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細菌性胃腸炎とは、細菌の感染が原因で、胃や大腸、小腸などに炎症が起きる病気のことです。
原因となる細菌には、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラなどが挙げられます。これは汚染された食品や水から感染する“経口感染(食中毒)”が多いですが、ペットや感染した人に触れることで感染する“接触感染”の場合もあります。
また、ノロウイルスなどウイルスが原因となるウイルス性胃腸炎は冬に多く発生することが知られていますが、細菌性胃腸炎の場合は夏に多いのが特徴です。
細菌の種類や増殖する場所によって症状が異なりますが、主に以下のような症状がみられることがあります。
原因となる細菌にもよりますが、多くは治療をしなくても自然と治ります。そのため、感染拡大を防ぐためにも、可能な場合は自宅で様子を見てもよいでしょう。ただし、高齢の方や子どもは重症化や脱水症状を起こしやすいため、注意が必要です。
受診の目安として、水分が取れない場合や、嘔吐や下痢が1日に10回以上ある場合、高熱を伴うといった場合は、内科やかかりつけ医などの受診を検討しましょう。
細菌性胃腸炎になったときは、病状の悪化を防ぐための対策とともに、感染を広げない対策を行うことも大切です。詳しくは以下のとおりです。
下痢止めを飲むことで、腸内に便などをとどめてしまい、細菌が出す毒素の吸収を助長する可能性があります。逆効果になってしまうこともあるので、自己判断で市販の下痢止めなどを飲むのは控えましょう。
下痢がひどいときは食事を取るのをやめ、食べる場合は食物繊維が少なく消化のよいもの、栄養価の高いものを選ぶとよいでしょう。また、下痢などによる脱水を防ぐためにこまめに水分を取りましょう。ただし、冷水や牛乳、ジュースや果汁、紅茶、コーヒー、お酒などの刺激物は避けたほうがよいとされています。
感染者の吐しゃ物にも細菌が含まれているため、二次感染のリスクがあるとされています。そのため、もし吐しゃ物が床などに飛び散った場合は適切な処理が必要です。
胃腸炎の症状がある場合は、感染者の手から食品を介して感染を広げる恐れがあるため、調理や配膳などの作業をしないようにしましょう。感染者が調理台や調理器具を触っていたと分かった場合は塩素系漂白剤などでしっかり消毒するようにしましょう。
家族が感染した場合などは、感染拡大を防ぐために、できる限り別の部屋で生活するなど生活空間を分けるとよいでしょう。
細菌性胃腸炎は自然治癒することもあるため、症状を和らげるための対症療法が中心となります。たとえば、下痢によって脱水が起こった場合は点滴で水分を補給します。
また、基本的には殺菌や細菌の増殖を防ぐための抗菌薬は使いません。ただし、赤痢やコレラ、チフス、パラチフスなどの危険性の高い感染症の場合は、二次感染の予防や菌を排出する期間を短縮するために抗菌薬を使う必要があります。また、腸内細菌を回復させるために整腸剤や乳酸菌製剤を使うこともあります。