リベルサス
肺機能検査とは、酸素を取り込む能力や息を吐く力などを調べ、肺のはたらきや呼吸器の病気がないかを確認する検査のことです。
検査では鼻をクリップでつまんでマウスピースという筒をくわえ、スパイロメーターという計測機器を用いて息を吸ったり吐いたりします。それによって肺に出入りする空気の量や速度を測定し、肺の換気機能を調べます。検査にかかる時間は約20分ほどです。
肺は、空気中の酸素を体に取り入れ、いらなくなった二酸化炭素を外に出すという重要な役割を持っています。そのため、肺が病気になったり機能が低下したりすると、咳や息切れなどの肺に関わるさまざまな症状がみられるようになります。
肺機能検査がすすめられる人の特徴は以下のとおりです。気になることがある方はそのままにせず、医療機関を受診して検査の要否について医師に相談してみるとよいでしょう。
肺機能検査を受けることで分かる病気は以下のとおりです。
肺機能検査では、肺活量に加えて以下の項目を調べます。
肺活量(VC)の検査では、空気を胸いっぱいに吸い込んで全て吐き出したときに、どれだけ多くの空気を吐き出したかを調べます。
%肺活量(%VC)とは、年齢や性別から計算された予測肺活量(基準値)に対する実測肺活量の比率(%肺活量)のことです。この肺活量の値を参考に病気の可能性を判断します。
%肺活量が80%以下になると、拘束性換気障害(息が吸いにくい状態)が疑われます。
肺活量の基準値の計算式は以下のとおりです。
<日本呼吸器学会の予測式>
男性:0.045×身長(cm)-0.023×年齢-2.258(L)
女性:0.032×身長(cm)-0.018×年齢-1.178(L)
なお、肺活量の基準値は性別や身長、年齢によって異なります。
努力性肺活量(FVC)とは、胸いっぱいに吸い込んだ空気を、可能な限り思いっきり(最大限の努力)一気に吐き出す検査です。
1秒量(FEV1)とは、努力性肺活量のうちの最初の1秒間に吐き出された空気の量です。
1秒率とは、1秒量が努力性肺活量に占める割合のことです。1秒率は喘息やCOPDなどの気道が狭くなる病気を見つける指標となります。
1秒率が70%以下になると、閉塞性換気障害(息が吐き出しにくい状態)が疑われます。
%肺活量が80%以上、1秒率が70%以上以上の場合が正常という判断になります。%肺活量と1秒率のどちらも下回ると、混合性換気障害が疑われます。
%肺活量 | 1秒率 | 結果 | 疑われる病気 |
80%以上 | 70%以上 | 正常(異常なし) | – |
79%以下 | 70%以上 | 拘束性換気障害 | 間質性肺炎、肺線維症など |
80%以上 | 69%以下 | 閉塞性換気障害 | COPD、気管支喘息など |
79%以下 | 69%以下 | 混合性換気障害 | 上記混合 |
上記の表のとおり、%肺活量や1秒率の値によって疑われる病気が異なります。早期発見・早期治療するためには、異常がなくても定期的な検診を受けることがすすめられます。
肺機能検査で異常が見つかった場合は早めに受診を検討しましょう。医療機関では、必要に応じて胸部X線検査、胸部CT検査、動脈血ガス分析、血液検査などの精密検査を行います。
肺機能検査を受ける際、食事制限や薬の制限といった事前準備は特に必要ありません。
痛みを伴うことはないといわれています。