希望するご予約を
お選びください

×閉じる
診療科目
2022.08.22

新型コロナウイルス感染症の後遺症で使われる漢方薬の特徴とは?~症状別に検討される漢方薬の種類と効果についてご紹介~

新型コロナウイルス感染症にかかると、約3人に1人は後遺症を経験するといわれています。後遺症では、病気の回復後も嗅覚・味覚障害や倦怠感、呼吸困難、記憶力の低下などのさまざまな症状が続くことがあるといわれています。このような症状についてはいまだ不明な点が多く、確立された治療法もありません。基本的には自然経過にて回復することが一般的ですが、必要に応じて症状に合わせた治療(対症療法)が行われることもあります。中でも本記事では、新型コロナウイルス感染症の後遺症で使われることがある漢方薬について解説します。

新型コロナウイルス感染症の後遺症での漢方薬の特徴

そもそも漢方薬とは天然の生薬(植物や動物、鉱物などの薬効がある部分)を何種類か組み合わせた薬のことをいいます。このため、作用や効果、作用する部位などが多方面にわたることが特徴です。また、効果が出るまでには時間がかかりますが、自然治癒力を高めてくれると考えられています。

このような漢方薬は新型コロナウイルス後遺症の特効薬になるとは言えませんが、原因が分かっていないさまざまな症状にも対応できるとされています。そのため、後遺症をはじめ新型コロナウイルス感染症に関連したさまざまな症状の改善に役立つ可能性があると考えられているのです。漢方薬の処方を希望する場合は、医師に相談してみるとよいでしょう。

以下では症状別に検討される漢方薬の種類と期待できる効果について解説します。

倦怠感(だるさ)があるときに検討される漢方薬

補中益気湯ほちゅうえっきとう

補中益気湯は、倦怠感や食欲不振、寝汗などの症状に効果が期待できます。体力があまりなくて疲れやすく、胃腸が弱い方に用いられることが一般的です。

十全大補湯じゅうせんたいほとう

十全大補湯は倦怠感や疲れ、貧血、食欲不振、手足の冷えなどのさまざまな症状を和らげる効果が期待できます。食欲がなく、体力低下や手足の冷えなどが気になる方に用いられることが一般的です。

不眠や不安があるときに検討される漢方薬

加味帰脾湯かみきひとう

加味帰脾湯は精神的不安や、神経症などの症状に効果が期待できます。体力があまりなく、血色があまりよくない方に用いられることが一般的です。

頭痛があるときに検討される漢方薬

葛根湯かっこんとう

葛根湯は、かぜの引きはじめや鼻かぜ、肩こりなどの症状に効果が期待できます。

比較的体力があり、頭痛や発熱、寒気、肩こりなどを伴う人に用いられることが一般的です。

脱毛があるときに検討される漢方薬

八味地黄丸はちみじおうがん

八味地黄丸は、脱毛のほか、腰や脚の痛み、泌尿器または生殖器の機能低下などの症状に効果が期待できます。疲労や倦怠感が著しく、尿の不調、口の渇きなどを伴う人に用いられることが一般的です。

咳や息切れなどの呼吸器症状があるときに検討される漢方薬

人参養栄湯にんじんえいようとう

人参養栄湯は体力が落ちている人の全身状態の改善に効果が期待できます。また、咳などの呼吸器症状の改善にも使用されることがあります。

漢方薬の服用方法

漢方薬の服用は食前か食間であることが一般的です。

食前とは、食事をする30分前のことを指し、食間は食事をしてから2~3時間後のことを指します。しかし種類によって服用法は異なるため、服用前に医師や薬剤師から十分に説明を受け、用法・用量の記載を確かめて服用するようにしましょう。

漢方薬の注意点

漢方薬は副作用が出ないと考える方もいますが、副作用が出る可能性もあります。問題になることは少ないですが、発疹(ほっしん)やかゆみ、発熱など気になる症状が現れた場合は使用を中止して医師に相談するようにしましょう。

また、漢方薬を使用するにあたり、高齢者や妊産婦などの注意が必要な人もいるため、気になることがある人は事前に確認するとよいでしょう。

漢方薬の処方を希望する場合は医師に相談を

新型コロナウイルス感染症の後遺症では、必要に応じて漢方薬の処方が検討されることがあります。また、新型コロナウイルス感染症における漢方薬の使用用途は後遺症だけではなく、感染予防や感染初期の段階から使用を検討することもあります。

たとえば、感染予防には補中益気湯、感染初期には葛根湯、小柴胡湯加桔梗石膏などが用いられる場合があります。後遺症はもちろん、新型コロナウイルス感染症に関連する治療などで漢方薬を希望する場合は医師への相談を検討しましょう。