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尿道炎とは、病原体が尿道口から侵入して尿道の粘膜に感染することで炎症が起こった状態のことです。女性は尿道だけに炎症が起こることはまれであるため、尿道炎といえば男性の病気を指すことが一般的です。このため、以下では男性の尿道炎について説明します。
尿道炎は主に性交渉をきっかけに発症するため、性感染症の1つとして考えられています。原因となる病原体のほとんどは細菌で、感染した細菌の種類によって以下の3つに分類されます。
クラミジア・トラコマティスという細菌が原因で発症します。日本でもっとも多い性感染症で、症状が軽いことが一般的です。排尿時に軽く痛みを感じたり、尿道がむずかゆくなったりするといった症状が現れます。
淋菌という細菌が原因で発症します。感染後ははっきりとした症状が現れるのが特徴で、尿道に熱っぽさを感じるところから始まり、尿道から黄色い膿などが出ることがあります。
大腸菌などの細菌、ウイルス、寄生虫などが原因で発症します。淋菌性と比べると症状が軽いことが多いですが、クラミジア性尿道炎との大きな差がなく鑑別が難しいといわれています。
尿道炎になると以下のような症状がみられることがあります。
など
尿道炎でみられる症状はありふれたものの1つですが、尿道炎を放置すると排尿がスムーズにできなくなる“尿道狭窄”になり、ひどくなると尿を出すことができなくなることもあります。また、性交渉をきっかけとして尿道炎を発症している場合は、治療を受けずにいるとパートナーにも感染させる可能性があるため、自分もパートナーも同時に早めの治療を受けることが必要とされています。たとえばクラミジアが原因の場合、女性に感染しても無症状であることが多いですが、進行すると不妊につながる恐れがあります。そのため、症状がないからといって安心せず、女性パートナーも検査を受けることが大切です。
このことからも、排尿時に気になる症状があれば、我慢せずに泌尿器科の受診や、かかりつけ医に相談することを検討するとよいでしょう。
尿道炎の治療は、性交パートナーと同時に行うことも大切です。さらに、治療後もクラミジアや淋菌などの病原体が消えているかを確認するための検査を受けることも必要となります。
細菌を殺す抗菌薬で治療を行うことが一般的です。ただし、クラミジアと淋菌では、有効な抗菌薬の種類が異なります。どの細菌が原因なのかを特定するには数日程度かかるため、結果が出る前は問診などで原因菌を予測して薬が選択されます。
クラミジアの場合は、抗菌薬を7日間内服することが一般的です。種類によっては、1回のみの服用で終わるものもあります。途中で服用をやめると再発することがあるため、症状がなくなっても処方された薬は最後まで飲むことが大切です。
また、淋菌の場合は服用するタイプの薬では効きにくいことが増えているため、強い殺菌力が期待できる薬を1回だけ注射する治療法がすすめられています。
このような抗菌薬による治りが悪い場合は、非淋菌性尿道炎が疑われます。その際には別の抗菌薬の内服が検討されることがあります。
尿道炎になった場合、性交渉がきっかけに発症していることが多いため、以下のようなことを心がけるとよいでしょう。
性交渉によってパートナーに感染させることがあるため、感染が分かったら性交渉を避けましょう。さらに、普段からコンドームを使用することが尿道炎の予防につながると考えられています。
自分が尿道炎になった場合、パートナーにも感染している可能性が考えられます。そのため、感染したことを早めにパートナーに伝えましょう。性感染症の場合はパートナー間でお互いに感染させてしまうことがあるため、同時に治療を行うことが大切だといわれています。どちらかの感染が分かったら、パートナーも早めに受診を検討するとよいでしょう。