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2022.04.26
#泌尿器科 #対象外来

血尿(尿に血液が混じっていた、健康診断で尿潜血を指摘された)

受診の目安になる症状

  • 尿が赤っぽい
  • 血が混じっていることが肉眼で分かる
  • 尿の回数が多い(頻尿)
  • 排尿時に痛みがある
  • 尿の出る勢いが弱い
  • 背中や下腹部に激しい痛みがある
  • 脇腹に痛みがある など

血尿とは、血が混じっている尿のことです。血尿には尿が赤いなど、目で見て分かる“肉眼的血尿”と、色の変化は目で見ても分からないものの尿検査で血が混じっていると判断される“顕微鏡的血尿”があります。

原因は主に尿が作られてから排出されるまで(腎臓、尿管、膀胱、尿道)のどこかで出血が起こることで、腎臓をはじめとした尿路に病気が発生しているサインの可能性があります。たとえば、がんの場合は血尿以外に特に症状がなく、しばらくすると血尿が自然に治まることもあります。しかし、病気が治ったわけではありません。そのため、血尿が一度でも出たり、気になる症状があったりするときは放置しないことが大切です。特に女性の場合は生理だと勘違いして血尿を見逃してしまうこともあるため注意しましょう。

このほか、顕微鏡的血尿は目で見て分からないため、病気の早期発見のために検診や人間ドックなどを受けるようにするとよいでしょう。気になる検査結果や、上記のような症状が見られる場合は、泌尿器科やかかりつけ医などの受診を検討しましょう。

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血尿の原因と治療

血尿はさまざまな病気が原因になっている可能性があります。特に目で見て分かる血尿は重大な病気のサインの場合があり、膀胱がんや腎臓がんなどの可能性が考えられます。一方、顕微鏡的血尿でもがんなどの病気が関係していることもあるため、どちらも注意が必要です。

膀胱炎

膀胱炎(急性膀胱炎)とは、細菌が膀胱に侵入して炎症が起こった状態のことで、女性に多いことが特徴です。症状は血尿以外にも、頻尿や排尿時の痛み、排尿の終わりごろの尿道の不快な痛みなどがみられることがあります。

治療では、細菌を殺す抗菌薬の使用が検討され、抗菌薬によって数日以内に完治することが一般的です。また、高熱や倦怠感などの全身症状、背部の痛みなどがある場合は、腎臓にまで炎症が達して腎盂腎炎(じんうじんえん)を発症している可能性があります。この場合は重症化するリスクがあり、必要に応じて入院して治療を行うことも検討されます。

尿路結石症

尿路結石症とは、尿路(腎臓から尿道までの通り道)に結石ができる病気のことです。血尿や、突然激しい痛みが生じることが典型的な症状とされています。原因は尿路の通過障害や尿路感染、薬、生活習慣などさまざまなものが挙げられます。

小さな結石の場合は尿から自然に排出される可能性があるため、水分を多く取るなどして対処することがあります。ただし、結石のサイズや症状によっては、結石を小さくする手術が検討されることがあります。また、必要に応じて鎮痙薬、鎮痛薬などの痛みを抑える薬が使用されることがあります。

前立腺肥大症

前立腺肥大症とは、生活習慣や男性ホルモンなどの環境の変化によって前立腺(男性の生殖器の1つ)が肥大する病気のことです。血尿のほか、頻尿、尿が出にくい、勢いが弱い、残尿感などの症状が現れることがあります。

治療には薬物療法、保存療法(生活習慣の改善など)、手術の3つの選択肢がありますが、血尿がある場合は手術で肥大した前立腺を切除したり、熱で壊死(えし)させて縮小させたりすることが一般的です。

腎臓病

腎臓病とは、腎臓の糸球体や尿細管などが障害されて、腎臓のはたらきが悪くなる病気のことです。腎臓病の種類によって症状や原因は異なりますが、血尿のほかに検査で尿タンパクが陽性の場合は腎臓病の可能性があります。また、発症には食生活、運動不足、喫煙などの生活習慣や加齢などが関係することもあります。

このことから、治療では薬物療法以外に食事療法や生活改善などを行うこともあります。腎臓病を放置すると腎不全になったり、脳卒中や心筋梗塞(しんきんこうそく)のリスクが高まったりするといわれているため、早めに受診を検討することが大切です。

がん

膀胱がん、腎臓がん、前立腺がん、尿管がん、腎盂がんなどが血尿の原因となることがあります。特に膀胱がんは顕微鏡的血尿で診断されるがんの中でもっとも多いといわれています。

がんの治療では主に手術、薬物療法、放射線治療があり、がんの状態や患者さんの年齢などによって適切な治療が行われることが一般的です。

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血尿が出たときに気を付けたいポイント

生活習慣の改善

腎臓病など、生活習慣が関連する病気が血尿の原因となることがあります。そのため、原因となるような生活習慣を改善することも大切です。

たとえば、尿路結石症の場合、アルコールや刺激物は発作(痛み)を誘発することがあるため、避けたほうがよいといわれています。また、膀胱炎の場合はトイレを我慢して排尿回数が減ると、膀胱を洗浄する機能が低下して細菌に感染しやすくなるといわれているため、適量の水分を取ったり、トイレを我慢したりしないなどの習慣をつけることもポイントです。

血尿が出た場合は早めに受診の検討を

血尿は腎臓をはじめとした尿路に病気が発生しているサインと考えられます。重大な病気の可能性もあるため、たとえほかに自覚症状がなく、顕微鏡的血尿と指摘されただけであっても、放置せずに早めに泌尿器科の受診を検討するとよいでしょう。

また、がんの場合は血尿以外に特に症状がなく、しばらくすると血尿が自然に治まってしまうことがあったり、女性は生理だと勘違いしてしまったりすることもありますが、一度でも血尿が出たら受診を検討するとよいでしょう。

 

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イーヘルスクリニック新宿院では、血液や尿検査に加えてレントゲン検査や超音波検査を実施可能です。血尿の原因を徹底的に調査し、適切な治療を行います。治療オプションをわかりやすく説明し、患者様の了承を得た上で最適な治療プランを提案します。また、治療方針の決定には患者様と共に意思決定を行い、必要に応じて連携医療機関への紹介も行います。

 

参考文献

■ 血尿診断ガイドライン 2023

 

記事監修:天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。