イーヘルスクリニック新宿院 院長の天野です。
認知機能の低下は、ご自身やご家族が気づかないうちから、ゆっくりと始まっています。かつて認知症は「仕方のない老化現象」と捉えられがちでしたが、現代医学では、適切な検査による早期発見と、食事などの生活習慣への介入によって、その進行を遅らせたり、リスクを低減させたりすることが可能になりつつあります。
2026年に発表された大規模な追跡調査(n=92,849)により、食事の内容が将来のアルツハイマー病および関連疾患(ADRD)にどのように影響するかが明らかになりました。
【背景と目的】
植物ベースの食事は認知機能低下の抑制に関連しているが、長期的な食事の変化や多様な集団におけるデータは限られていた。本研究では、植物ベースの食事パターンとその経時的変化がアルツハイマー病および関連認知症(ADRD)に及ぼす影響を調査した。
【方法】
ハワイとカリフォルニアの多民族コホート(アフリカ系、日系、ラテン系、ネイティブハワイアン、白人)92,849名を対象に、ベースライン時(1993-1996年)と10年後の追跡調査を実施。食事の質を「健康的な植物性食品(hPDI)」と「不健康な植物性食品(uPDI)」などで指数化し、認知症発症との関連を分析した。
【結果】
【結論】
質の低い植物性食品を控え、健康的な植物ベースの食事を採用することは、高齢になってから(60歳以降)であっても、認知症リスクの低下と関連している。
この研究の興味深い点は、単に「肉を減らして野菜を食べる」だけではなく、その「質」が重要であると示唆している点です。野菜や果物、全粒穀物などの「健康的な植物性食品」は脳を守りますが、植物由来であっても加工された糖質の高い食品などは、むしろリスクを高める可能性があります。
また、60歳を過ぎてからでも食事の質を改善した人にはリスク低下が認められたことは、多くの人にとって大きな希望となります。生活習慣の見直しに「遅すぎる」ということはありません。
食事の改善と並んで重要なのが、客観的な数値で現在のリスクを把握することです。イーヘルスクリニック新宿院では、簡単な採血だけで、「今」と「将来」のリスクを評価できる検査を導入しております。
認知症の一歩手前である「軽度認知障害(MCI)」の兆候を早期に発見するための検査です。アルツハイマー病の原因とされる「アミロイドβ」の蓄積を抑えるタンパク質の力を測定し、現在の脳の健康状態を評価します。
アルツハイマー病に深く関連する遺伝子(APOE ε4)の有無を調べます。これは一生に一度の検査で、ご自身が遺伝的にどの程度発症しやすい体質かを知り、生涯にわたる予防計画を立てるのに役立ちます。
リスクを知ることは、決して怖いことではありません。早く知ることで、食事や運動といった日常の選択を「脳を守る選択」に変えることができるからです。
当院では、検査結果に基づいた栄養指導や生活習慣のアドバイスも積極的に行っています。
認知機能の評価は「早すぎる」ということはありません。将来の自分と家族のために、一度チェックしてみませんか?
この記事の監修者
天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)
この記事の運営者:イーヘルスクリニック新宿院