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男性更年期障害(LOH症候群)とは、男性ホルモンの低下に伴い心身に不調が起こる病気のことをいいます。更年期障害と聞くと“女性の病気”というイメージを持つ方も多いかと思いますが、男性にもみられる病気です。症状には個人差がありますが、性欲の低下やだるさ、筋肉や関節の痛み、筋力低下、不眠、無気力などがあります。このような症状を改善するには、原因を知って対処することが大切です。
男性ホルモンはストレスや睡眠不足といった生活習慣に影響を受けたり、中年以降は加齢とともに緩やかに減少したりすることが一般的です。そのため、男性更年期障害は40歳代以降どの年代でも起こることがあり、期間も終わりがないのが特徴です。一方で女性の更年期障害は閉経の前後5年程の間に起こり、症状は閉経後5年ほどで落ち着くという違いがあります。
① 平日20時まで、土日祝も診療
② オンライン診療対応で、すぐに薬が受け取れる
③ 管理栄養士による食事指導も実施
以下の症状が生じた場合にも、早めに医師に相談することが必要です。
これらの症状が生じた場合は、慢性的な問題を引き起こす可能性もありますので、早めに治療を開始することが大切です。
以下のセルフチェック表でご自身の状態を振り返ってみましょう。
下記項目のうち、1と7に当てはまる方、あるいは3つ以上の項目に当てはまる方は男性更年期障害の可能性が考えられます。
下記の症状が生じた場合は、早めに医師に相談することが必要です。
これらの症状が生じた場合は、慢性的な問題を引き起こす可能性もありますので、早めに治療を開始することが大切です。
EDの症状がある場合、年齢やストレスなどのせいにしてあきらめてしまう人もいます。しかし、勃起のメカニズムは血管の機能とも大きな関係があり、EDになっているということは、動脈硬化や、動脈硬化と関連する病気(高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病)が生じている可能性も考えられます。
さらに、男性ホルモンが少ないと、前項で解説したような症状のほか、認知症といった認知機能の低下、糖尿病、骨粗しょう症、心血管疾患、筋肉の減少といった病気のリスクも高まります。つまり、男性ホルモンは健康維持のために重要なものだといえるのです。
また、定期的に健康診断を受けるなどの心がけも大事です。男性更年期障害に関わる数値としては、テストステロン値、遊離テストステロン値などが挙げられます。いずれも血液検査で調べることができ、テストステロン値が300ng/ml以下または遊離テストステロン値が8.5pg/ml以下の場合は男性更年期障害の可能性があります。ただし、男性更年期障害は医学的に明確な定義があるわけではないため、症状なども総合的に見る必要があります。
男性ホルモン値がそこまで低くなく、症状も軽い場合は、まずは生活習慣の改善を行うことが大事です。ストレスや睡眠不足は男性ホルモンの減少につながることがあるため、十分な睡眠を取り、ストレスをためないようにしましょう。ストレス解消のために、趣味などを見つけるのもおすすめです。そのほか、栄養バランスの取れた食生活、適度な運動、太陽光を浴びるなどの行動もよいとされています。
生活習慣を改めても症状が改善されない場合は薬物療法を行うことがあります。また、男性ホルモン値が低く、症状も重い場合は男性ホルモン補充療法を検討することがあります。詳細は以下のとおりです。
漢方とは、人間が本来持っている自然治癒力を高め、根本からの体質改善に重点に置いた伝統医学のことです。本来なら男性ホルモン補充療法が検討されますが、副作用などの観点から必要に応じて漢方薬が選ばれる場合もあります。
漢方薬での治療は効果が現れるまでに数ヶ月と長期的に服用する必要があるといわれていますが、副作用が少ないということが特徴です。また、原因が特定できない病気でも対応可能なため、更年期障害の場合には効果的な側面もあります。
処方される漢方薬の例
また、個別の症状に対して薬を使うこともあります。たとえば、性機能が低下している場合はED治療薬、うつや不安症状がある場合は抗うつ薬や抗不安薬、骨密度低下などがあれば骨粗しょう症治療薬を使うなどの方法が挙げられます。保険適応外ではありますが、プラセンタ注射を行う場合もあります。エネルギー増強や性機能向上、睡眠改善、精神的な安定などの改善効果が期待されています。
男性ホルモン値が低く、症状も重い場合は男性ホルモン補充療法が検討されることがあります。保険適用内で治療する場合は、男性ホルモン(テストステロン)を2~4週間おきに筋肉注射します。症状が改善されるまで行うことが一般的です。また、自費診療でグローミン 4,158円(1本/2週間分・1日1回睾丸に塗布)で処方を行っております。
男性ホルモン補充療法の適応
除外
テストステロン値は、食事を含む様々な要因に影響されていると考えられています。今回は、テストステロン値を改善するために効果的な食事内容についてご紹介します。
肥満は、男性のテストステロン値に悪影響を及ぼす可能性があります。
脂肪組織(ファット)には、芳香化と呼ばれるプロセスによって、テストステロンをエストロゲンの一種であるエストラジオールに変換する可能性が指摘されています。つまり体脂肪が多いと、より多くのテストステロンがエストロゲンに変換されるため、テストステロンレベルが低下する可能性があるということです。
さらに、肥満はインスリン抵抗性と炎症を引き起こします。こうした現象もテストステロンレベルの低下の一因となる可能性があるでしょう。インスリン抵抗性は、体内でブドウ糖をエネルギーとして利用する能力を乱し、テストステロンの生成を損なう可能性があります。一方、炎症にはホルモン生成を妨げることによって、体内の酸化ストレスを増加させる可能性があるのです。
肥満の男性では、テストステロン値の低下から筋肉量の減少、骨密度の低下、2型糖尿病のリスク増加、性欲の減退など、多くの健康問題が引き起こされる可能性があります。
一方、肥満の男性のテストステロン値は、食事と運動を組み合わせて減量することで改善されることが分かっています。ある研究では、肥満の男性が10%減量することで、テストステロン値が15%上昇したことが分かっています。したがって、減量はテストステロン値上げ、全体的な健康を改善する効果的な方法となることがわかります。
イーヘルスクリニック新宿院では、本人の生活スタイルなどに合わせたよりよい治療法を提案します。医師はもちろん、看護師や管理栄養士などがチームになって男性更年期障害の改善をサポートします。ぜひご相談ください。
記事監修:天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。