リベルサス
健康寿命と食事とは、密接な関係を持っています。食事の「内容」も重要ですが、さまざまな研究によって食事の「方法」にも健康の秘訣が隠されていることが報告されています。
今回は、そんなさまざまな研究のなかからわかってきた、健康にメリットのある食事法をご紹介します。
ファスティングとは、断食のことです。長期間のつらい断食ではなく、短期間の実現可能な断食を繰り返すことを、間欠的なファスティングと呼びます。
ファスティングにはダイエットや血糖値を下げる以外に、不健康な老化の大本である慢性炎症や酸化ストレスの改善効果があります。過食傾向の強い現代人が増えるなか、個人的には健康を維持するために、ファスティングに対して大変期待しています。
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野菜や果物は不健康な老化の大本である、慢性炎症や酸化ストレスの改善効果があります。体内でさまざまな要因によって活性酸素が増えると、血管内皮に障害が起き、動脈硬化が進行しやすくなります。動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中、がん、炎症の原因になるため、極力活性酸素の生成を抑えられる生活を送ることが理想です。野菜や果物には、活性酸素の生成を抑制することのできる抗酸化物質が豊富に含まれています。抗酸化物質には、「抗酸化ビタミン」や「ポリフェノール」などの種類があります。じゅうぶんに効果を発揮するために推奨される量は、1日に野菜が350g、果物が200gです。
フランス人女性を対象とした「E3N-EPIC」というコホート研究もあります。これは6万4,223人の女性(平均年齢 52歳)を、1993年~2008年にかけて15年間追跡したものです。研究では、抗酸化物質を多く摂取しているグループでは、少なく摂取しているグループに比べ、2型糖尿病のリスクが最大で27%低下したことが明らかになりました。
主食は、なるべく全粒穀物を選ぶのがおすすめです。全粒穀物とは、精製していない全粒の小麦、大麦、雑穀、オーツ、玄米、或いはそれらから作られた全粒粉パスタ等のことです。全粒穀物は、精白した小麦を使ったパンや、白米その他の精製された穀物に比べて、血糖値が上がりにくく肥満になりにくいといわれています。肥満は健康に大きなリスクをもたらすものであるため、全粒穀物を選ぶことは健康に対して多くのベネフィットが期待できます。
近年、タンパク質の摂取量は低下傾向にあるため、タンパク質を意識的に摂取する必要があります。そのなかでも植物性タンパク質を多めに接種し、赤身肉(牛肉、豚肉など)の接種を控えることによって、糖尿病や心血管疾患の発症予防に繋がる可能性があることがわかっています。多めに摂ることが推奨される植物性タンパク質とは、豆やナッツなどのことを指しています。これらは野菜とも相性がよく、サラダに混ぜたりすると、素敵なおかずになります。
油を選ぶ際は、健康によい植物性油を選びましょう。植物性油には、オリーブ油、キャノーラ油、大豆油、コーン油、ひまわり油、ピーナッツ油などがあります。これに対して、マーガリン、ファットスプレッドやショートニングといった半硬化油(白っぽい固形の脂肪)には、体によくないトランス脂肪酸が含まれています。トランス脂肪酸はLDLコレステロールを増加させ、心臓や血管の疾患にかかるリスクを高めると言われているため、できるだけ避けるべき油脂です。「低脂肪」と書かれていると健康によさそうだと思いがちですが、それは間違いです。
ここまでに、健康のために気に掛けたい5つの食事のポイントをご紹介してきました。健康な心身を極力維持できるよう、日々、食べるものを選択してみてください。
当院では、管理栄養士が在籍し、皆様の食生活のサポートを行っております。
食事でお悩みのことがありましたら、下記からご相談ください。
著:医師 天野方一(eHealthclinic院長)
参考文献
Diabetologia. 2018 Feb;61(2):308-316.