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診療科目
2022.06.08
#腎臓内科 #対象疾患

IgA腎症

IgA腎症

IgA腎症とは、IgA(免疫グロブリンA)の異常によって、腎臓の糸球体(血液をろ過して老廃物や塩分などのいらないものを外に出す臓器)に炎症が起きる病気です。IgAとは抗体の一種で、細菌が粘膜から侵入するのを防ぐ役割をしています。

IgAに異常が起こる原因ははっきり分かっていませんが、リンパ球(白血球の一種)の機能異常、細菌やウイルスによる感染症(かぜや扁桃炎など)、遺伝的な要素などの関連が考えられています。また、IgA腎症は難病に指定されており、子どもから大人まで幅広い年代で発症する可能性があります。

IgA腎症の症状

主な症状

IgA腎症はほとんどが無症状といわれており、健診などで偶然発見されることがあります。症状がある場合に見られるものとしては、以下のとおりです。

など

受診の目安

健診で異常を指摘された場合、または血尿(コーラのような色の尿)が見られる場合は、IgA腎症の可能性を踏まえて早めに受診を検討するとよいでしょう。目で見て分かる血尿は尿に関わる臓器の重要な病気のサインの可能性があり、IgA腎症以外にもがんなどで見られることがあります。

また、IgA腎症が進行すると腎臓の働きが悪くなって、高血圧の合併や、腎不全に伴う症状(むくみや尿に関わる症状など)がみられることがあります。IgA腎症をはじめとする腎臓の病気は無症状であることが多いため、定期的な健康診断を受けることが重要です。

IgA腎症の治療のポイント

治療には薬物療法や手術があります。年齢、血尿や蛋白尿の程度、腎機能の程度などによって内容を検討します。また、減塩や禁煙といった生活習慣の改善(後述)も重要とされています。

薬の処方

主な治療薬には、降圧薬やステロイド薬、免疫抑制薬、抗血小板薬などがあります。まず血圧がコントロールされていないと、将来的に腎不全につながることがあります。そのため、高血圧がある場合は血圧を下げる降圧薬を使います。

また、血尿や尿蛋白が多くみられる場合は、ステロイド薬で糸球体の炎症を抑える治療を行います。また、必要に応じて免疫抑制薬や抗血小板薬を使う場合もあります。免疫抑制薬は、体内で過剰に生じている異常な免疫反応を抑える効果があるとされています。また、抗血小板薬は血液を固まりにくくする効果が期待できます。

手術

薬物療法の効果がみられない場合や、いったん治まった症状が再度現れるような場合には、扁桃摘出手術を行うことがあります。IgA腎症の発症に関わる異常なIgAは扁桃腺でつくられる可能性が指摘されているため、原因除去を目的に行います。

また、近年手術を行ったうえで、ステロイド薬による治療を組み合わせる併用療法の有用性が多数報告されるようになり、さまざまな病院で取り入れられるようになっているといわれています。

IgA腎症になったときに気を付けたいポイント

IgA腎症では、生活習慣を改善することも重要です。ただし、患者さんによって適切な食事や運動などは異なるため、自己判断せずに医師に確認しながら行うようにしましょう。

禁煙する

喫煙は腎不全や腎機能低下、蛋白尿に関連するということが報告されています。このことからも腎機能低下や尿蛋白の増加予防において、禁煙が推奨されています。過去の喫煙経験も腎不全のリスクとなる可能性がありますが、現在喫煙している場合に比べるとリスクが低く、禁煙によってその後の腎機能低下や尿蛋白の増加が抑えられる可能性があります。

また、喫煙本数や累積喫煙本数、期間によっても腎機能低下のリスクは変わるため、どうしても禁煙できない場合は、喫煙本数を減らすだけでも腎機能低下のリスクが軽減される可能性があると考えられています。

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塩分摂取を制限する

食塩の摂取量が多くなると、腎機能の低下や末期腎不全のリスクが高まるといわれています。このことからも塩分を制限することで、腎機能の低下が抑えられたり、尿蛋白が減少したりする効果が期待されます。

したがって、高血圧であったり腎機能が低下していたりする場合は、末期腎不全や心血管疾患、死亡のリスクを抑えるためにも、1日の食塩摂取量は3g以上~6g未満を目安とするとよいでしょう。また、場合によってはたんぱく質の制限や、肥満の解消に努めることも必要とされています。

運動は医師に相談してから行う

運動をすると一時的に尿蛋白が増加することがあります。ただし、中等度までの運動であれば、尿蛋白の増加や腎機能障害の進行のリスクはないとされています。さらに、腎臓の障害が3か月以上続く“慢性腎臓病(IgA腎症も慢性化すると慢性腎臓病となる)”の方が運動療法を行うと、腎臓の機能が改善するとされています。