希望するご予約を
お選びください

×閉じる
診療科目
2022.06.08
#腎臓内科 #対象外来

糖尿病性腎症とは?ステージごとの症状や進行を防ぐための治療法を解説

糖尿病と診断され、漠然とした不安を抱えていませんか。糖尿病性腎症は、合併症のなかでも注意が必要です。腎臓の機能が徐々に失われ、末期には人工透析が必要になる可能性があります。糖尿病性腎症の特徴は、初期段階では自覚症状が少ないため気づきにくいため、早期発見や進行を防ぐ予防対策が大切です。

この記事では、糖尿病性腎症のステージごとの症状や治療法を解説します。ご自身の体と向き合い、糖尿病性腎症の理解を深め、今後の日常生活に活かしていきましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、糖尿病性腎症の早期発見と進行予防に努めています。血糖・血圧管理を総合的に行い、一人ひとりの状態に合わせた治療と生活指導で腎機能を守るサポートをいたします。糖尿病性腎症が気になる方は、まずは一度ご相談ください。

▼【来院】のご予約はこちら▼

▼【オンライン診療】のご予約はこちら▼

記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医抗加齢医学会専門医日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士

糖尿病性腎症の基礎知識

腎臓は、濾過をすることで血液をきれいにする役割があります。糖尿病性腎症は、腎臓の濾過機能が低下する病気です。糖尿病性腎症の基礎知識を、3つ解説します。

  • 糖尿病性腎症が起こる原因
  • ステージごとの腎臓の状態(第1〜5期)
  • 診断・進行評価に重要な検査(尿アルブミン・eGFRなど)

糖尿病性腎症が起こる原因

糖尿病性腎症が起こる原因の一つは、高血糖です。高血糖の状態が長く続くと、腎臓の中にある細い血管が傷つきます。血管の傷が積み重なることで、腎臓の濾過機能が低下します。以下の要因が腎臓に影響を与える場合があります。

  • 腸内環境の乱れ
  • 高血圧
  • 生活習慣の乱れ(運動不足、喫煙、塩分の高い食事)
  • 遺伝的な要因

腸内環境が乱れると、体内で炎症を引き起こしやすくし、腎臓に影響を及ぼす報告があります。高血圧や日常生活の乱れは、腎臓に負担をかける可能性があります。家族に糖尿病の方がいる場合は、遺伝しやすいため注意が必要です。

研究では、高血糖が腎臓の細胞に負担をかけ、ミトコンドリアの働きが低下することが報告されています。PKM2という酵素の働きが変化し、細胞の老化や炎症が進みやすくなる可能性が、研究で示唆されています。

ステージごとの腎臓の状態(第1〜5期)

糖尿病性腎症の病気の進み具合を、ステージ(病期)で分類しています。ステージは全部で5段階に分けられ、特徴を以下の表にまとめました。

糖尿病性腎症はステージが進むにつれて腎機能は低下し、第5期には透析が必要になる場合があります。ステージごとの特徴を理解し、適切な時期に対策をすることが大切です。

診断・進行評価に重要な検査(尿アルブミン・eGFRなど)

糖尿病性腎症は初期に自覚症状が少ないため、定期的な検査が大切です。主に尿検査と血液検査の2つで、腎臓の状態を詳しく調べます。

尿検査では、尿アルブミンを測定します腎臓の濾過機能が傷つき始めると、血液中のアルブミンが、尿に漏れ出します。尿に含まれるアルブミンとクレアチニンの比率を調べ、腎臓のダメージを第3期で発見できる可能性があります。

血液検査では、血清クレアチニン値を測定し、eGFRの算出をします。eGFRは、腎臓の1分間の濾過機能を示した値です。数値が低いほど腎機能が低下している可能性が高く、腎臓病のステージや今後の治療経過に必要な指標となります。定期検査は腎臓の状態を把握し、健康に保つ対策になるため続けることが大切です。

以下の記事では、eGFRについて検査方法や基準値の見方、異常が見つかった場合の具体的な対処法を解説しています。
>>腎臓の働きを調べる指標「eGFR」とは?検査方法や異常が見つかった場合の対処法を解説

ステージごとの症状

糖尿病性腎症のステージごとの症状を解説します。

  • 第1期(腎症前期):自覚症状なし
  • 第2期(早期腎症期):検査で異常を認める
  • 第3期(顕性腎症期):むくみ・疲労感・蛋白尿
  • 第4期(腎不全期):全身浮腫・貧血
  • 第5期(透析療法期):透析が必要になる状態

第1期(腎症前期):自覚症状なし

糖尿病性腎症の第1期は、症状を自覚する方は少ないです。血圧や尿検査が正常になりやすく、異常が見つからない可能性があります。

血糖コントロールが不安定で、高血糖の状態が続くと、腎臓の細胞に負担がかかり糖尿病性腎症の進行リスクを高めます。自覚症状がなくても、糖尿病の治療を続け、血糖値を良い状態に保ち腎臓機能を守る取り組みをしましょう。

第2期(早期腎症期):検査で異常を認める

第2期に入っても、自覚症状を感じない方がいます。健康診断などで行う尿検査で異常が見つかりやすい段階です。第2期の特徴は、腎臓の濾過機能が低下したことを示す、微量アルブミン尿状態です。

アルブミンは蛋白質の一種で、体の水分バランスを整える役割があります。腎臓の濾過機能低下を示す微量アルブミン尿を早期発見できれば、病気の進行を防ぐことが目指せます

第3期(顕性腎症期):むくみ・疲労感・蛋白尿

第3期になると、自覚症状を感じる方が多くなります。尿蛋白の検出や、以下の症状が出現しやすいです。

  • むくみ(浮腫)
  • だるさや疲労感
  • 尿の泡立ち

血液中の蛋白質が大量に尿へ排出されると、血管内に水分を保つ力が弱まり、細胞に漏れ出します。足のすねや甲、朝起きたときにまぶたなどがむくみやすくなります。腎臓の働きが落ちると、体に老廃物や余分な水分が溜まり、体のだるさや倦怠感を感じやすいです。

尿に蛋白質が増えると、表面張力が変化し、尿の泡が、消えにくくなります。腎臓の組織が硬くなる線維化に影響するため、症状に気がついた時点で、受診を検討しましょう。

第4期(腎不全期):全身性浮腫・貧血

第4期は腎不全期と呼ばれ、第3期でみられた症状が悪化し、全身に不調が広がります。特徴的な症状は、全身のむくみや貧血、尿毒症の症状などです。

むくみは足や顔だけでなく、腕やお腹など全身に広がります。体に余分な水分が溜まり、体重が急に増えることもあります。腎臓は、赤血球の生成を促進するホルモンを出しているため、腎機能が落ちると貧血になる可能性があります。めまいや立ちくらみ、労作時の息切れなどの症状に注意しましょう。

体に尿毒素が溜まると尿毒症になる可能性があります。尿毒症には、以下の症状が現れやすくなります。

  • 食欲がなくなる
  • 吐き気がする
  • 皮膚がかゆい
  • 息からアンモニアの臭いがする

腎臓では細胞レベルの代謝異常がおこり、老廃物だけでなく、さまざまなバランスが崩れることが、多様な全身症状につながっているのです。

第5期(透析療法期):透析が必要になる状態

第5期は、腎臓の機能がほとんど失われた末期腎不全の状態です。自分の腎臓だけでは、老廃物や余分な水分を外に出せなくなります。老廃物や余分な水分を排泄できないと、透析療法や腎移植などの腎代替療法が検討されます。

透析治療は機械を使って血液をきれいにしたり(血液透析)、お腹の膜を利用して老廃物を取り除いたり(腹膜透析)する方法です。腎移植は健康な腎臓の提供を受けて、体に移植する手術です。第5期まで進行すると、尿がほとんど出なくなり、命に関わる合併症も起こりやすくなります。

進行を防ぐための治療法

糖尿病性腎症は、適切な治療を早期に取り組むことで、病気の進行を遅らせる効果が期待できます。治療の基本は、以下の3つです。

  • 血糖コントロール(薬物療法や生活習慣の改善)
  • 血圧の管理(腎臓を守る降圧治療)
  • 食事療法

血糖コントロール(薬物療法や生活習慣の改善)

糖尿病性腎症の進行を防ぐ基本治療は、血糖値の管理です。腎臓への負担を減らすために、血糖値を安定させます。血糖値をコントロールするために、薬物療法や生活習慣の改善が大切です。薬物療法は、飲み薬やインスリン注射を使って、血糖値を安定させます。主治医の指示に従い、体の状態に合わせた薬を使用します。

ウォーキングなどの適度な運動は、血糖値を下げるのに役立ちます。睡眠不足はインスリンの働きを弱めるため、十分な睡眠時間と規則正しい生活も大切です。強いストレスは、血糖値を上昇させるホルモンを分泌します。リラクゼーションや趣味の時間を作るなど、ストレス管理も意識しましょう。

血圧管理(腎臓を守る降圧治療)

高血圧は、腎臓に負担をかけるため血圧管理が大切です。高血圧の治療では、降圧薬を使って血圧を安定させます。降圧薬でよく使われるのは、ACE(エース)阻害薬とARB(エーアールビー)の2種類です。

降圧薬は血圧を下げるだけでなく、腎臓の血管を広げて負担を軽減する働きもあります。尿に漏れる蛋白質を減らすなど、腎臓を保護する効果が期待できます。薬の効果を引き出すためには、生活習慣の見直しも大切です。

  • 塩分を控える
  • 適度な運動を続ける
  • 体重管理をする
  • 禁煙する
  • お酒を飲みすぎない

塩分やアルコールの摂りすぎは、血圧を上昇させる原因の一つです。肥満は、心臓や腎臓に負担をかけるため、体重管理も大切です。喫煙は、全身の動脈硬化を進める要因につながりやすいため、禁煙をおすすめします。

食事療法

食事の内容を調整することで、腎臓の負担を軽減する効果が期待できます。食事療法は、病気のステージによって調整内容が変化します。主に調整が必要な栄養素は、以下のとおりです。

  • 塩分
  • 蛋白質
  • エネルギー
  • カリウム
  • リン

塩分は血圧上昇やむくみの原因となるため、減塩が食事療法の基本です。蛋白質は、体内で分解されると一部が老廃物になり、腎臓の負担になるため、調整が必要です。蛋白質を制限すると、エネルギー不足になる可能性があります。ご飯やパンなどからエネルギーを補い、極端な体重減少に注意が必要です。

腎機能が低下すると、カリウムやリンが心臓の負担になるため、制限する場合があります。食事療法は、毎日のことだからこそ、無理なく続けることが大切です。専門家と相談しながら、継続できる方法を見つけていきましょう。

近年では、腎臓病を「発症や進行を予防する」視点での食生活も注目されています。以下の記事では、慢性腎臓病(CKD)を予防する最新の食生活習慣について、わかりやすく解説しています。
>>慢性腎臓病(CKD)を予防できる最新の食生活習慣 ~減塩と植物性タンパク質の摂取について~

まとめ

糖尿病性腎症は、自覚症状が少ないまま進行することがある合併症です。早期に発見し、血糖コントロールや血圧管理、食事療法に取り組むことで、進行を遅らせることが期待できます。糖尿病性腎症のステージごとに、制限の程度が異なるため、医師の指示を守ることが大切です。

今の生活習慣を見直すことは、将来の透析リスクを減らす可能性があります。定期的な尿検査や採血で、自分の腎臓の状態を正しく知ることが大切です。自己判断せず、不安なことや気になることがあれば、主治医や専門家へ相談しましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では、尿アルブミンやeGFRを定期的に確認し、ステージに応じた治療と生活指導を行います。血糖・血圧管理を含めた総合的なサポートで、腎機能低下の予防を目指します。気になる場合は、そのままにせず一度医師にご相談ください。

▼【来院】のご予約はこちら▼

▼【オンライン診療】のご予約はこちら▼

関連記事

慢性腎臓病とは?症状や罹患時に気をつけたいポイントを解説
腎機能低下の予防に役立つ!3つの食事の基礎知識を解説
腎不全とは?原因や症状、治療法を医師が解説
糖尿病の診断基準とは? 糖尿病と糖尿病予備軍の診断基準の違いを解説
糖尿病の食事療法における栄養指導の内容とは?〜食事のポイントをご紹介〜

参考文献

•• LINEお問合わせ •• ご来院予約