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2023.06.25
#泌尿器科

男性更年期障害の治療とは? ~生活習慣の改善や漢方薬、ホルモン療法などが検討される~

男性更年期障害(LOH症候群)とは、男性ホルモンの低下に伴って心身に不調が起こる病気のことをいいます。

男性更年期障害になると、腰痛や肩こりなどの身体症状や、イライラや不安などの精神症状、性欲の低下や勃起障害(ED)などの性的な症状がみられるようになります。これは放置しても治る病気ではなく、悪化するケースもあるため、気になる症状がある場合は受診し治療を受けることが大切です。

本記事では男性更年期障害の治療について解説します。

男性更年期障害の治療

男性更年期障害が疑われる場合、医療機関では血液検査によって男性ホルモンの数値を調べ、この数値が低い場合に男性更年期障害と診断します。

治療には、男性ホルモン補充療法や漢方の処方、生活習慣の改善などがあり、症状に応じて治療方針が異なります。症状が軽い場合はまず生活習慣の改善を行い、必要に応じて漢方薬や症状に合わせた治療を行います。症状が重い場合は男性ホルモン補充療法(後述)を行います。

生活習慣の改善

男性ホルモンの減少には、食生活や運動習慣など普段の生活習慣が影響していると考えられています。

また、ストレスを過度にためこむことが原因になる場合もあります。十分な休息を取り、ストレス解消法を見つけることが大切です。このほか、喫煙は男性ホルモンの分泌に悪影響を与えることがあるため、喫煙習慣がある方は禁煙を検討するとよいでしょう。

栄養バランスの整った食事をする

肥満は男性ホルモンの分泌を妨げるため、普段から食べ過ぎ飲み過ぎに注意して肥満を改善することが大切です。卵や肉類などのたんぱく質は男性ホルモンの分泌を促すため、積極的に取るとよいでしょう。

適度な運動を心がける

運動は男性ホルモンの分泌を促し、肥満の改善にも役立ちます。中でも筋肉トレーニングは男性ホルモンの分泌を促進させる効果があるといわれています。

漢方薬

漢方とは、人間が本来持っている自然治癒力を高め、根本からの体質改善に重点に置いた伝統医学のことです。本来なら男性ホルモン補充療法が検討されますが、副作用などの観点から必要に応じて漢方薬が選ばれる場合もあります。

漢方薬での治療は効果が現れるまでに数ヶ月と長期的に服用する必要があるといわれていますが、副作用が少ないということが特徴です。また、原因が特定できない病気でも対応可能なため、更年期障害の場合には効果的な側面もあります。

処方される漢方薬

男性更年期障害に対して処方される漢方薬には、以下のようなものがあります。

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

頭痛、めまい、肩こり、排尿困難、頻尿、勃起障害、射精障害に対して使用されます。

  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

頭痛、めまい、耳鳴り、動悸に対して使用されます。

  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)

不眠、冷え、のぼせ、精神症状に対して使用されます。

男性ホルモン補充療法

男性ホルモン補充療法とは、減少した男性ホルモンを薬によって体内に補充する治療法で、飲み薬や注射薬、皮膚吸収薬などがあります。

この中でも保険適用されるのは男性ホルモンの筋肉注射のみです。筋肉注射は2~4週間おきに症状が改善するまで行います。

*テストステロン注射は供給の不安定により、現在中止しています。

 

症状に合わせた治療

症状に合わせてさまざまな薬の処方が検討されることがあります。たとえば、性機能が落ちている人にはED治療薬、抑うつ症状がある人には抗不安薬や抗うつ薬などが検討されることがあります。

自身も治療法について十分に理解することが大切

男性更年期障害の治療は、生活習慣の改善やホルモン補充療法など、患者さんの症状に合わせて適切なものが検討されます。これは、医師だけではなく患者自身も男性更年期障害の特徴や治療方針について十分に理解することが大切です。

 

男性更年期障害かも? と思ったら医師に相談を

男性更年期障害は男性ホルモンの減少から起こるもので、これは加齢のほか生活習慣などが関係しています。

症状の改善には生活習慣を見直すことが大切ですが、気になる症状がある場合は男性更年期障害や別の病気の可能性を考えて受診を検討しましょう。男性更年期障害は放置しても治る病気ではなく、悪化するケースもあります。

男性更年期障害が疑われる場合は泌尿器科を受診しましょう。疑問や不安は医師に相談しましょう。

イーヘルスクリニック新宿院では男性更年期障害の診療を行っています。治療に際してご不安やお困り事などあればぜひご相談ください。

 

記事監修:天野 方一(イーヘルスクリニック新宿院 院長)
埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。
日本腎臓学会専門医・指導医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、公衆衛生学修士、博士(公衆衛生学)の資格を有する。

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