尿酸血症を放置すると、足の親指の関節などが痛む痛風を引き起こすことが知られていますが、そのほかにもさまざまな合併症が存在します。本記事では、高尿酸血症の合併症について解説します。

高尿酸血症の合併症

高尿酸血症の合併症には痛風のほかにも、尿路結石や高血圧、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病が挙げられます。このような生活習慣病は進行すると動脈硬化を招き、時に心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞など命に関わる病気につながることもあります。

実際に高尿酸血症の患者さんの約8割が心血管疾患のリスクになる生活習慣病を合併しているといわれているため、高尿酸血症を指摘された場合は早めに適切な治療を受けるようにしましょう。

痛風

痛風は、尿酸が高い状態が続くことで結晶化した尿酸が関節などにたまり炎症が起こり、強い痛みや腫れが生じる病気です。尿酸は血液中に溶けにくい物質で、尿酸値が7.0mg/dLを超えると結晶ができ始めるといわれています。

ある研究では尿酸値7.0mg/dLの方に比べ、8.0mg/dL以上では2倍以上、9.0mg/dLでは約10倍も痛風になる頻度が高くなるといった報告もあります。痛風発作を防ぐには、尿酸値を6.0mg/dL未満を目指すことが重要とされており、改善には生活習慣を見直すことが大切です。

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尿路結石

尿酸値が高いと、腎臓や腎臓と膀胱をつなぐ尿管などに硬い結石ができやすくなります。腎臓に結石ができた場合は無症状のこともありますが、部位によって腰背部に強い痛みが出たり、腎機能が低下したりすることもあります。この場合は、十分に水分を摂取して尿量を増やすことが大切です。また、医師の指示に従って生活習慣を見直し、尿酸を下げる治療薬を使用しましょう。

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腎障害・慢性腎臓病

尿酸値が高い状態が続くと、結晶になった尿酸が腎臓の中にたまって、腎臓のはたらきを悪くします。また、腎障害になると尿酸をうまく排泄できなくなるため尿酸値が上昇するといった悪循環が起こることも知られています。

また、腎障害が悪化すると慢性腎臓病になることがあります。慢性腎臓病とは、腎臓のはたらきが低下したり、腎臓が障害されたりしている状態の総称です。ある研究では尿酸値が1.0mg/dL上がると慢性腎臓病を発症するリスクが1.22倍になるといった報告があります。

慢性腎臓病は悪化すると腎不全を招き、透析療法が必要になることもあるため、危険な合併症として注目されています。 末期腎不全の発症と高尿酸血症の関係を調べたある研究によると、たとえば高尿酸血症の発症が多い男性の場合、尿酸値が7.0mg/dL未満で末期腎不全を発症した人は1,000人あたり1.22人だったのに対し、尿酸値が7.0mg/dL以上では4.64人の約3.8倍になるデータもあります。腎障害や慢性腎臓病も生活習慣の改善が必要となります。

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高血圧

高尿酸血症があると高血圧になりやすいことが知られています。原因ははっきりとは分かっていませんが、腎臓の微小な血管の炎症や機能低下が影響すると考えられ、特に若い方、肥満の方、女性で合併しやすいとされています。また、もともと高血圧があると、腎臓で尿酸が排泄されにくくなるといわれています。なお、尿酸が高いと高血圧のリスクが1.5倍になるというデータがあります。

高血圧と高尿酸血症はいずれも、生活習慣が関係して発症する病気です。どちらも改善するためには生活習慣を見直すことが重要になります。

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糖尿病

糖尿病や高尿酸血症などの生活習慣病は互いに合併しやすく、その原因として深く関わっているのが肥満です。特に、内臓脂肪が過剰に蓄積する“内臓脂肪型肥満”の場合は、脂肪から高血糖を引き起こす物質が分泌され、それが糖尿病を招く一因となることがあります。糖尿病も基本的に生活習慣を見直し、改善することが必要です。

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メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームは、尿酸値が高くなるほど合併しやすくなります。また、内臓脂肪の量が多いほど、尿中の尿酸値が高くなることも分かっています。メタボリックシンドロームは、次の2つを満たしたときに診断されます。

  1. 腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上
  2. 血圧130/85mmHg以上・空腹時血糖110mg/dL以上・中性脂肪150mg/dL以上かつ/またはHDLコレステロール40mg/dL未満 のうち2項目以上に当てはまる

メタボリックシンドロームは内臓脂肪がたまり、脂質異常症や高血圧、糖尿病などさまざまな合併症を引き起こし、動脈硬化を招いて心血管疾患につながる可能性が高い状態として知られています。メタボリックシンドロームの改善によって高尿酸血症も改善されるといわれているため、医師の指示に従って治療を受けるようにしましょう。

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合併症を予防するためには治療や生活習慣の見直しが大切

高尿酸血症の合併症を予防するには、適切な治療を受けることと生活習慣を見直すことが大切です。詳細な治療内容については患者さんによって異なるため、医師や看護師、管理栄養士などと十分に相談しながら決めていくようにしましょう。

eHealth clinicでは高尿酸血症痛風の診療を行っています。高尿酸血症などの生活習慣病は食事や運動など生活習慣が原因となっていることがあるため、薬を使用するだけではなく生活習慣を見直し改善することも治療の1つになります。eHealth clinicには管理栄養士が在籍し、管理栄養士による栄養相談も実施しています。管理栄養士が患者様の普段の食事内容や生活スタイルを丁寧にヒアリングし、無理なく続けられる食事法をアドバイスしていきます。患者様の健康をサポートできるよう、さまざまな要望に対応できるような体制も整えております。疑問や不安があればお気軽にご相談ください。

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参考文献

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版

Significance of hyperuricemia as a risk factor for developing ESRD in a screened cohort. Am J Kidney Dis. 2004 Oct;44(4):642-50.