
イーヘルスクリニック新宿院の天野です。
私が大学院生だった頃、研究の一環として、100歳以上の高齢者(百寿者)を対象としたコホート研究をお手伝いする貴重な機会に恵まれました。彼ら彼女らの生活に触れる中で、私たちが目指すアンチエイジングや健康長寿のヒントは、実は非常にシンプルで、日々の暮らしの中にこそあるのだと実感しました。
100歳を超えてもなお、健やかに過ごす方々には、いくつかの共通する生活習慣が見られました。そして、その根底には「体内の炎症を低く保つ」という、現代医学で最も重要視されているコンセプトがありました。
今回は、その研究での経験から見えてきた健康長寿の秘訣と、その鍵となる「慢性炎症」について詳しく解説します。
研究の中で見えてきた、百寿者に共通するキーワードは、驚くほど基本的なことばかりでした。その中でも特に重要な4つの習慣をご紹介します。
これら4つの習慣は、実はすべて、健康長寿の最大の敵とも言われる「慢性炎症」を抑えることに繋がっています。
ケガをした時に傷口が赤く腫れて痛むのは、体を守るための正常な反応である「急性炎症」です。これに対し「慢性炎症」は、自覚症状がないまま、体内で静かにジワジワと燃え続ける“くすぶり火”のような炎症です。
本来、炎症は体を守る「味方」ですが、現代のストレス、食生活、環境要因などによって、このシステムが過剰に働き続け、気づかぬうちに体を内側から傷つける「敵」となってしまうのです。
この慢性炎症は、糖尿病や動脈硬化(高血圧、心筋梗塞、脳卒中)、慢性腎臓病、がん、さらにはコロナ後遺症や慢性疲労など、実に多くの病気の根源に関わっていると考えられています。
慢性炎症をコントロールする上で、最も重要なのが日々の「食事」です。知らず知らずのうちに、炎症の“火種”となるものを食べていないか、チェックしてみましょう。
自然で精製されていない、いわゆる「地中海食」に近い食事が、慢性炎症を抑えることがわかります。このような食事は、体の健康だけでなく、ポジティブな感情を保ちやすくなるなど、メンタルの改善にも繋がる可能性が指摘されています。
100歳以上の高齢者の生活から学ぶべきは、特別な秘薬や治療法ではなく、日々の暮らしの中に根差した、ごく当たり前の習慣でした。
突然、すべての食習慣を変えるのは難しいかもしれません。しかし、まずは「食卓に一品、色の濃い野菜や果物を増やす」「揚げ物を週に一回減らしてみる」など、できることから少しずつ始めてみませんか。
食べ物を見直し、体調を整えていくことは、未来の健康への最も確実な投資です。もし、ご自身の食習慣をどのように見直せば良いか迷うという方は、一人ひとりの生活に合わせたアドバイスを行う、当院の栄養カウンセリングもお気軽にご利用ください。
この記事の運営者:イーヘルスクリニック新宿院