リベルサス
糖尿病とは、血糖値をコントロールする“インスリン”というホルモンが不足したり作用が低下したりすることで、血糖値の上昇が抑えづらくなり、高血糖が続く病気です。糖尿病患者さんが新型コロナウイルス感染症にかかると重症化しやすいといわれています。
この記事では、糖尿病患者さんが新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)にかかった際の重症化予防のためのセルフケアや、コロナ禍における注意点などについて詳しく解説します。
糖尿病を発症していると、新型コロナウイルスをはじめ、さまざまな感染症の重症化リスクが高まるとされています。新型コロナにおいては、死亡率・重症化率ともに高く、酸素治療が必要となる患者さんも多いというデータが報告されています。
2021年に日本糖尿病学会が発表した『糖尿病と新型コロナウイルス感染症に関するQ&A(第2版)』によれば、33つの研究結果から糖尿病患者はそうでない方に比べて新型コロナウイルスの死亡リスクや重症化リスクがおよそ2倍上昇すると考えられています。
また日本で行われたほかの研究*では、糖尿病の非保有者が新型コロナで亡くなる確率は0.65%ですが、糖尿病保有者が新型コロナで亡くなる確率は4.76%であったと報告されています。年齢別に見ると、糖尿病の非保有者/保有者における致死率は、65歳以上で5.47%/8.15%、50~64歳で0.29%/1.16%、40~49歳で0.07%/0.65%という結果が出ています。
この理由は、高血糖の状態が続くと免疫力が低下するためだといわれています。さらに、感染症にかかると血糖値の変動や合併症が生じ、治療が難しくなることもあります。
また、血糖コントロール(血糖値を適切な数値に維持すること)がきちんとできていない場合は、特に感染症が重症化しやすいとされています。逆に血糖値を適切に管理できていれば、重症化リスクの低下が期待できるともいえます。
*新型コロナウイルス感染陽性者の重症化リスク因子への対応等,厚生労働省
糖尿病と新型コロナウイルスの感染リスクの関係はまだ明らかになっていません。前述の『糖尿病と新型コロナウイルス感染症に関するQ&A(第2版)』によれば、今のところこれまでの世界各国や日本におけるデータからは、“糖尿病によって感染リスクが高まるとは言い切れない”と結論付けられています。
糖尿病患者でなくても、新型コロナウイルスに感染した際に血糖値が高くなることがあります。さらに、新型コロナによって新たに糖尿病を発症する可能性も示唆されていますが、具体的なことは現時点では分かっていません。
また、新型コロナの治療薬によって血糖値が上昇することもあるといわれています。
血糖値のコントロールができていれば、新型コロナの重症化のリスクが低下する可能性があります。そのため、食事療法や運動療法で血糖コントロールに努めるとよいでしょう。
食事は、適正なエネルギー量と、バランスよく規則正しい食生活を心がけることがポイントです。体重を毎日測り、増加傾向のときは食事の量を見直すようにしましょう。
運動は、有酸素運動や筋力トレーニングを行うとよいとされています。感染対策のために人混みを避けて自宅でストレッチをするなど、工夫しながら体を動かしましょう。
また、場合によっては血糖コントロールのために薬物療法が必要となることもあります。定期的にかかりつけ医を受診し、血糖値や体の状態を確認、把握したり、必要に応じて薬物療法を受けたりできる状態にしておきましょう。
糖尿病であっても、新型コロナに対する予防法は一般の人と同じです。手洗いや手指の消毒、マスクの着用、3密の回避などを心がけましょう。ワクチンの効果も大きく期待できるとされています。
一方、感染対策のうえでは不要不急の外出を避けることが必要ですが、必要以上に外出を自粛すると運動不足を招いて食習慣の変化につながることがあるため注意しましょう。また、受診を控えることで糖尿病の病状悪化につながることがあるため、医師の指示のもと、適切な間隔で通院するとよいでしょう。
糖尿病の人が感染症などにかかり、その症状によって食事が取れない状態を“シックデイ”といいます。シックデイでは、血糖値が著しく上昇することがあるため注意が必要です。
対策としては、脱水予防のために水分を十分に取る、食欲がない場合もできるだけ炭水化物を取る、糖尿病の治療薬やインスリン注射を自己判断でやめないといったことを心がけましょう。
糖尿病患者は、新型コロナウイルスに感染したときの重症化リスクが高いため、日ごろから感染予防、血糖コントロールを心がけるとよいでしょう。また、感染した際は重症化を防ぐために早期診断・治療が大事です。そのため、発熱や咳、息苦しさなどの症状がある場合は、早めにかかりつけ医に連絡し指示を仰ぎましょう。
eHealth clinicでは、糖尿病や新型コロナの診療を行っています。本人の生活スタイルなどに合わせたよりよい治療法を提案できるよう、医師はもちろん、看護師や管理栄養士などがチームになって高血圧の改善をサポートします。ご不安なことがあればお気軽にご相談ください。