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2023.06.25
#泌尿器科 #対象外来

男性更年期障害(検査、治療)

男性更年期障害とは

男性更年期障害(LOH症候群)とは、男性ホルモンの低下に伴い心身に不調が起こる病気のことをいいます。更年期障害と聞くと“女性の病気”というイメージを持つ方も多いかと思いますが、男性にもみられる病気です。症状には個人差がありますが、性欲の低下やだるさ、筋肉や関節の痛み、筋力低下、不眠、無気力などがあります。このような症状を改善するには、原因を知って対処することが大切です。

男性ホルモンはストレスや睡眠不足といった生活習慣に影響を受けたり、中年以降は加齢とともに緩やかに減少したりすることが一般的です。そのため、男性更年期障害は40歳代以降どの年代でも起こることがあり、期間も終わりがないのが特徴です。一方で女性の更年期障害は閉経の前後5年程の間に起こり、症状は閉経後5年ほどで落ち着くという違いがあります。

「男性更年期障害の原因について」詳細はこちら

 

イーヘルスクリニック新宿院 のの3つのメリット

① 平日20時まで、土日祝も診療
② オンライン診療対応で、すぐに薬が受け取れる
③ 管理栄養士による食事指導も実施

 

男性更年期障害の症状

主な症状

以下の症状が生じた場合にも、早めに医師に相談することが必要です。

  • 突然のほてりや発汗の持続
  • 関節痛や筋肉痛
  • 疲れやすさ
  • 肥満、メタボリックシンドローム
  • 頻尿
  • イライラ
  • 不安、パニック、うつ
  • 興味や意欲の喪失
  • 集中力や記憶力の低下
  • 不眠
  • ED(勃起不全)
  • 性欲の低下

これらの症状が生じた場合は、慢性的な問題を引き起こす可能性もありますので、早めに治療を開始することが大切です。

男性更年期障害(LOH症候群)のセルフチェック

以下のセルフチェック表でご自身の状態を振り返ってみましょう。
下記項目のうち、1と7に当てはまる方、あるいは3つ以上の項目に当てはまる方は男性更年期障害の可能性が考えられます。

  1. 性欲が低下した
  2. 以前よりも元気がない
  3. 体力の低下を感じる
  4. 身長が縮んできた
  5. 楽しいと感じる時間が少ない
  6. 悲しい気持ちになりやすく、怒りっぽい
  7. 勃起力の低下を感じる
  8. 運動能力が落ちている
  9. 夕食後、眠くなってうたた寝をしてしまう
  10. さまざまな作業を行う能力に低下を感じる

男性更年期障害(LOH症候群)のセルフチェック詳細はこちら

受診の目安

下記の症状が生じた場合は、早めに医師に相談することが必要です。

  • 睡眠障害
  • 記憶力の低下
  • 性機能低下
  • 精神的な不安や抑うつ
  • 関節痛や筋肉の痛み
  • 体重増加や代謝の低下

これらの症状が生じた場合は、慢性的な問題を引き起こす可能性もありますので、早めに治療を開始することが大切です。

EDの症状がある場合、年齢やストレスなどのせいにしてあきらめてしまう人もいます。しかし、勃起のメカニズムは血管の機能とも大きな関係があり、EDになっているということは、動脈硬化や、動脈硬化と関連する病気(高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病)が生じている可能性も考えられます。

さらに、男性ホルモンが少ないと、前項で解説したような症状のほか、認知症といった認知機能の低下、糖尿病、骨粗しょう症、心血管疾患、筋肉の減少といった病気のリスクも高まります。つまり、男性ホルモンは健康維持のために重要なものだといえるのです。

また、定期的に健康診断を受けるなどの心がけも大事です。男性更年期障害に関わる数値としては、テストステロン値、遊離テストステロン値などが挙げられます。いずれも血液検査で調べることができ、テストステロン値が300ng/ml以下または遊離テストステロン値が8.5pg/ml以下の場合は男性更年期障害の可能性があります。ただし、男性更年期障害は医学的に明確な定義があるわけではないため、症状なども総合的に見る必要があります。

 

男性更年期障害(LOH症候群)セルフチェックの詳細はこちら

男性更年期障害の治療のポイント

男性ホルモン値がそこまで低くなく、症状も軽い場合は、まずは生活習慣の改善を行うことが大事です。ストレスや睡眠不足は男性ホルモンの減少につながることがあるため、十分な睡眠を取り、ストレスをためないようにしましょう。ストレス解消のために、趣味などを見つけるのもおすすめです。そのほか、栄養バランスの取れた食生活、適度な運動、太陽光を浴びるなどの行動もよいとされています。

生活習慣を改めても症状が改善されない場合は薬物療法を行うことがあります。また、男性ホルモン値が低く、症状も重い場合は男性ホルモン補充療法を検討することがあります。詳細は以下のとおりです。

薬物療法

漢方とは、人間が本来持っている自然治癒力を高め、根本からの体質改善に重点に置いた伝統医学のことです。本来なら男性ホルモン補充療法が検討されますが、副作用などの観点から必要に応じて漢方薬が選ばれる場合もあります。

漢方薬での治療は効果が現れるまでに数ヶ月と長期的に服用する必要があるといわれていますが、副作用が少ないということが特徴です。また、原因が特定できない病気でも対応可能なため、更年期障害の場合には効果的な側面もあります。

処方される漢方薬の例

  • 補中益気湯
  • 桂枝茯苓丸
  • 牛車腎気丸
  • 当帰芍薬散
  • 加味逍遙散

また、個別の症状に対して薬を使うこともあります。たとえば、性機能が低下している場合はED治療薬、うつや不安症状がある場合は抗うつ薬や抗不安薬、骨密度低下などがあれば骨粗しょう症治療薬を使うなどの方法が挙げられます。保険適応外ではありますが、プラセンタ注射を行う場合もあります。エネルギー増強や性機能向上、睡眠改善、精神的な安定などの改善効果が期待されています。

男性ホルモン補充療法

男性ホルモン値が低く、症状も重い場合は男性ホルモン補充療法が検討されることがあります。保険適用内で治療する場合は、男性ホルモン(テストステロン)を2~4週間おきに筋肉注射します。症状が改善されるまで行うことが一般的です。また、自費診療でグローミン 4,158円(1本/2週間分・1日1回睾丸に塗布)で処方を行っております。

*テストステロン注射は供給の不安定により、現在中止しています。

 

男性ホルモン補充療法の適応

  • LOH症状を有し、フリーテストステロン低値(<8.5pg/ml)の40歳以上

除外

  • PSA>2.0
  • 中程度以上の前立腺肥大症
  • 乳がん
  • 多血症
  • 重度の肝機能、腎機能障害
  • 重度の高血圧
  • 睡眠時無呼吸症候など

食事療法

テストステロン値は、食事を含む様々な要因に影響されていると考えられています。今回は、テストステロン値を改善するために効果的な食事内容についてご紹介します。

  1.  高タンパク質の食事
    高タンパク質の食事は、テストステロン値の上昇につながると考えられています。肉、魚、卵、乳製品などのタンパク源を取ると良いでしょう。
    *植物性タンパク質について
    植物性タンパク質は、テストステロン値を上げたい人のなかでも、特にベジタリアンやビーガンにとって貴重な栄養素です。ただし、植物性タンパク質には一般的に、筋タンパク質の合成やテストステロンの生成を促進する重要なアミノ酸「ロイシン」の含有量が少なくなっています。したがって、ロイシンなど、筋肉の成長とテストステロン生成に必要な必須アミノ酸を十分に摂取するためには、植物性タンパク質を大量に摂取するか、ロイシンを特に多く補給できるよう気をつける必要があるでしょう。ロイシンを多く含む植物性タンパク源には、大豆と大豆製品、エンドウ豆、キヌア、チアシード、パンプキンシードなどがあります。またテストステロン値を上げるために役立つ植物性の食品は、上記の他に、亜鉛・マグネシウム・ビタミンDを多く含む豆類、ナッツ類、全粒粉、濃い葉野菜、栄養強化植物性ミルクなどです。
    植物性タンパク質はおおむね、食生活においてテストステロンの生成を促す有用な要素となり得ますが、植物性タンパク源も含めて様々な食材を摂取し、ロイシンとその他の必須アミノ酸を十分に補給することが重要です。
  2. 良質な脂質
    テストステロンの生成において、良質な脂質は重要な役割を果たします。オリーブオイル、アボカド、ナッツ類、高脂肪の魚など、良質な脂質を多く含む食品は効果的です。
  3. ビタミンD
    ビタミンDもまた、テストステロンの生成に重要な役割を果たしています。ここでは、ビタミンDを多く含む食品をいくつかご紹介します。
    高脂肪の魚:調理したサケ1切れ(3オンス)には、1日の推奨摂取量を上回る約450国際単位(IU)のビタミンDが含まれています。
    卵黄:卵の黄身は、ビタミンDを自然に含む数少ない食品のひとつです。大きな卵1個に約40IUのビタミンDが含まれています。
    キノコ類:ポートベローマッシュルームなど、一部のキノコ類にはビタミンDが含まれています。ビタミンDが含まれているかどうかや、含まれる量は、キノコの種類や栽培方法によって異なります。
    食品に含まれるビタミンDの量は、生産方法、下ごしらえ、調理方法などの要因によって変わります。食事からの摂取量が十分でない場合は、サポートとしてビタミンDのサプリメントを併用するのがおすすめです。さらに全般的な健康を維持するため、さまざまな食品を含むバランスのとれた健康的な食生活を維持することが重要です。
  4. 亜鉛亜鉛はテストステロンの生成に不可欠なミネラルです。牡蠣、赤肉、鶏肉、豆類など、亜鉛を多く含む食品を食事に取り入れるとよいでしょう。
  5. 炭水化物
    炭水化物は、エネルギーの確保だけでなく、テストステロンの値を維持するためにも重要な栄養です。全粒粉、果物、野菜などの複合炭水化物を取り入れると効果的です。ただし、高脂肪食や高糖分食といった種類の過剰摂取はテストステロンレベルに悪影響を及ぼす可能性があることに気をつけなければなりません。テストステロン値を最適化するためには、バランスのとれた健康的な食生活を維持することが重要です。

肥満との関係性

肥満は、男性のテストステロン値に悪影響を及ぼす可能性があります。
脂肪組織(ファット)には、芳香化と呼ばれるプロセスによって、テストステロンをエストロゲンの一種であるエストラジオールに変換する可能性が指摘されています。つまり体脂肪が多いと、より多くのテストステロンがエストロゲンに変換されるため、テストステロンレベルが低下する可能性があるということです。
さらに、肥満はインスリン抵抗性と炎症を引き起こします。こうした現象もテストステロンレベルの低下の一因となる可能性があるでしょう。インスリン抵抗性は、体内でブドウ糖をエネルギーとして利用する能力を乱し、テストステロンの生成を損なう可能性があります。一方、炎症にはホルモン生成を妨げることによって、体内の酸化ストレスを増加させる可能性があるのです。
肥満の男性では、テストステロン値の低下から筋肉量の減少、骨密度の低下、2型糖尿病のリスク増加、性欲の減退など、多くの健康問題が引き起こされる可能性があります。

一方、肥満の男性のテストステロン値は、食事と運動を組み合わせて減量することで改善されることが分かっています。ある研究では、肥満の男性が10%減量することで、テストステロン値が15%上昇したことが分かっています。したがって、減量はテストステロン値上げ、全体的な健康を改善する効果的な方法となることがわかります。

男性更年期障害の治療の詳細はこちら

 

イーヘルスクリニック新宿院では

イーヘルスクリニック新宿院では、本人の生活スタイルなどに合わせたよりよい治療法を提案します。医師はもちろん、看護師や管理栄養士などがチームになって男性更年期障害の改善をサポートします。ぜひご相談ください。

 

記事監修:天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

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