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2022.08.31

ジスロマック

ジスロマックとは

ジスロマック(一般名:アジスロマイシン水和物)とは、“マクロライド系抗菌剤”と呼ばれる抗菌薬の仲間です。感染症を引き起こす細菌がタンパク質を作るはたらきを抑えることで細胞の増殖を阻止し、最終的に殺菌するはたらきがあります。ジスロマックには錠剤や点滴静注薬のほか、水に溶かして飲むドライシロップなどがあり、そのほかに小児向けに粉薬やカプセルなどもあります。

またジェネリック薬品として、アジスロマイシン錠などが販売されています。

ジスロマックが処方される病気

ジスロマックはブドウ球菌属やレンサ球菌属、肺炎球菌などさまざまな細菌によって生じた病気に対して処方されます。

錠剤が検討される病気

  • 深在性皮膚感染症(皮膚の深い部分に生じる感染症)
  • リンパ管・リンパ節炎
  • 咽頭(いんとう)喉頭炎(こうとうえん)
  • 扁桃炎
  • 急性気管支炎
  • 肺炎
  • 肺膿瘍(はいのうよう)(肺に膿がたまった状態)
  • 尿道炎
  • 子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)
  • 骨盤内炎症性疾患(子宮・卵管・卵巣などに生じる感染症)
  • 副鼻腔炎(ふくびくうえん)
  • 顎炎

点滴静注薬が検討される病気

  • 肺炎
  • 骨盤内炎症性疾患

ジスロマックの使用方法

ジスロマックは効果を示す細菌と、そうでない細菌があります。そのため数日間使用しても効果が現れない場合には、医師の判断で治療薬の変更が検討されることもあります。

ただし個人の判断で使用を中止してしまうと、薬に耐性を持った細菌による症状が現れる恐れもあるため、医師の指示に従って使用を継続するようにしましょう。

錠剤の場合

ジスロマックの錠剤は1日1回、コップ一杯の水やぬるま湯で飲むことが一般的です。用量は病気の種類などによっても異なり、一般的には成人の場合1日500mgを合計3日間継続して使用します。

ただし、尿道炎や子宮頸管炎の場合には1日1,000mg、骨盤内炎症性疾患の場合には点滴静注薬による治療を行った後、1日250mg程度の使用となることが一般的です。

点滴静注薬の場合

点滴静注薬の場合、医療機関で投与されます。成人の場合、1日1回500mgを2時間かけて点滴するのが一般的です。

ただし、使用量や使用回数は医師の判断によって異なる場合もあります。

ジスロマックの使用に注意が必要な人

以下のような方の場合、ジスロマックの使用を慎重に検討する必要があります。該当する可能性のある方は、事前に医師に伝えるようにしましょう。

  • ほかのマクロライド系・ケトライド系治療薬に過敏症を持っている方
  • 肝機能障害のある方
  • 心疾患のある方
  • 高齢の方
  • 妊婦、あるいは妊娠している可能性のある方
  • 授乳中の方
  • 小児(小児用薬剤を除く)

ジスロマックの使用ができない方

ジスロマックの成分に過敏症を持っている方は、ジスロマックの使用ができません。当てはまる方は、事前に医師に伝えておきましょう。

ジスロマックと飲み合わせの悪い薬や食品

飲み合わせの悪い薬

ジスロマックは飲み合わせの悪い薬もあります。現在何らかの治療薬を使用している場合には、必ず医師や薬剤師に使用している治療薬を伝えておきましょう。

  • 制酸剤(胃酸を中和して胸やけなどを改善する治療薬“水酸化マグネシウム”や、胃酸を中和して胃の粘膜を守る治療薬“水酸化アルミニウム”など)
  • ワルファリン(血液凝固阻止剤の1つ)
  • シクロスポリン(免疫抑制剤の1つ)
  • メシル酸ネルフィナビル(HIV感染症の治療薬)
  • ジゴキシン(脈を整える治療薬)
  • ベネトクラクス(白血病の治療などで用いられる抗悪性腫瘍剤(こうあくせいしゅようざい)
  • ほかのマクロライド系薬剤(気管支拡張剤の1つ“テオフィリン”や、催眠鎮静剤の1つ“ミダゾラム”、睡眠導入剤の1つ“トリアゾラム”など)

ジスロマックの使用中に注意したい症状

ジスロマックの使用中に起こり得る重大な症状

ジスロマックの使用中は、まれに以下のような重篤な症状が現れることもあります。このような症状が現れた場合、速やかに医療機関の受診を検討しましょう。

また、使用中は血液検査などの数値に変化が生じる場合があります。医師の指示に従い、定期的な経過観察を受けるようにしましょう。

ショック・アナフィラキシー症状

冷や汗が出る、意識を失う、蕁麻疹(じんましん)などの症状がみられます。

中毒性表皮壊死症(ちゅうどくせいひょうひえししょう)

関節の痛み、全身に赤い斑点や水ぶくれが生じることがあります。

スティーブンス・ジョンソン症候群

高熱・目の充血・口内炎・発疹(ほっしん)などが生じます。

急性汎発性発疹性膿疱症

高熱、皮膚が赤くなり、小さなできものが生じるなどの症状が現れます。

薬剤性過敏症症候群

体のだるさや首・(わき)の下などのリンパ節の腫れ、皮膚の発疹などが生じます。

肝炎

体のだるさ、白目や皮膚が黄色くなる、吐き気、食欲の低下などの症状が現れます。

肝機能障害

体のだるさ、白目や皮膚が黄色くなる、吐き気、かゆみ、尿が褐色になるなどの症状が現れます。

黄疸(おうだん)

白目や皮膚が黄色くなる、尿が褐色になるなどの症状が現れます。

肝不全

白目や皮膚が黄色くなり、手が羽ばたくように震えることがあります。

急性腎障害

体のだるさ、むくみ、疲れやすさ、意識の低下などの症状が現れます。

偽膜性胃腸炎

嘔吐やむかつき、腹痛、下痢、血便などの症状が現れます。

出血性大腸炎

強い腹痛や下痢、血便などの症状がみられることがあります。

間質性肺疾患

発熱や痰を伴わない咳、息苦しさなどが生じる場合があります。

好酸球性肺炎

発熱や痰のない咳、息切れなどがみられます。

心電図の異常

時に動悸が生じたり、気を失ったりすることがあります。

心室性頻脈

息切れや動悸、脈が早くなる、意識がなくなるなどの症状がみられます。

白血球減少・顆粒球減少

発熱や喉の痛みなどがみられます。

血小板減少

鼻血や歯肉からの出血、青あざができやすくなるなどの症状が現れます。

横紋筋融解症

体の力が抜け、手足のしびれやこわばりなどがみられることがあります。