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花粉症とは、花粉が原因となるアレルギー性鼻炎の一種です。さまざまな花粉が花粉症の原因となりますが、代表的なものとしてスギ花粉が挙げられます。症状はくしゃみや鼻水、鼻づまりのほか、目のかゆみや倦怠感、頭痛など多岐にわたり、日常生活に支障をきたすこともあります。
しかし、薬を使えばある程度症状を抑えられる場合があり、中には根治が期待できる治療薬もあります。本記事では花粉症の治療に使う薬を詳しく解説します。
花粉症の治療には、症状を改善する対処療法と花粉症を治す根治療法(アレルゲン免疫療法)があります。対処療法には主に第二世代抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、化学伝達物質遊離抑制薬、ステロイド薬を使用し、アレルゲン免疫療法では花粉の成分が含まれた注射や舌下薬を使用します。
対処療法とは、薬やレーザーなどを使って花粉症の症状を抑えたり、QOL(クオリティオブライフ=生活の質)の低下を緩和したりする治療のことです。使用する薬には、点鼻薬や点眼薬、内服薬などさまざまなタイプがあり、症状や重症度によって使い分けられます。
薬をうまく使えば、約5~6割の方が花粉の多いときでも症状が出現せず、大きな副作用も出ることなく過ごせるといわれています。
第二世代抗ヒスタミン薬とは、アレルギー症状の原因物質の1つであるヒスタミンのはたらきをブロックし、花粉症の症状を軽減する薬です。数多くの種類があり、症状や重症度によって使い分けますが、主にくしゃみや鼻水などの症状の緩和に向いています。
また、抗ヒスタミン薬には第一世代と第二世代の2種類があります。第二世代は第一世代よりも副作用が軽減されていますが、服用後に多少の眠気が出ることがあります。
血管を拡張させ、鼻づまりを起こす作用があるロイコトリエンという物質のはたらきを抑える薬です。花粉を原因とする鼻づまりの緩和が期待できます。
軽症から重症までどの段階でも使用される薬ですが、中等症以上の場合はステロイド薬などと併用されることがあります。
化学伝達物質遊離抑制薬とは、マスト細胞(アレルギー反応の原因となる細胞)からヒスタミンなどが放出されるのを抑制する作用がある薬です。くしゃみや鼻水などの緩和が期待できます。初期療法(症状が軽いとき、または花粉の飛散前から始める治療)や軽症の治療で使うことが一般的です。
ステロイド薬とは、炎症を抑えたり免疫を抑制したりする薬です。花粉症の治療では、以下で紹介する鼻噴霧用ステロイド薬や経口ステロイド薬のほか、点眼薬が使われることもあります。また、注射薬もありますが、副作用の問題があるため、花粉症などアレルギーの治療ではあまり使用されません。
鼻噴霧用ステロイド薬とは、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど、鼻に強い症状が出ているときに使用されるステロイド薬です。鼻に局所的に作用するため、大きな副作用が出ることはほぼないとされています。
花粉症の初期療法の段階から重症まで、どの段階でも使用される薬ですが、中等症、重症の場合は第二世代抗ヒスタミン薬などと併用されることがあります。
経口ステロイド薬とは、鼻づまりに高い効果が期待できる、ステロイドの内服薬です。効果が高い反面、血圧上昇、むくみ、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などさまざまな副作用のリスクがあるため、主に重症の花粉症の治療で使用されます。
点鼻用血管収縮薬とは、腫れている箇所の血流を減少させることで、腫れを軽減させる薬です。鼻づまりに効果が期待でき、即効性があるのが特徴です。ただし、使いすぎると逆に鼻づまりが酷くなることがあるため、用法用量を守ることが大切です。
花粉症の症状が重い場合は、アレルゲン免疫療法(減感作療法)による根治療法が行われることがあります。アレルゲン免疫療法とは、原因となる花粉のエキスを低濃度から投与し、少しずつ濃度を上げてアレルゲンに体を慣らすことで症状を緩和する治療です。3年以上継続すると、花粉症が治る場合もあります。
治療期間が長くなりますが、花粉症の根治が期待できる唯一の治療法で、約70%の方に有効といわれています。アレルゲン免疫療法には、注射剤による治療と舌下錠による治療の2種類があります。
注射剤を使ったアレルゲン免疫療法では、希釈した花粉エキスを注射し、少しずつ投与するエキスの濃度を上げていきます。
まれにアナフィラキシーショック(アレルゲンが体内に入ってから短時間で起こる重いアレルギー反応)などの副作用が出ることがあるため、急激に濃度を上げることはできません。慎重に反応を観察しつつ、月1回の治療を3年以上続ける必要があります。
舌下錠とは、舌の下に入れて溶かし、口腔粘膜(こうくうねんまく)から吸収させる薬のことです。注射剤による治療と同じく、舌下錠によって花粉エキスを体内に取り入れ、根治を目指します。口の中で薬を溶かすだけなので、通院の必要がなく自宅で投与できるのが大きな特徴です。
また、舌下免疫療法は注射によるアレルゲン免疫療法よりも、アナフィラキシーショックが起こる可能性が低いといわれています。
花粉症は、症状が悪化してからでは薬が効きにくくなるといわれています。そのため、軽症の段階で症状を軽減する薬を使い始めることが重要です。早めに治療を開始すれば、花粉が多い時期でも症状をコントロールしやすくなります。特に、アレルゲン免疫療法は花粉が飛び始める3か月以上前から治療を開始する必要があるため、花粉症の疑いがある場合は早めの受診を検討するとよいでしょう。
イーヘルスクリニック新宿院ではそれぞれの患者さんに合った治療を検討します。治療法については分かりやすく説明し、安心してご納得いただいたうえで治療方針を決めていきます。不安や疑問はお気軽にご相談ください。