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2022.09.14
#糖尿病内科(内分泌・代謝外来) #対象疾患

糖尿病の原因とは?発症リスクを高める要因と1型・2型の違いを解説

「糖尿病」と診断され、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。「糖尿病」には、原因が異なる複数の種類があります。日本の糖尿病患者さんの9割以上を占める2型糖尿病は、生活習慣が大きく関係しています。一方で、生活習慣とは関係なく発症する1型糖尿病も存在します。

最近では、痩せている方でもリスクが高まるケースが報告されるなど、これまでの常識が覆されつつあります。糖尿病は自覚症状が少ないまま進行することが多いため、ご自身のタイプを正しく理解し、適切な治療を受けることが重要です。

混同されがちな1型・2型糖尿病の根本的な原因や、発症リスクを高める要因の違いについて詳しく解説していきます。

イーヘルスクリニック新宿院では、糖尿病専門外来にて病態に応じた丁寧な診療を行っています。「健診で血糖値の異常を指摘された」「糖尿病の家族がいて不安」「最近体重が減ってきた」など、気になる症状やお悩みがある方は、早めの受診が大切です。

糖尿病に関する不安や疑問があれば、お気軽にご相談ください。

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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

糖尿病の種類

糖尿病の種類について、以下の4つを解説します。

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病
  • 妊娠糖尿病
  • 疾患や薬剤の影響による糖尿病

1型糖尿病

1型糖尿病は、子どもや若い方に多く発症しますが、どの年代の方でも起こる可能性のある病気です。血糖値を下げる「インスリン」というホルモンを作る細胞が、自己免疫の異常によって誤って攻撃され、壊されてしまうことで発症すると考えられています。

その結果、インスリンがほとんど、あるいは全く作られなくなり、症状が短い期間のうちに、はっきりと現れることが多いのが特徴です。症状の特徴は、以下のとおりです。

  • 異常に喉が渇き、たくさんの水分を欲しがる
  • トイレに行く回数が増える(おねしょがなかった子の夜尿)
  • たくさん食べているのに、体重が急に減ってしまう
  • 体がとてもだるく、疲れやすいと感じる
  • 視界がぼやけたり、かすんだりする

治療では、体内で作れなくなったインスリンを補うことが不可欠なため、毎日インスリンを注射で補う「インスリン療法」を行います。インスリン注射は継続的に必要とされます。

2型糖尿病

2型糖尿病は、日本の糖尿病患者さんの9割以上を占めています。生活習慣が大きく関わることが多いため、比較的頻度の高い糖尿病です。以前は大人に多い病気でしたが、食生活の変化などから若い人にも増えています。主に2つの要因が重なって起こります。

  • インスリン抵抗性:肥満や運動不足などが関連して、インスリンの効きが悪くなった状態
  • インスリン分泌低下:遺伝的な体質などにより、インスリンを作る力が弱まってしまう状態

2つの要因には、遺伝的な体質に加えて、食べすぎや運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣が影響すると考えられています。初期の段階では自覚症状がほとんどなく、ゆっくりと進行します。健康診断などで偶然見つかることも少なくありません。症状がないからといって安心はできません。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は、妊娠をきっかけに血糖値が高くなる状態です。妊娠糖尿病のリスクを高める要因には、次のようなものがあります。

  • ご家族に糖尿病の方がいる
  • 妊娠前から肥満気味である
  • 高齢での妊娠
  • 以前の妊娠で妊娠糖尿病になったことがある
  • 4,000g以上の大きな赤ちゃんを産んだことがある

妊娠中は、お腹の赤ちゃんに栄養を届けるために出るホルモンの影響で、血糖値を下げるインスリンが効きにくくなります。ほとんどの場合、出産すると血糖値は正常に戻ります。妊娠糖尿病を経験した方は、将来的に2型糖尿病になりやすいことがわかっています。出産後も定期的な検査と健康的な生活を続けることが大切です。

疾患や薬剤の影響による糖尿病

1型や2型、妊娠糖尿病の他にも、特定の病気や薬が原因で血糖値が高くなることがあり「二次性糖尿病」と呼びます。原因となる主な病気や薬剤は、以下のとおりです。

  • すい臓の病気:慢性すい炎、すい臓がん、すい臓の手術後など
  • 内分泌の病気:クッシング症候群、甲状腺機能亢進症など
  • 肝臓の病気:肝硬変、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)など
  • 遺伝子の異常
  • 薬剤:ステロイド薬、一部の利尿薬や免疫抑制剤など

病気の治療や薬の使用が、インスリンの分泌を妨げたり、インスリンの効きを悪くしたりすることがあります。治療や薬の変更によって、血糖値が改善することもあるので、主治医と相談しましょう。

1型糖尿病の発症リスクを高める要因

1型糖尿病の発症のリスクを高めるとされる主な3つの要因を解説します。

  • 自己免疫異常
  • 遺伝的要因
  • ウイルス感染

自己免疫異常

1型糖尿病が起こる主な原因は自己免疫という体の仕組みの異常だと考えられています。体には、ウイルスや細菌などの外敵から体を守ってくれる免疫というシステムがあります。免疫システムが何らかの理由で誤作動を起こし、自分の体の一部を「敵」だと間違えて攻撃することがあります。この状態が自己免疫異常です。

1型糖尿病の場合、免疫の誤作動により、すい臓が攻撃されます。すい臓の中には、血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンを作る「β(ベータ)細胞」という重要な細胞があります。免疫がβ細胞を誤って攻撃してしまうと、体に必要なインスリンがほとんど作られなくなります。

結果、血糖値をうまく下げることができなくなり、1型糖尿病を発症します。免疫が誤作動を起こすのか、根本的な原因はまだ完全には解明されていません。

遺伝的要因

1型糖尿病は、親から子へ必ずうつる「遺伝病」ではありません。病気そのものではなく、「1型糖尿病になりやすい体質」が遺伝することがあると考えられています。ご家族に1型糖尿病の方がいる場合、免疫の働きに関係する特定の遺伝子の影響により、発症する可能性がやや高くなることが知られています。

特定の遺伝子を持っているからといって、誰もが1型糖尿病になるわけではありません。遺伝的な要因は、あくまで複数ある発症要因の一つであり、誰かのせいで起こる病気ではありません。

近年では、AI(人工知能)などの技術を用いて遺伝子情報を解析し、病気に関わる目印(バイオマーカー)を見つける研究が進められており、将来的には一人ひとりの体質に合わせた治療や、発症リスクの予測につながることが期待されています。

ウイルス感染

風邪や胃腸炎を起こす身近なウイルスに感染することが、1型糖尿病を引き起こすきっかけになる場合があります。ただし、ほとんどの人は感染しても糖尿病にはなりません。遺伝的に1型糖尿病になりやすい体質を持つ人が、特定のウイルスに感染したタイミングで免疫システムに異常が生じるのではないかと推測されています。

ウイルス感染はあくまで発症のきっかけの一つであり、遺伝的な要因と環境要因が重なったときに、自己免疫のスイッチが入ると考えると理解しやすいでしょう。

2型糖尿病の発症リスクを高める要因

2型糖尿病の発症リスクを高める要因を5つ解説します。

  • 過食・高カロリー食
  • 内臓脂肪肥満
  • 運動不足
  • 喫煙・過度の飲酒
  • 加齢

過食・高カロリー食

食べ過ぎや高カロリーな食事が続くと、血糖値を下げるために、すい臓は多くのインスリンを分泌し続けなければなりません。すい臓は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンを作り、食事でとった糖をエネルギーとして細胞に取り込む役割を担っています。糖分の多い食事が長期間続くと、すい臓は休むことなく働き続ける状態になります。

次第にすい臓の負担が大きくなり、インスリンの分泌量が減ったり、働きが弱くなったりすることがあります。以下のような食生活は、すい臓に大きな負担をかけます。

  • 甘い飲み物やお菓子を頻繁にとる
  • 揚げ物や脂っこい肉類を好んで食べる
  • 早食いやテレビを見ながら食べる習慣
  • 野菜や海藻類をあまり食べない

食事は、野菜やきのこ、海藻など食物繊維が多いものから食べるベジタブルファーストを心がけるだけでも、血糖値の急上昇を抑える可能性があります。

以下の記事では、糖尿病の食事療法における具体的な栄養指導の内容や日常生活での食事のポイントについて解説しています。
>>糖尿病の食事療法における栄養指導の内容とは?〜食事のポイントをご紹介〜

内臓脂肪型肥満

肥満は2型糖尿病の大きな危険因子ですが、特に注意が必要なのが、お腹周りに脂肪がつく内臓脂肪型肥満です。内臓脂肪は、増えすぎるとホルモンのように働く物質(アディポサイトカイン)を分泌し、その中には体に悪い影響を与えインスリンの働きを弱めるものもあります。

インスリンの働きを妨げるため、血糖値が下がりにくくなることがあります。この状態をインスリン抵抗性と呼びます。内臓脂肪型肥満の目安(腹囲)は以下のとおりです。

  • 男性:85cm以上
  • 女性:90cm以上

見た目はそれほど太っていなくても、お腹がぽっこりと出ている方は注意が必要です。健康診断などで腹囲を測る機会があれば、ご自身の数値を確認してみてください。

運動不足

運動不足も、2型糖尿病のリスクを高める要因の一つです。運動が血糖値のコントロールに大切な理由は、主に2つあります。

  • 血液中の糖をエネルギーとして消費する
  • インスリンの効きを良くする

筋肉は体の中で多くの糖を取り込む役割を担っているため、運動不足で筋肉が減ると、食後に増えた糖が処理されにくくなります。筋肉が減少する状態はサルコペニアと呼ばれ、2型糖尿病の発症リスクを高めることが知られています。

研究では、2型糖尿病やサルコペニア、腸内環境の乱れが、互いに悪影響を及ぼしあう関係にあることが示唆されています。ウォーキングなどの有酸素運動と、軽い筋力トレーニングを組み合わせて、筋肉を維持していくことが大切です。

喫煙・過度の飲酒

喫煙と過度の飲酒という生活習慣も、2型糖尿病のリスクを高めることがわかっています。タバコに含まれるニコチンなどの有害物質は、自律神経の一つである交感神経を刺激します。血糖値を上げる作用のあるホルモン(アドレナリンなど)の分泌が促され、インスリンの働きを弱める作用があります。

過度の飲酒は、アルコールのカロリーや食事量の増加によって肥満を招き、間接的に糖尿病のリスクを高めます。長期間にわたる大量の飲酒は、インスリンを作るすい臓に負担をかけ、働きを低下させることがあります。お酒を楽しむ場合は、適量を守り、体を休ませる日を設けることが大切です。

加齢

年齢を重ねることも、2型糖尿病の発症リスクを高める要因の一つです。主に3つの生物学的な理由が考えられます。

  • 基礎代謝の低下
  • 筋肉量の減少(サルコペニア)
  • すい臓の機能低下

何もしなくても消費されるエネルギー(基礎代謝)は、年齢とともに低下します。若い頃と同じ量を食べていてもエネルギーが使われにくくなり、脂肪として蓄積されやすくなります。また、筋肉が減ると、食後に血糖値が下がりにくくなり、2型糖尿病の患者さんではサルコペニアを合併している割合が高いことも知られています。

すい臓の働きも加齢とともに少しずつ低下し、インスリンの分泌量が減ったり、食後の血糖値上昇に対する反応が遅れたりすることがあります。年齢そのものは変えられませんが、バランスの良い食事や適度な運動を続けることで、こうした体の変化をゆるやかにし、糖尿病の発症リスクを下げることが期待できます。

1型糖尿病と2型糖尿病の違い

1型糖尿病と2型糖尿病の違いを、以下の3つの視点から解説します。

  • 発症年齢
  • 症状
  • 治療方法

発症年齢

1型糖尿病と2型糖尿病では、病気が見つかる年齢に違いがあります。ただし、あくまで傾向であり、例外も多くあります。主な違いを、下の表にまとめました。

このように発症年齢に傾向はありますが、年齢だけでどちらのタイプかを判断することはできません。

症状

症状の現れ方にも、1型と2型で違いが見られます。この違いを知っておくことは、病気の早期発見に繋がります。

2型糖尿病は症状の進行がゆっくりで、自覚症状がほとんどないまま病気が進むことが少なくありません。症状が乏しくても、体の中では合併症が静かに進行していることがあります。目の合併症である糖尿病網膜症は、気づかないうちに進行し、視力低下や失明につながる可能性があります。

症状がない段階でも定期的に検査を受け、体の変化を早めに見つけることが重要です。

以下の記事では、糖尿病でみられる初期症状や1型・2型の特徴的な症状について、より詳しく解説しています。
>>糖尿病ではどんな症状が出るの? 〜初期症状や種類別の症状をご紹介〜

治療方法

1型糖尿病と2型糖尿病は、体の中で起きていることが違うため、治療の考え方や目標も異なります。1型糖尿病では、体内でインスリンをほとんど作れなくなるため、インスリンを補う治療が生命維持に不可欠です。治療を安全に続けるためには、血糖値を定期的に測定し、食事や活動量に応じてインスリン量を調整することが重要です。

2型糖尿病では、生活習慣の改善が治療の中心となります。食事や運動によって血糖値の改善が十分でない場合には、飲み薬や注射薬を組み合わせて治療を行います。必要に応じてインスリン治療が選択されることもありますが、まずは生活習慣の見直しが基本となります。

まとめ

糖尿病と診断されると不安に感じるかもしれませんが、ご自身のタイプを正しく理解することが大切です。1型糖尿病は、生活習慣が直接の原因ではなく、ご自身を責める必要は全くありません。一方、日本で多い2型糖尿病は、遺伝的な体質に日々の生活習慣が加わって発症するため、生活を見直すことが改善につながる可能性があります。

ご自身の体の状態をきちんと知り、納得して治療を進めることが、病気と上手に付き合っていくために大切です。不安や疑問があれば、一人で抱え込まず、かかりつけの医師に相談してみましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、1型・2型の病態を丁寧に評価し、生活背景も踏まえた治療をご提案します。検査や薬物療法、生活指導まで一貫してサポートし、安心して治療を続けられる体制を整えています。糖尿病に関する不安や疑問があれば、お気軽にご相談ください。

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