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コラム
2025.09.17

健康長寿の敵「慢性炎症」とは?100歳以上の高齢者に学ぶ食事と生活習慣

【医師の経験から】100歳以上の方々に学ぶ、健康長寿を実現する4つの生活習慣。鍵は「慢性炎症」にあり

イーヘルスクリニック新宿院の天野です。

私が大学院生だった頃、研究の一環として、100歳以上の高齢者(百寿者)を対象としたコホート研究をお手伝いする貴重な機会に恵まれました。彼ら彼女らの生活に触れる中で、私たちが目指すアンチエイジングや健康長寿のヒントは、実は非常にシンプルで、日々の暮らしの中にこそあるのだと実感しました。

100歳を超えてもなお、健やかに過ごす方々には、いくつかの共通する生活習慣が見られました。そして、その根底には「体内の炎症を低く保つ」という、現代医学で最も重要視されているコンセプトがありました。

今回は、その研究での経験から見えてきた健康長寿の秘訣と、その鍵となる「慢性炎症」について詳しく解説します。

100歳以上の高齢者から見えた「4つの共通点」

研究の中で見えてきた、百寿者に共通するキーワードは、驚くほど基本的なことばかりでした。その中でも特に重要な4つの習慣をご紹介します。

  1. 果物や野菜を中心とした食事
    彼らの食生活は、自然の恵みをふんだんに取り入れたものでした。特に色とりどりの果物や野菜をたくさん食べる習慣は、多くの人に共通していました。これらはビタミンやミネラルだけでなく、強力な抗酸化物質を豊富に含みます。
  2. 8時間以上の十分な睡眠
    心身の回復と修復に不可欠な睡眠を、非常に大切にしていることも特徴でした。「眠れる」ことは、それ自体が健康の証であり、長寿の基盤となっているようでした。
  3. 適正な体重(痩せすぎていない)
    長寿の方々は、肥満はもちろんのこと、「痩せすぎ」てもいませんでした。加齢とともに筋肉が減少し、虚弱(フレイル)になることを防ぐためには、ある程度の体重と筋肉量を維持することが非常に重要です。
  4. 社会との繋がりと役割
    家族や地域社会との交流を持ち、何かしらの「役割」を持っていることも、彼らの生き生きとした表情から感じ取れました。精神的な充実感や社会的な繋がりが、心身の健康に良い影響を与えていることは間違いありません。

健康長寿の最大の敵?「慢性炎症」とは

これら4つの習慣は、実はすべて、健康長寿の最大の敵とも言われる「慢性炎症」を抑えることに繋がっています。

ケガをした時に傷口が赤く腫れて痛むのは、体を守るための正常な反応である「急性炎症」です。これに対し「慢性炎症」は、自覚症状がないまま、体内で静かにジワジワと燃え続ける“くすぶり火”のような炎症です。

本来、炎症は体を守る「味方」ですが、現代のストレス、食生活、環境要因などによって、このシステムが過剰に働き続け、気づかぬうちに体を内側から傷つける「敵」となってしまうのです。
この慢性炎症は、糖尿病や動脈硬化(高血圧、心筋梗塞、脳卒中)、慢性腎臓病、がん、さらにはコロナ後遺症や慢性疲労など、実に多くの病気の根源に関わっていると考えられています。

食事でコントロールする慢性炎症

慢性炎症をコントロールする上で、最も重要なのが日々の「食事」です。知らず知らずのうちに、炎症の“火種”となるものを食べていないか、チェックしてみましょう。

慢性炎症を促進させる食事

  • 精製された炭水化物(白いパンやパスタ)
  • フライドポテトなどの揚げ物
  • 砂糖が豊富なジュース類
  • 赤肉や加工肉(ソーセージなど)
  • マーガリン、ショートニング

慢性炎症を改善する食事

  • トマト、緑の葉野菜
  • オリーブオイル
  • ナッツ類(アーモンド、くるみ)
  • 青魚(サバ、イワシ、マグロ)
  • 果物(リンゴ、ベリー類)
  • ブラックコーヒー

自然で精製されていない、いわゆる「地中海食」に近い食事が、慢性炎症を抑えることがわかります。このような食事は、体の健康だけでなく、ポジティブな感情を保ちやすくなるなど、メンタルの改善にも繋がる可能性が指摘されています。

まとめ:できることから始める、100年時代の健康戦略

100歳以上の高齢者の生活から学ぶべきは、特別な秘薬や治療法ではなく、日々の暮らしの中に根差した、ごく当たり前の習慣でした。

突然、すべての食習慣を変えるのは難しいかもしれません。しかし、まずは「食卓に一品、色の濃い野菜や果物を増やす」「揚げ物を週に一回減らしてみる」など、できることから少しずつ始めてみませんか。

食べ物を見直し、体調を整えていくことは、未来の健康への最も確実な投資です。もし、ご自身の食習慣をどのように見直せば良いか迷うという方は、一人ひとりの生活に合わせたアドバイスを行う、当院の栄養カウンセリングもお気軽にご利用ください。


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この記事の運営者:イーヘルスクリニック新宿院

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