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腎臓病と診断され、想像以上の食事制限に苦労される方が多いです。日本人の平均塩分摂取量は1日約10gですが、腎臓病では6g未満が目標とされています。食事制限により食べる楽しみがなくなる方も少なくありません。腎臓病の食事制限は、すべてを禁止するものではなく、腎臓の機能低下から守るため工夫することが大切です。
適切な栄養管理を行わないと、高リン血症や高カリウム血症により、将来的に心筋梗塞や骨折のリスクを高める可能性があります。この記事では、制限が必要な理由から外食やコンビニで役立つ対策を解説しています。今日から始められる工夫ポイントを理解し、食事を楽しめるようにしましょう。
腎臓病の食事管理は、塩分・たんぱく質・カリウム・リンのバランスを考えると、日々の食事の選択が楽になります。以下の記事では、腎臓病予防という切り口で、食生活や水分摂取のポイントをまとめて解説しています。
>>今日から始める腎臓病予防!食生活や水分摂取のポイントを解説
食事制限を「自己流」で続けるのがつらいときは、検査値(eGFR・カリウム・リンなど)や生活スタイルに合わせて、医師と一緒に“続けられる食事”に整えるのが近道です。
イーヘルスクリニック新宿院では腎臓内科の診療も行っており、通院での相談が可能です。ご希望の方は、下記よりご予約ください。
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記事監修:天野方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
経歴:埼玉医科大学卒業後、東京慈恵会医科大学付属病院や足利赤十字病院などで勤務。2016年、帝京大学大学院公衆衛生学研究科へ入学。2018年、ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)へ留学。予防医療特化のメディカルクリニックで勤務後、2022年「イーヘルスクリニック新宿院」開院。
専門分野:腎臓内科、抗加齢医学(アンチエイジング)、産業医学
資格:日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士・博士
腎臓病の食事で重要となる4つの栄養素について、制限が必要な理由を解説します。
腎臓病の方が塩分(ナトリウム)を摂りすぎると、高血圧や腎硬化症が悪化する可能性があります。体内に塩分(ナトリウム)が多くなると血液中の塩分濃度を薄めるために、水分を溜め込む働きが起こりやすくなります。その結果、体内の水分量が増え、血管を流れる血液の量も増加することで圧力が高まり、高血圧につながります。
高血圧の状態が続くと、腎臓内の糸球体は高い圧力にさらされます。その影響で、血管が傷つき硬くなることでフィルター機能が低下し、腎硬化症を発症する可能性があります。塩分の摂りすぎは、体のむくみや心臓への負担増加にもつながりやすいです。腎臓を守り、病気の進行を穏やかにするためには減塩が重要です。
腎臓病の方がカリウムを摂りすぎると、高カリウム血症を起こす可能性があります。健康な人の場合、食事から摂った余分なカリウムは、腎臓の濾過機能によって尿として体の外へ排泄されます。腎臓の濾過機能が低下すると、カリウムの排泄能力が低下し、血中濃度が高まりやすくなります。
高カリウム血症の初期症状はほとんどありません。自覚症状がほとんどないまま進行すると、以下の症状が現れる可能性があります。
心臓の動きはカリウムによって調整されています。血液中のカリウム濃度が高くなると、重篤な不整脈や心停止を引き起こす危険性があります。定期的な血液検査でカリウムの値を確認し、医師の指示のもとで摂取量を適切に管理することが大切です。
腎機能が低下するとリンの排泄が滞り、高リン血症となって体にさまざまな悪影響を及ぼします。血液中のリンが過剰に増えると、体はカルシウムとのバランスを取ろうとします。骨を溶かしてカルシウムを血液中に補給しようとするため、骨がもろくなり骨折しやすくなる可能性があります。
血液中に余ったリンは、カルシウムと結合して結晶化し、結晶が血管の壁に付着します。血管の弾力が失われ、血管石灰化や動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。
腎臓病の方がタンパク質を摂りすぎると、腎臓の濾過機能に負担がかかりやすくなるため注意が必要です。タンパク質は体で利用された後、尿素窒素などの老廃物に変わります。タンパク質を摂りすぎると老廃物を多く作る必要があるため、弱った腎臓に負担がかかります。
糖尿病性腎臓病では、腎臓の細胞がエネルギー不足の状態にあることが研究で報告されました。糖尿病などの影響でミトコンドリアが傷つくと機能不全や脂質の代謝異常が起こると考えられています。腎臓がエネルギー不足で弱っている状態で、濾過機能の負担を増大させる可能性があります。
病状や体の状態によって適切な量は異なるため、主治医や管理栄養士と相談し、自分に適した量を守ることが大切です。
腎臓病の食事療法では、どの食品に塩分・カリウム・リンが多く含まれているかを理解することが大切です。食品のカテゴリ別に、注意したいものを具体的に解説します。
腎臓病の食事療法で、最初に取り組むのが減塩です。塩分の摂りすぎは高血圧やむくみを引き起こし、腎臓に負担をかけます。加工食品やインスタント食品、外食メニューなどは保存性を高めたり、味を濃くしたりするために多くの塩分を含んでいます。塩分が多く、注意が必要な食品を以下の表にまとめました。
ラーメンやうどん、そばなどの汁を全部飲まずに残すだけでも、減塩効果が期待できます。コンビニの弁当や総菜を選ぶ際は、栄養成分表示の食塩相当量を確認する習慣をつけ、商品を選びましょう。
カリウムは水に溶けやすい性質を持っています。性質を調理工程で利用すれば、食べられる食品を増やすことができます。野菜やいも類は水にさらしたり、一度茹でてお湯を捨てる「茹でこぼし」をしたりするとカリウムの量を減らすことが可能です。カリウム制限を指示されている場合に注意したい食品は、以下のとおりです。
干し柿やプルーンなどのドライフルーツは、水分が抜けてカリウムが凝縮しているため注意が必要です。カリウム制限は血液検査の結果にもとづき、医師から制限の指示があった場合に実施します。自己判断で極端な制限をせずに、医師に確認をしてから取り組みましょう。
カリウム制限は、腎機能の状態によって“必要な人・不要な人”が分かれるため、自己流で一律に控えるのではなく、治療方針の中で整理しておくと安心です。以下の記事では、慢性腎臓病(CKD)の食事療法についても解説しています。
>>慢性腎臓病(CKD)の治療方法とは?早期発見から透析までのプロセスを解説
リンには有機リンと、無機リンの2種類があります。特に注意が必要なのは、体への吸収率が高い無機リンです。無機リンは食品添加物として加工食品に使用されるリンで、有機リン(食材に自然に含まれる)よりも体に吸収されやすい特徴があります。リンが含まれる食品は以下のとおりです。
加工食品を選ぶ際は、パッケージ裏面の原材料名表示を確認しましょう。「リン酸塩」表示があるものは、体に吸収されやすい無機リンが使われています。できるだけ避けるように心がけることが、リンの管理につながります。
食事だけでなく、飲み物にも注意が必要です。ジュースや一部のお茶には、カリウムやリン、糖分などが多く含まれている商品があります。医師から水分摂取量の制限を指示されている方は、1日に飲む全体の量の管理も大切です。腎臓病で注意したい飲み物は、以下のとおりです。
腎臓病の食事療法では、飲み物は基本的に水や麦茶、ほうじ茶などがおすすめです。病状によってはカフェインを控えるよう指示される場合があります。ご自身の状態に合わせた食事療法については、必ず主治医や管理栄養士に相談してください。
日常生活のシーン別に、無理なく食事療法を続けるための実践テクニックをご紹介します。
外食は、塩分やタンパク質、リンなどが多くなりがちです。メニューの選び方を意識することで、腎臓への負担を減らせます。避けるべき外食のメニューは主に以下があげられます。
外食でメニューを選ぶポイントは定食スタイルや焼いたり蒸したり、シンプルな調理法を選びましょう。タレやソースは別に添えることで、つける量をコントロールできます。外食でも工夫できることを取り入れて食事を楽しみましょう。
コンビニで商品を選ぶ際は、必ずパッケージ裏面の栄養成分表示を確認する習慣をつけましょう。コンビニで商品を選ぶときのおすすめ組合せと、避けるべき組合せは以下を参考にしてください。
加工食品にはリンが含まれやすいため、サンドイッチの具材を確認しましょう。栄養成分表示にリンやカリウムは表示されていない場合でも食塩相当量とたんぱく質を意識するだけで食事管理が変わります。
ご家族と自分だけ食事のメニューが違うと、調理の手間が増えたり、寂しさや孤立感を感じたりします。調理の途中で自分の分だけを取り分ける方法が手軽でおすすめです。煮物や汁物の取り分け調理の手順は以下のとおりです。
炒め物の場合は、塩・こしょうなどの下味はつけずに食材を炒めたあとに取り分けてください。ご自身の分は塩分を控えた味付けや香辛料を活用して、家族の分はフライパンで通常の味付けで仕上げます。取り分ける方法は調理の手間を最小限に抑えつつ、ご家族と食卓を囲む楽しみを維持しやすくなります。
腎臓病の食事管理は無理なく続ける必要があります。調理法を工夫して食べられる食品を増やしたり、食事制限によるストレスと上手に付き合ったりすることが大切です。
調理にひと手間を加えるだけで、制限が必要な栄養素を減らし、食べられる食品の幅を広げられます。腎臓病の食事管理で意識したい調理の工夫は、以下のとおりです。
カリウムは水に溶けやすい性質があるため、野菜やいも類は細かく切って水にさらしたり、茹でたりすることで減らせます。水や茹でた湯はカリウムが溶け出しているため、捨てましょう。
人間の味覚は塩味だけでなく、香りや他の味を組み合わせることで満足感を得られます。昆布やかつお節に含まれるうま味成分(グルタミン酸など)を活用することで、少ない塩分でも料理に深みを出すことができます。
生姜やにんにく、みょうがなどの香辛料や香味野菜は、豊かな香りで料理の風味を高め、薄味の物足りなさを補ってくれます。お酢や柑橘類の酸味は、料理の味を引き締める効果があります。焼き魚に醤油をかける代わりに、レモンを絞るのも良い方法です。
ストレスを一人で抱え込まず、上手に発散していくことが大切です。完璧を目指しすぎると継続が困難になります。ストレスは血圧を上げるなど、腎臓に負担をかける可能性もあります。
食事制限の中でも楽しむ工夫を見つけましょう。赤・黄・緑の食材を取り入れ食事の彩りを意識したり、お気に入りの器に盛り付けたりすると、普段の食事も特別なものに感じます。季節のイベントに合わせて、食べられる範囲で特別なメニューを楽しみましょう。
食事作りが負担に感じるときは、外部のサービスや専門家の力を借りましょう。腎臓病の方向けの宅配食サービス(栄養調整食)を活用する方法もあります。主治医や管理栄養士に食事の相談をして具体的なアドバイスをもらうのもひとつです。頑張りすぎずに休みながら、ご自身のペースで続けましょう。

腎臓病の方が食事療法を無理なく続けるためには、食事で注意すべき点を理解する必要があります。食事制限されている主な成分は以下の4つです。
食事制限があることで食べる楽しみがなくなると感じる方もいます。食事制限で大切なのは、調理法を工夫して食べられるようにする視点を持つことです。調理工程での取り分けをすることで、家族と同じメニューを楽しめます。
外食時は調理工程がシンプルなメニューを選択することや、汁を飲み干さないことで、塩分摂取を抑える効果が期待できます。食事療法は長く続くので完璧を目指しすぎず、ときには専門家の力を借りながら、ご自身のペースで取り組むことが大切です。
食事の内容は病状によって異なるため、自己判断はせず主治医や管理栄養士に相談してください。ご自身に適した方法を取り入れて、食事を楽しみましょう。
イーヘルスクリニック新宿院では、慢性腎臓病の早期発見から必要に応じた薬物療法まで、一人ひとりの状態に合わせた診療を行っています。腎機能の低下は自覚症状が少ないまま進行することも多いです。健康診断でeGFRやクレアチニンの異常を指摘された方、むくみ・だるさが気になる方は、早めの受診が大切です。
慢性腎臓病や食事管理に不安がある方は、まずは一度ご相談ください。
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