血尿は健康診断で多くの方に見られる異常所見ですが、泌尿器系のがんやIgA腎症などが原因の可能性があるため、腎臓内科・泌尿器科での受診が推奨されます。IgA腎症は血尿のみが初期症状となる自己免疫性の腎臓病で、進行すると腎不全に至るリスクがあります。診断には腎生検が必要ですが、近年、Gd-IgA1という血液中のバイオマーカーを検査することで、IgA腎症の可能性を高めて判断できるようになっています。
当院では自費診療にてGd-IgA1検査を9,900円で提供しています。血尿でお悩みの方は、ぜひ当院での検査をご検討ください。
こんな方に
血尿(尿潜血反応陽性)は、健康診断を受ける人の5〜10%に見られる一般的な異常所見です。健康診断では尿蛋白と尿糖の検査が法律で義務付けられていますが、多くのケースで血尿も同時にチェックされます。血尿を調べる主な目的は、泌尿器系のがん(腎がんや膀胱がん)や腎炎(特にIgA腎症を含む慢性糸球体腎炎)の早期発見です。ただし、二次検査や精密検査の結果、血尿の原因が特定されるのはわずか数%に過ぎません。つまり、1,000人中50〜100人に血尿が認められ、その中で少数が泌尿器系のがんや腎炎と診断される程度です。
軽微な血尿単独(尿蛋白が陰性の場合)であれば、深刻であることはまれで、過度な心配は不要です。しかし、泌尿器系のがんや腎炎の可能性がゼロではないため、軽視は禁物です。血尿が見られた場合は、まず腎臓内科・泌尿器科を受診しましょう。健康診断を受けている方であれば、進行がんよりも早期がんの可能性が高く、早期がんの診断には泌尿器科専門医の判断が重要です。特に若い方は受診に抵抗を感じることもありますが、ためらわずに受診しましょう。血尿は軽度であっても異常ですので、原因をしっかり確認することが大切です。泌尿器科で異常がない場合、IgA腎症など腎炎の可能性を確認するため、内科医の診察を受けるとよいでしょう。
IgA腎症は、自己免疫異常が原因の腎臓病で、国内で約30,000人が罹患しています。慢性糸球体腎炎の中で最も多い病気で、30〜40%の患者が末期腎不全に進行し、透析が必要になります。早期診断が望ましい病気ではありますが、診断には腎生検という侵襲的な検査が必要であるため、診断のハードルは低くありません。
IgA腎症の初期段階では血尿だけが見られることが多く、尿蛋白は陰性です。進行すると尿蛋白が陽性になることがありますが、この時点で腎生検を行うと腎臓のダメージが進行していることが少なくありません。IgA腎症の10〜20%は無治療で寛解することもあり、尿蛋白が少ない場合、腎予後は比較的良好とされます。ただし、腎生検にはリスクがあるため、担当医の判断に基づいて適切な経過観察を行うことが重要です。
Gd-IgA1は、IgA腎症の原因とされる重要なバイオマーカーです。最新の研究により、IgA腎症の患者の血中にはGd-IgA1と、それに対する自己抗体が高濃度で存在することが明らかになっています。このGd-IgA1を標的とする新しい治療薬の開発が急速に進んでおり、現在、10種類以上の新規治療薬が治験に入っています。これらの治験は、腎生検でIgA腎症と診断された患者を対象に行われ、診断検査ではなく、治療評価マーカーとしてGd-IgA1が使用されています。このように、IgA腎症が疑われた症例やIgA腎症の治療を含む臨床経過において、Gd-IgA1を測定することは重要な意味を持つ可能性があります。
<注意事項>
・本検査は研究検査(Research use only: RUO)のため、これでIgA腎症の診断はできません(IgA腎症は腎生検でのみ診断される腎臓病です)。
・腎生検は、担当医が個別に必要性を判断し、十分な説明を受けた患者が同意の上で実施されるものです。Gd-IgA1の陽性判定は腎生検を推奨するものではありません。
健康診断でクレアチンが高い、尿蛋白や血尿が陽性の場合は、当院の腎臓内科を受診してください。基礎疾患や腎機能のリスク因子を検査し、最適な治療プランを提案します。治療オプションは理解しやすく説明し、患者様の了承を得た上で治療方針を共に決定します。健康な未来への一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。
当院では自費診療にてGd-IgA1検査を9,900円で提供しています。血尿でお悩みの方は、ぜひ当院での検査をご検討ください。
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記事作成:天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。