
健康で長生きするためには、食事が重要であることは誰もが知っています。しかし、最新のさまざまな研究から、単に食事の「内容」だけでなく、食事の「方法」そのものにも、健康寿命を延ばす秘訣が隠されていることがわかってきました。
そのキーワードは、不健康な老化の元凶ともいえる「慢性炎症」と「酸化ストレス」のコントロールです。
今回は、これらの最新研究から見えてきた、体の内側から若々しさを保つための5つの食事法を、今日から実践できる形でご紹介します。
まず注目したいのが、食事の「タイミング」です。間欠的ファスティングとは、長期間のつらい断食ではなく、「1日のうち食事をする時間を8時間に限定し、残りの16時間は何も食べない」といった、短期間で実現可能な断食を生活に取り入れる方法です。
このファスティングがなぜ体に良いのか?その鍵は「オートファジー」という、私たちの細胞が持つ素晴らしい機能にあります。
オートファジーとは、細胞内の古くなったり傷ついたりしたタンパク質を分解し、新しいものに作り替える「細胞内のリサイクル・大掃除システム」のようなものです。このシステムは、常に食べ物で満たされている状態では活発に働きません。空腹の時間を作ることで初めて、オートファジーのスイッチがオンになり、細胞レベルでの若返りが始まるのです。
この効果により、ファスティングにはダイエットや血糖値低下だけでなく、老化の根本原因である慢性炎症や酸化ストレスを改善する効果が期待されています。過食が問題となりがちな現代において、健康維持のための非常に強力な手段と言えるでしょう。
野菜や果物が体に良いことは常識ですが、その理由は、体内の“サビ”ともいえる活性酸素の働きを抑える「抗酸化物質」が豊富だからです。活性酸素は、動脈硬化やがん、さまざまな炎症の原因となります。
推奨される摂取量は、1日に野菜350g、果物200g。これを達成するコツは、食卓を「虹色」にすることです。赤(トマト)、緑(ほうれん草)、黄(パプリカ)、紫(なす)など、色とりどりの野菜や果物を揃えることで、自然と多様な抗酸化物質を摂取できます。
実際に、フランスの約6万人の女性を15年間追跡した研究では、抗酸化物質を多く摂取しているグループは、少ないグループに比べ、2型糖尿病のリスクが最大で27%も低下したことが報告されています。
パンやご飯といった主食を選ぶ際は、精製された「白い」ものから、未精製の「茶色い」全粒穀物に切り替えるのがおすすめです。
全粒穀物(玄米、全粒粉パン、オートミールなど)は、食物繊維が豊富なため、血糖値の上昇が緩やかです。これにより、肥満や糖尿病のリスクを下げることができます。主食を少し変えるだけで、健康への大きな投資となるのです。
タンパク質は筋肉や臓器を作る不可欠な栄養素ですが、何を食べるかが重要です。近年、赤身肉(牛肉、豚肉など)の摂取を控え、豆類やナッツなどの植物性タンパク質を増やすことで、糖尿病や心血管疾患のリスクが低下する可能性が示されています。
豆腐や納豆はもちろん、サラダにミックスビーンズやくるみを加えるなど、手軽に植物性タンパク質を増やす工夫をしてみましょう。
油を選ぶ際のシンプルなルールは、「自然な植物由来の液体油」を選ぶことです。オリーブオイルやキャノーラ油、大豆油などがこれにあたります。
一方で、マーガリンやショートニングなど、常温で固形の加工油脂には、動脈硬化のリスクを高める「トランス脂肪酸」が含まれていることが多いため、避けるべきです。「低脂肪」という言葉に惑わされず、良質な油を適量摂ることが大切です。
今回ご紹介した5つのポイントは、特別なことではありません。しかし、日々の食事で少しずつ意識することで、10年後、20年後のあなたの健康は大きく変わってきます。
当院には、管理栄養士が在籍し、皆様一人ひとりのライフスタイルに合わせた食生活のサポートを行っております。食事についてお悩みのことがありましたら、下記からお気軽にご相談ください。
この記事の運営者:イーヘルスクリニック新宿院