イーヘルスクリニック新宿院の天野です。近年、エイジングケアの分野で大きな注目を集めている「NMN」。私自身も、日々の健康維持とパフォーマンス向上のために普段から愛用しているサプリメントの一つです。
「NMNが話題だけど、一体何に効くの?」「本当に安全なの?」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。この記事では、NMNの基本的な働きから、最新の科学的エビデンス(根拠)まで、医師の視点で詳しく解説していきます。
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、体内で「NAD+」という、生命活動に不可欠な物質に変換されるビタミンの一種です。
このNAD+は、細胞がエネルギーを作り出す(代謝)際や、傷ついたDNAを修復する際、さらには感染や遺伝子への毒性といった様々なストレスから体を守る際にも働く重要な補酵素ですが、残念ながら加齢とともに体内で減少していくことがわかっています。このNAD+の減少が、老化による様々な機能低下の根本的な一因と考えられています。
そこで、NMNをサプリメントとして補うことで、減少したNAD+を増やし、細胞レベルからのエイジングケアを目指すというのが、NMN療法の基本的な考え方です。
NMNは食べ物にも含まれている?
NMNは、ブロッコリーやアボカドなどの野菜、肉、牛乳などにも微量ながら含まれています。しかし、サプリメントで期待される量を食事だけで摂るのは非常に困難なため、効率的に補うにはサプリメントの活用が現実的です。
NMNの摂取によりNAD+レベルが向上すると、主に以下の働きを通じて、細胞の若返りが促されると考えられています。権威ある学術誌に掲載された総説論文でも、NMNが糖尿病、アルツハイマー病、血管の機能障害、炎症などに対して保護効果を持つ可能性がまとめられています。
これらの働きにより、肌のハリや弾力性の改善(皮膚の若返り)、筋肉機能の維持、記憶力の向上など、具体的なエイジングサインの改善に繋がることが期待されています。
最近、NMNの効果を科学的に検証した、信頼性の高い研究結果が報告されました。60名の高齢者を対象としたこの研究では、毎日250mgのNMNを12週間摂取したグループに、以下の3つの明確な改善が見られました。
また、この研究期間中、NMN摂取による重篤な副作用は報告されず、安全性の高さも確認されています。
NMNの研究は日々進んでおり、近年ではさらに具体的な健康効果を示す興味深いデータが報告されています。
2021年に中国の研究チームが発表したアマチュアランナーを対象とした研究では、NMNの摂取により「運動中の酸素摂取量(VO2)の増加」や「換気性作業閾値(VT)におけるパワーの向上」が確認されました。これは、NMNが持久力やスタミナを高める可能性があることを示唆しています。
NMNが人間において動脈硬化を改善させる可能性を示した論文も報告されています。動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気の根本原因です。研究によると、ベースラインのBMI(肥満度)や血糖値が平均よりも高かった人に限定すると、NMNを摂取したグループは偽薬のグループと比較して、動脈硬化の指標である「脈波伝播速度(baPWV)」が有意に改善していました。
男性の健康維持への効果も期待されています。糖尿病マウスにNMNを投与した研究では、精子数の減少および異常な精子の増加といった症状が「逆転(改善)」したことが確認されました。これは、男性の妊活や活力維持においてもNMNが役立つ可能性を示しています。
NMNの効果を実感するためには、品質と摂取方法が重要です。
加齢による変化に、科学的アプローチで立ち向かう。NMNで始める新しいエイジングケアを、あなたも体験してみませんか?
サプリメントについて医師に相談したい、より詳しい説明を受けたいという方は、下記より診察をご予約ください。
この記事の監修者
天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)
この記事の運営者:イーヘルスクリニック新宿院